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新宿駅西口 ホームレスになって過ごした7日間(5)

新宿駅西口 ホームレスになって過ごした7日間(5)
午前4時40分ごろ、東京メトロ・丸の内線のシャッターが開くのを待つホームレスの人たち。小田急線地下通路に移動して約1時間眠り、午前5時45分に西口と東口を結ぶ地下通路のシャッターが上がって東口に大移動が始まる。 13日、新宿駅西口地下街で。(撮影:佐藤学)
【PJ 2006年04月27日】− (4)からのつづき。 もう一度、今晩の新宿駅西口地下街の寝場所の話を持ち出してみた。すると谷沢さんが「草間さんの隣に寝ている人が明日まで帰ってこないので、今晩だけならその隣の方に頼んで泊めてもらえるかもしれません」という良い返事がもらえた。午後10時15分過ぎ、谷沢さんがダンボールを拾いに行くというので同行させてもらうことになった。草間さんのようにダンボールを隠しておいて、眠るときに取り出しに行くホームレスと、毎日新しいダンボールを拾いに行く人がいる。

 谷沢さんによると、寝床の場所が日中人通りが多く、油とほこりにまみれているので毎日ダンボールを取り替えるという。そのダンボールも何でもいいというわけではない。食料品を運ぶのに使われたものは、匂いのほかに虫などもついているとも限らないため、寝床用に適さない。電気屋や薬局などのダンボールは大きさや丈夫さも含めて最高だ。

 新宿駅西口から5分ほど歩いた場所の喫茶店の横で「この辺りでよく見つけるんですよ」と谷沢さんは捨ててあるダンボールを3枚ほど手にした。谷沢さんをまねしてダンボールを引き抜くと小脇に抱え一緒に歩き出した。新宿駅に向かう人たちの白い視線を背中に感じながら、足早で歩き続ける。「ホームレスを始めたころ、こうしてダンボールを抱えて駅に向かって歩くのが恥ずかしくて仕方がありませんでした」と谷沢さんは告白する。

 新宿駅西口に戻ると草間さんが「今さっき、弁当をもらったよ。待っていると来ないもんだが、期待しないと向こうからやってくる」と微笑んだ。週末になると、ホームレスに弁当を配って歩くボランティアもあるという。時計の長針が午後10時半を指したのを確認して、谷沢さんと草間さんは地下へ続く階段を、ダンボールを小脇に抱え降り出した。後ろから着いていくと、西口地下街に数多くのホームレスが通路脇で控えている。

 午後11時ちょうどの警告放送が地下街に流れた。「東京都第3警察事務所と新宿警察署から警告します。この地下広場は多くの都民が利用する大切な公共施設です。ここにダンボールなどをひいて寝起きをしたり、煮炊きをしたり、許可なく物品を販売することは道路法および道路交通法で禁止されています。直ちに止めて片付けてください。通行中の皆様にお知らせします。ただいまの放送は皆様に気持ちよく利用して頂くよう不法行為者に対して警告しているものです。ご理解とご協力をお願いいたします」

 その放送を合図にダンボールや荷物を積んだキャリーを引いて、ホームレスの人たち30人ほどが四方から姿を現し、思い思いの場所にで寝床を作り出した。谷沢さんの後について、今晩寝る場所を借りるためにそこで眠るホームレスの人にあいさつに向かった。スキンヘッドに白いあごひげ、とび職の青い作業衣を着ていた大谷一雄(仮名)さん(55)は、キャリアーから荷物を降ろし、ダンボールで寝床を作っている最中だった。

 「田村均(仮名)さん(52)が翌日にならないと戻らないから、草間さんとオレの間のこの場所ならいいよ」と大谷さんは快く承諾してくれた。拾ってきたダンボールを敷き、その上に持参した寝袋を広げた。寝ている間に盗まれないように、靴は枕元に置き、脱いだジャンパーはバックパックに突っ込み枕代わりにした。そうしている間にも、反対側では、寝床の場所争いなのか、胸倉をつかみ合ってケンカが始まっている。別のホームレスが仲裁に入った。【つづく】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト (PJ)コーディネーター 佐藤学【 東京都 】
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