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【書評】「東京タワー」、リリー・フランキー著

【PJ 2006年06月08日】− 2006年本屋大賞受賞。夏からはドラマ化も決まっているそうだ。この人は、本当に文を書くのが上手い。書いていることは、幼少期からの「オカン」との思い出を、「オカン」が死んだ今現在までつらつら書いているだけなのだが、それがすごく人を惹きつける。

 「ボク」の「オカン」に対する率直な愛情は、死んだ後に「オカン」にキスをする「ボク」や、ドライアイスが詰まった「オカン」にしがみつきながら寝た「ボク」などによって包み隠さず描かれている。そして最後に「あれから、何年か経ったけど、今でもボクは寂しいでたまらんよ」という一文からはじまる「オカン」に対する後悔の気持ちは、誰でも感じえる愛しい人を亡くしたときの気持ちの代筆とも感じられる。

 また、私が気に入ったのは「オカン」に対する素直な気持ちだけではなく、リリー・フランキー自身の価値観だ。ろくに箸もつけてないのに、人の食べ方に細かく文句を言う女を「下衆」と言い切ったところが強く印象に残っている。そして、その周りに合わせたのではなく、自らの価値観をしっかりと持って「下衆」という言葉を使うリリーに魅力を感じる。

 また、この本には各章の冒頭に過去の思い出ではなく、リリー自身の様々にものに対する考えが載っている。それは「自由」や「夢」、「東京」など。それらはどこにでもありそうなきれいごとを描いているのではなく、リリー自身が考える、本当に現実を見て思ったことだ。その考え方はあまりにも現実的過ぎて、前向きとはいえないけども、冷静な視線はこれから生きていくうえでとても参考になるものであった。久しぶりにもう1度読みたいと思う本であった。【了】

■関連情報
ライブドア・ブックス:リリー・フランキー著『東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン』、扶桑社

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 安田 モモコ【 東京都 】
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