被害者ら会見で訴え
【ライブドア・ニュース 2006年05月24日】− 旧日本軍が放置した化学兵器によるものとされる毒ガス流出事故で被害にあった中国人男児らが24日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で会見し、医療ケアと恒久的な生活支援を日本政府に訴えた。会見した被害者は、黒竜江省チチハル市の建設現場で発見された毒ガス入りのドラム缶を運んだ際に負傷した丁樹文(ティン・シューウェン)さん(26)と、吉林省敦化市の小川で毒ガスに触れた劉浩(リュウ・ハオ)ちゃん(10)。共通の症状として、事故直後に体中に水疱ができ、現在は視力障害、神経症などの症状がある。また、風邪をひきやすく免疫力が低下している可能性もあるという。
発生した毒ガスは、旧日本軍が60年以上前に遺棄した化学兵器によるものと被害者の弁護団らは主張しており、両事故の事後調査で日本政府もこれを認めている。丁樹文さんは「身体が疲れやすく、働けない状態が続いている。どうやって家族を養えばいいのか」と話した。同席した劉浩ちゃんの父親・劉国義さんは「毒ガスの影響を気にして、一緒に遊んでくれる友達がおらず、1人で遊んでいる。息子はどんどん孤独になっている」と涙ながらに訴えた。
被害者を支援する東京合同法律事務所の山下基之弁護士は、日本政府へのアピールとして、被害者の症状に見合った医療ケアを行うことと、十分に生活できるよう恒久的に補償することを求めた。すでに昨年8月に逢沢外務副大臣(当時)に要請書を渡しており、今回の訪問中にも、公明党の同問題に関するプロジェクトチームを通じて、小泉純一郎首相か安倍晋三官房長官への面会を要請しているという。
同弁護士によると、チチハルの事故では、日本政府は毒ガス処理費用の名目で、約3億円の協力金を中国政府に支払った。うち9割が症状に応じて中国政府が被害者に分配したが、被害者の中には職を失い、仕事をする能力を失った者も多く、今後の生活に不安が残るという。山下弁護士は「人道的な立場から、敦化とチチハルの被害者の支援をしてほしい」と述べた。
中国政府からの何らかの支援はあるのかとの記者からの質問に、山下弁護士は「ない。日本政府からの協力金が、中国政府を通じて分配されただけ」と答えた。また、中国内の個人やNGOからのサポートについて問われると「人権発展基金会(中国・北京)という戦後補償全般を扱う民間基金に支援を申請中」と語ったが、ほぼ見込みはないとの見解を示した。【了】



