今週のお役立ち情報
NHK受信料不払いが招く「義務化」という結果
2006年05月26日14時34分 / 提供:PJ
【PJ 2006年05月26日】−
自民党の片山虎之助参院幹事長が25日、CS(通信衛星)放送の番組収録で、NHK受信料制度について、来年3月までに支払い義務を盛り込んだ放送法改正案を作り、早ければ次期臨時国会に提出すべきだとの考えを示したという。
これは、おととし発覚したNHKの元職員(当時、チーフ・プロデューサー)による不祥事などに端を発した「受信料不払い」の増加によるNHKの大幅な減収への対応である。現行の放送法では、視聴者に受信契約を義務づけているが、支払い義務までは規定していない。片山参院幹事長が思い描く改正案が実効的なものとなるためには、当然、受信料の支払いを拒否する視聴者に対する「罰則規定」が盛り込まれることも有力な選択肢となっている。つまり、国として、不払い視聴者への処罰が可能になるのである。しかし、それは同時に公共放送の事実上の「国営化」を意味する。
本来、国の財政的な支援を受けず、企業広告にも頼らない「公共放送」は、受信料という形での一般市民からの投資によってのみ成立する放送機関である。スポンサーが一般市民であるからこそ、政治的・経済的独立を維持し、公正・中立な報道を探求できたはずである。少なくとも、NHKで働く記者やディレクターの大多数は、ほかの商業マスコミに比べて偏りのない放送コンテンツを提供しようと努力してきたはずだ。また、視聴率がきわめてわずかな難聴者向けの手話放送や字幕放送などの取り組みも、営利を追求する組織ではないからこそ続けられているのである。
必要かつ優良な情報提供の対価として市民から付託された受信料を、架空請求やカラ出張などの手口で自分のポケットに入れるようなNHK職員の存在をわれわれは断じて許してはならない。しかし、「受信料不払い」という怒りの示し方には再考の余地があるのではないか。今後、国が窮地に追い込まれたNHKを「罰則規定」によって救済し、NHKに大きな貸しを作ることになるとすれば、NHKは、いよいよ市民ではなく、国の方を向いて業務を遂行することになるだろう。
「受信料不払い」は、全国に広がる単一の取材・放送網という巨大な利権を、一般市民から国家権力に無償で譲渡するに等しいばかりでなく、受信料の「罰則付きの義務化」という結果をもたらす危険を帯びている。それは、受信料の支払いを拒否する人たちが意図するところではないはずである。法改正が為される前に、公共放送のありようと受信料制度についての国民的な議論の場が作られるべきである。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 成越 秀峰【 神奈川県 】
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これは、おととし発覚したNHKの元職員(当時、チーフ・プロデューサー)による不祥事などに端を発した「受信料不払い」の増加によるNHKの大幅な減収への対応である。現行の放送法では、視聴者に受信契約を義務づけているが、支払い義務までは規定していない。片山参院幹事長が思い描く改正案が実効的なものとなるためには、当然、受信料の支払いを拒否する視聴者に対する「罰則規定」が盛り込まれることも有力な選択肢となっている。つまり、国として、不払い視聴者への処罰が可能になるのである。しかし、それは同時に公共放送の事実上の「国営化」を意味する。
本来、国の財政的な支援を受けず、企業広告にも頼らない「公共放送」は、受信料という形での一般市民からの投資によってのみ成立する放送機関である。スポンサーが一般市民であるからこそ、政治的・経済的独立を維持し、公正・中立な報道を探求できたはずである。少なくとも、NHKで働く記者やディレクターの大多数は、ほかの商業マスコミに比べて偏りのない放送コンテンツを提供しようと努力してきたはずだ。また、視聴率がきわめてわずかな難聴者向けの手話放送や字幕放送などの取り組みも、営利を追求する組織ではないからこそ続けられているのである。
必要かつ優良な情報提供の対価として市民から付託された受信料を、架空請求やカラ出張などの手口で自分のポケットに入れるようなNHK職員の存在をわれわれは断じて許してはならない。しかし、「受信料不払い」という怒りの示し方には再考の余地があるのではないか。今後、国が窮地に追い込まれたNHKを「罰則規定」によって救済し、NHKに大きな貸しを作ることになるとすれば、NHKは、いよいよ市民ではなく、国の方を向いて業務を遂行することになるだろう。
「受信料不払い」は、全国に広がる単一の取材・放送網という巨大な利権を、一般市民から国家権力に無償で譲渡するに等しいばかりでなく、受信料の「罰則付きの義務化」という結果をもたらす危険を帯びている。それは、受信料の支払いを拒否する人たちが意図するところではないはずである。法改正が為される前に、公共放送のありようと受信料制度についての国民的な議論の場が作られるべきである。【了】
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