公取が新聞特殊指定見直し問題で敗北宣言
2006年06月03日06時44分 / 提供:PJ
公正かつ自由な競争を促進させる独禁法に基づき、新聞の「特殊指定」を存続させる理由が見当たらないとして新聞業界などに意見を聴いていた公正取引委員会は2日、この「特殊指定」の見直しを見送ることを正式に発表した。また、新聞の「特殊指定」と並んで、見直し作業が進められていた他の4つの「特殊指定」は、廃止することにした。
公取委は「『新聞業における特定の不公正な取引方法』については、新聞業界等との間で鋭意議論を進めてきたところであるが、その取り扱いについて、別紙のとおり、今回の見直しでは結論を出すことを見合わせることとした」と、2日発表した報道発表、「特殊指定の見直しについて」で説明した。
特殊指定見直し問題での公取委の指摘は、公正な競争で最も重要な価格競争について、法的相当性から価格競争を原則的、または全面的に禁止するような新聞特殊指定は独占禁止法上の要件を満たしていると言えないとしたうえで、この「特殊指定」が存在するゆえに、長期購読割引や高齢者・学生向き割引が導入されず、消費者の利益の妨げになっていると主張していた。さらに、「特殊指定」廃止が戸別配達の崩壊につながるという新聞業界側の持論に対しては、消費者および新聞販売店・発行本社双方の強いニーズに支えられたもので、「特殊指定」の廃止と戸別配達の崩壊は関係ないと反論した。
新聞業界では、新規契約者には数カ月間、無料で新聞を提供するなどの「無代紙」問題がまん延している。これは長期購読する新聞愛読者への不利益につながっている。公取委は、新聞のこの実質的な割引販売行為が独禁法で規定している「不当な対価」や「不当な顧客誘引」に該当し、消費者の利益を損ない、公正な競争を阻害すると考えているとした。
一方、新聞業界は新聞は他の商品と異なって民主主義の維持・発展に欠かせない商品であり、同特殊指定の見直しは、競争政策や経済原理のほかに、文字・活字文化の振興など文化政策の観点からの議論が必要であるなどを主張した。
公取委は今回の決定の背景として、新聞業界と続けてきた議論がかみ合わず、特段の進展は望めない状況であり、各政党においても、新聞特殊指定を存続させるべき議論がなされていたことを挙げた。
公取委の事実上敗北宣言になった背景には、日本新聞協会の主張に対する反対意見や公取委の主張、両者の意見の相違点などを解説する記事などが、新聞にほとんど掲載されなかったために、同議論の詳細を知らされなかった国民から「特殊指定」廃止の支援を得られなかったことが大きな要因となっていた。
「特殊指定」の見直しに歯止めをかけるため独占禁止法改正案の国会提出などを準備していた自民党独占禁止法調査会をはじめ、各政党から支援をこぎつけた新聞業界の動きの前に、公取委が屈した形となった。【了】
■関連記事:「新聞の特殊指定」撤廃問題の記事リンク集
公取委は「『新聞業における特定の不公正な取引方法』については、新聞業界等との間で鋭意議論を進めてきたところであるが、その取り扱いについて、別紙のとおり、今回の見直しでは結論を出すことを見合わせることとした」と、2日発表した報道発表、「特殊指定の見直しについて」で説明した。
特殊指定見直し問題での公取委の指摘は、公正な競争で最も重要な価格競争について、法的相当性から価格競争を原則的、または全面的に禁止するような新聞特殊指定は独占禁止法上の要件を満たしていると言えないとしたうえで、この「特殊指定」が存在するゆえに、長期購読割引や高齢者・学生向き割引が導入されず、消費者の利益の妨げになっていると主張していた。さらに、「特殊指定」廃止が戸別配達の崩壊につながるという新聞業界側の持論に対しては、消費者および新聞販売店・発行本社双方の強いニーズに支えられたもので、「特殊指定」の廃止と戸別配達の崩壊は関係ないと反論した。
新聞業界では、新規契約者には数カ月間、無料で新聞を提供するなどの「無代紙」問題がまん延している。これは長期購読する新聞愛読者への不利益につながっている。公取委は、新聞のこの実質的な割引販売行為が独禁法で規定している「不当な対価」や「不当な顧客誘引」に該当し、消費者の利益を損ない、公正な競争を阻害すると考えているとした。
一方、新聞業界は新聞は他の商品と異なって民主主義の維持・発展に欠かせない商品であり、同特殊指定の見直しは、競争政策や経済原理のほかに、文字・活字文化の振興など文化政策の観点からの議論が必要であるなどを主張した。
公取委は今回の決定の背景として、新聞業界と続けてきた議論がかみ合わず、特段の進展は望めない状況であり、各政党においても、新聞特殊指定を存続させるべき議論がなされていたことを挙げた。
公取委の事実上敗北宣言になった背景には、日本新聞協会の主張に対する反対意見や公取委の主張、両者の意見の相違点などを解説する記事などが、新聞にほとんど掲載されなかったために、同議論の詳細を知らされなかった国民から「特殊指定」廃止の支援を得られなかったことが大きな要因となっていた。
「特殊指定」の見直しに歯止めをかけるため独占禁止法改正案の国会提出などを準備していた自民党独占禁止法調査会をはじめ、各政党から支援をこぎつけた新聞業界の動きの前に、公取委が屈した形となった。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 佐藤 学
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