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皇位継承問題を考える(1)現状と論点

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【PJ 2006年04月29日】− (3回連載)皇室典範改正問題は、秋篠宮妃紀子さまがご懐妊されたと発表(2月7日)されたのを境にぴたっと話題に上らなくなった。無事に出産されるか、その皇子が男子なのか女子なのかを静かに見守ったうえで、新たに議論を再開しようというスタンスと思われる。ご懐妊中の妃殿下に余計な心労をおかけしたくない、心安らかにお過ごし戴きたいとの思いは多くの国民の一致する願いであろう。とはいえ、我々国民はせっかく与えられたこの期間を有効に活かして、皇位継承にかかわる問題点を整理しておく必要があると思われる。

 偶然とは思えないような秋篠宮妃紀子さまのご懐妊は、拙速すぎる皇室典範改正法案の可決に対して警鐘を鳴らすもののようにも思われた。小泉首相は「皇位の安定的継承」という観点から、女性天皇、女系天皇を認める有識者会議の報告書に沿った同典範の改正法案を今国会に提出・成立を目指していた。有識者会議は約1年間かけて議論を重ね、首相官邸ホームページに逐次その内容を掲載して、広く国民に情報公開してきた点からは、順当な手順を踏んではいるように思われた。しかし、最終報告書をもとにして国民が議論を重ねるのに必要な猶予を国民に与えようとしなかったことは大きな問題だ。

 そもそも皇室典範改正問題の根本は、われわれ日本人が総意で天皇制や皇統を維持したいと考えるかどうかということだ。国民投票でもしてみない限り本当のところはわからないが、大方のひとたちは天皇制自体については容認しているように見受けられる。しかし、確固たる気持ちで皇統を維持すべきだと考える人たちばかりではないようで、大半のひとは深い考えからではなくて何となく女帝もしくは女系天皇までをも容認してしまっているというのが現実のようだ。一方、声を大にしては言いにくいために表面にはなかなか出てこないが、天皇制は廃止してもかまわない、あるいはもっと積極的に廃止すべきだと考えるひとたちもあり、考えが定まっていない真ん中の大勢のひとたちを飛び越して、両極端にある皇統維持派と廃止論者が対峙するという様相を呈しているように思える。

 さて、仮に現行の規定を継続することで皇位継承資格者が途絶えてしまったとしたら、その時には皇室典範は嫌がおうでも改正(もしくは廃止)せざるを得ないことになる。女性・女系天皇容認の立場をとる天皇制維持賛成論者はもちろんのこと、現時点で万世一系が絶たれてしまうことに反対の立場を唱える人たちでさえ、万策を尽くした上で皇位継承資格者が途絶えてしまった暁には、女系に頼ってでも天皇制を継続したいと願うのではなかろうか。であるならば、この問題は、「女性天皇・女系天皇を認めるか、認めないか」ではなくて、「いつ認めるか」ということに本質がある。つまり、女性・女系天皇容認派にとってはいつでも、ということは今すぐでも構わないことになるが、皇統維持派にとっては「万策を尽くした」後でなければ容認できないということなのだ。

 それでは、現自民党政府はどのように考えているのだろうか。皇室典範改正を今推し進める理由として、1日でも早く「安定した」皇位継承を実現したいからと説明しており、とにかく政府改革派は「急いでいる」のであるが、その急いでいる理由が明解には明かされていない。そして、本来は「女性天皇・女系天皇をいつ認めるか」という問題であるはずなのに、いつの間にか「女性天皇・女系天皇を認めるか、認めないか」という理論的な論争に話を据え変えられてしまっている。各論的な説明ばかりで「これから天皇制をどうしていくのか」というような根本的な姿勢については一切表明されておらず、何らかの別の事情が潜んでいるのだろうかと疑いたくなるような状況だ。「天皇制を一機に廃止するのでは抵抗が強すぎて難しいと予想されるので、済し崩し的にまず女系天皇を許容し、皇統が途絶えた次の段階として、天皇制廃止に移行させよう」としているのではないかと勘ぐるひとさえいる。このような状況を考慮すれば、作為的、戦略的な政策で押し切るのではなくて、真正面から天皇制の意義について国民の真意を問うてもらいたいものだ。【つづく】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 和田牧夫【 東京都 】
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