中田英引退に見る、スポーツ・ジャーナリズムの危機
2006年07月04日09時50分 / 提供:PJ
マスメディアが中抜きされる現象が確実に浸透している。「Media(メディア)」という単語は、「Medium(中間・媒体)」の複数形である。辞書的にいえば、メディアはメッセージを受け手に忠実に伝える透明な媒体であると見なされてきた。引退報道でサッカーの中田英寿選手が、メディアを透明な媒体とみなしていないことがよく分かった。
中田選手が3日、自身のホームページ(HP)「nakata.net」 上で引退を明らかにした。4日付の新聞各紙を眺めると、中田選手への直接取材は無く、HPに載っている内容に周辺取材を付け加えた程度の記事が並んでいた。これらの記事を書いた担当記者は屈辱的であったろう。中田選手から信頼されず、取材も受け付けてもらえないのだから。
以前から、中田選手は新聞やテレビ局といったマスメディアの取材に不信感を抱き、マスコミの報道すべてが真実だと思わないでくれ、などと訴えていた。中田選手のHPは日本語のほか、英語、イタリア語、韓国語、中国語の各バージョンが用意されている。中田選手がファンとの直接対話を求めている証しであり、裏返せば、マスメディアという媒体の不要論を唱えていたともいえる。
マスメディアは各個人がメディアを持ち得なかった時代の産物だ。パソコンやインターネットが普及したIT時代に突入し、メディアはマスの時代からユニバーサルの時代へと移行した。コミュニケーションの世界で、否が応にもマスメディアの中抜き現象が起こってしまう。日本のスポーツ・ジャーナリズム界はこの革命への対応に遅れた。いや、むしろ抵抗してしまったのだ。だからこそ、新参者の記者クラブ加盟を拒むなど、殻に閉じこもってしまった。そして、選手や読者・視聴者との対話をも軽んじてしまった結果が、中田選手のHPでの引退宣言だ。
サッカーW杯のテレビ番組を見ると、元選手や芸能人の解説者が目に付く。これは、スポーツ報道・言論をスポーツ・ジャーナリスト自らが放棄してしまったことを意味する。このことを、どのくらいのスポーツ・ジャーナリストが自覚しているのだろうか。1980年代から90年代にかけて、日本の流通業界では中抜き現象が吹き荒れた。否定論がある一方で、停滞していた業界を活性化させ、消費者に利益になった面も多かった。スポーツ・ジャーナリストたちは、中田選手のように「プロ意識」を再認識し、選手や読者・視聴者のための改革に当たって欲しい。【了】
中田選手が3日、自身のホームページ(HP)「nakata.net」 上で引退を明らかにした。4日付の新聞各紙を眺めると、中田選手への直接取材は無く、HPに載っている内容に周辺取材を付け加えた程度の記事が並んでいた。これらの記事を書いた担当記者は屈辱的であったろう。中田選手から信頼されず、取材も受け付けてもらえないのだから。
以前から、中田選手は新聞やテレビ局といったマスメディアの取材に不信感を抱き、マスコミの報道すべてが真実だと思わないでくれ、などと訴えていた。中田選手のHPは日本語のほか、英語、イタリア語、韓国語、中国語の各バージョンが用意されている。中田選手がファンとの直接対話を求めている証しであり、裏返せば、マスメディアという媒体の不要論を唱えていたともいえる。
マスメディアは各個人がメディアを持ち得なかった時代の産物だ。パソコンやインターネットが普及したIT時代に突入し、メディアはマスの時代からユニバーサルの時代へと移行した。コミュニケーションの世界で、否が応にもマスメディアの中抜き現象が起こってしまう。日本のスポーツ・ジャーナリズム界はこの革命への対応に遅れた。いや、むしろ抵抗してしまったのだ。だからこそ、新参者の記者クラブ加盟を拒むなど、殻に閉じこもってしまった。そして、選手や読者・視聴者との対話をも軽んじてしまった結果が、中田選手のHPでの引退宣言だ。
サッカーW杯のテレビ番組を見ると、元選手や芸能人の解説者が目に付く。これは、スポーツ報道・言論をスポーツ・ジャーナリスト自らが放棄してしまったことを意味する。このことを、どのくらいのスポーツ・ジャーナリストが自覚しているのだろうか。1980年代から90年代にかけて、日本の流通業界では中抜き現象が吹き荒れた。否定論がある一方で、停滞していた業界を活性化させ、消費者に利益になった面も多かった。スポーツ・ジャーナリストたちは、中田選手のように「プロ意識」を再認識し、選手や読者・視聴者のための改革に当たって欲しい。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 小田 光康
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