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松は松、杉は杉

【PJ 2006年07月12日】− 松を杉に変えられないのは誰でも分かる。人は、何にでもなれるという考えと、初めからなれる物が決まっているという考えがある。人の子どもは、小さいときはみんな可愛いし、可能性も、無限のように見える。

 親は、子どもに可愛さと、可能性を見る。松は育ちながら、松になるように見える。杉は、杉になるように見える。子どもは、親の遺伝子を受け継ぐが、親の遺伝子には、その前の遺伝子も入っている。人は、生物物理的には人間だが、人を人にしているのは、意識、無意識の教育だろう。人が育つときに回りから受ける影響や、学校の教育が、だんだんに人を人にするのだ。これは、ジャングルで育った子どもの例を見れば、明らかだ。

 当然だが、ある時期までは、親の言うことをそのまま聞くが、ある時期を過ぎると、自我が確立してくる。松だったか、杉だったか分かるのは、このあたり。そこから、大きく枝振りを直そうとしても無理だ。無理に直せば枯れるだけだろう。しかし、人は杉のような松になったり、松のような杉になったりできるから不思議だ。

 大きな出会いや、何かのきっかけで方向を定めて、人は変わることがある。成人とは、松が松になり杉が杉になったということだ。両親が成人した松を杉にしようと、日夜強制し続ければ枯れてしまう。両親のできることは、たぶん松を小さくても枝振りの良い松になるのか、大きな松になるのか見守ることぐらいしかできない。大阪大学に入ったくらいだから、勉強の素質は申し分のないものだったろうと思われる大学生が、パチンコばかりやって就職もできず、大学の卒業もおぼつかなければ、母親が心配して小言を言うのは当たり前だが、枝を直そうとして、倒れた木に押しつぶされたのは、何とも残念だ。

 国立大学を卒業して、普通の道を歩いていた兄弟と比べられ、小言の連続だったろうと考えると、母親殺しは許せないが、事件の起こる可能性は、どこにでもあるのではないか。昔は父権、つまり怖い親父が控えていたから、爆発は抑えられることが多く、そのうちに何かの転機でなんとか松になったかも知れないが、今は、自由気ままに育ってきた松達の時代だ。こういうことが多発しても、不思議ではない。妻が夫を、怖い親父に育てるのは、難しい。怖い親父は、大阪でボクシングを教える貴重品になってしまった。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 安居院 文男【 東京都 】
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