大道芸の楽しみ方を忘れた日本人
2006年04月20日07時51分 / 提供:PJ
派手な民族衣装を着たペルー人たちが17日の夜、東京・秋葉原駅前で楽器演奏をしていた。電気街に買い物にきた欧米人の親子連れが聞き入っていた。腰を落とした日本人の若者が遠巻きに数人。オフィスから駅に向かう、大勢の通行人は楽団『アミゴス』を横目で一瞥し、通り過ぎていく。拍手は外国人のみ。売れるCDは細々としたものだ。
5人の楽団員は午後3時から演奏を続けていた。残り三曲、午後7時で止めるという。投げ銭が入った楽器ケースをのぞき見ると、千円紙幣が2枚と、硬貨がすこし。「日本人は忙しいね。立ち止まって聞いてくれない」と、楽団リーダーのカル・マンタさんがたどたどしい日本語で応えてくれた。日本に来て二年半。ほかのメンバーもほぼ同じ滞在期間のようだ。ふだんは新宿とか、横浜とか、秋葉原とかを回っている。今度の週末には静岡県・清水市のフェスティバルに行くという。
どこに行っても、通行人はあまり評価してくれないと、マンタさんは嘆く。3000円のCDが売れなくても、百円玉一つで喜ぶのが芸人。まず立ち止まって聞いて欲しいのだ。しかし、日本人は道路の芸人にたいして、ことのほか素っ気ない態度らしい。
遠い過去の日本は大道芸が盛んだった。バナナの叩き売り、がまの油売り、南京玉簾、紙芝居、バイオリン弾き、正月には獅子舞。これらが街頭の風景の一つ。庶民の癒しの娯楽と結びついていた。いまでは道路交通法で禁止。法律が背景にあるためだろう、日本人は大道芸を違法なものを見る態度となった。ひとつの法律が日本人の情感を奪い、路上の伝統芸能すら消させてしまったのだ。同時に、日本人は大道芸のたのしみ方を失ってしまった。
ペルーの楽団『アミゴス』が演奏している場所の信号を渡った、千代田区立・和泉橋区民館4階で、日本笑い学会(会長は井上宏・関西大学名誉教授)のメンバーのひとり川上千里さん(60代・薬剤師)が、『こころを伝える、むかしの遊び』と称し、十数人を集めたバルーンアート(風船の芸)の講習会を開いていた。秋葉原では初の開催だが、予想以上に人が集まったようだ。台東区民館では113回も続いている、と川上さんがみずから作った手づくりのチラシをみせてくれた。
団塊の世代が60代に入ってきた。定年後のシニアたちの間で、古典的な風俗芸能は静かなブーム。口上や身振りが愉快な南京玉簾、がまの油売りなど大道芸を学ぶ機運が高まっているようだ。シニアたちの芸人は公民館、区民センターなどで技量を磨き、各地の施設を回っている。
公園広場などは許可をとる手続きがやたら面倒。大道芸でありながら、路上で披露できない。車社会の法規制の道路交通法が足かせになっているのだ。大道芸で、多少のところ歩行者の邪魔になっても、目くじらを立てるひとは少ないはずなのに。
日本人は欧米人に比べ、スマイルや笑いが少ないといわれる。大道芸人たちの回りで笑ったり、音楽を聴いたり、飛び入り参加したり、笑いの多かった古来の日本人の心を取り戻したいものだ。歩道と車道の区分された道路ならば、危険はほとんどない。道路は国民の財産。大道芸に開放すれば、歩道が無料の舞台として有効活用できる。
庶民が投げ銭の百円玉ひとつで楽しめる、心豊かな日本をよみがえらせる。そのためにも、高齢化社会に見合った道路交通法の改正がのぞまれる。【了】
5人の楽団員は午後3時から演奏を続けていた。残り三曲、午後7時で止めるという。投げ銭が入った楽器ケースをのぞき見ると、千円紙幣が2枚と、硬貨がすこし。「日本人は忙しいね。立ち止まって聞いてくれない」と、楽団リーダーのカル・マンタさんがたどたどしい日本語で応えてくれた。日本に来て二年半。ほかのメンバーもほぼ同じ滞在期間のようだ。ふだんは新宿とか、横浜とか、秋葉原とかを回っている。今度の週末には静岡県・清水市のフェスティバルに行くという。
どこに行っても、通行人はあまり評価してくれないと、マンタさんは嘆く。3000円のCDが売れなくても、百円玉一つで喜ぶのが芸人。まず立ち止まって聞いて欲しいのだ。しかし、日本人は道路の芸人にたいして、ことのほか素っ気ない態度らしい。
遠い過去の日本は大道芸が盛んだった。バナナの叩き売り、がまの油売り、南京玉簾、紙芝居、バイオリン弾き、正月には獅子舞。これらが街頭の風景の一つ。庶民の癒しの娯楽と結びついていた。いまでは道路交通法で禁止。法律が背景にあるためだろう、日本人は大道芸を違法なものを見る態度となった。ひとつの法律が日本人の情感を奪い、路上の伝統芸能すら消させてしまったのだ。同時に、日本人は大道芸のたのしみ方を失ってしまった。
ペルーの楽団『アミゴス』が演奏している場所の信号を渡った、千代田区立・和泉橋区民館4階で、日本笑い学会(会長は井上宏・関西大学名誉教授)のメンバーのひとり川上千里さん(60代・薬剤師)が、『こころを伝える、むかしの遊び』と称し、十数人を集めたバルーンアート(風船の芸)の講習会を開いていた。秋葉原では初の開催だが、予想以上に人が集まったようだ。台東区民館では113回も続いている、と川上さんがみずから作った手づくりのチラシをみせてくれた。
団塊の世代が60代に入ってきた。定年後のシニアたちの間で、古典的な風俗芸能は静かなブーム。口上や身振りが愉快な南京玉簾、がまの油売りなど大道芸を学ぶ機運が高まっているようだ。シニアたちの芸人は公民館、区民センターなどで技量を磨き、各地の施設を回っている。
公園広場などは許可をとる手続きがやたら面倒。大道芸でありながら、路上で披露できない。車社会の法規制の道路交通法が足かせになっているのだ。大道芸で、多少のところ歩行者の邪魔になっても、目くじらを立てるひとは少ないはずなのに。
日本人は欧米人に比べ、スマイルや笑いが少ないといわれる。大道芸人たちの回りで笑ったり、音楽を聴いたり、飛び入り参加したり、笑いの多かった古来の日本人の心を取り戻したいものだ。歩道と車道の区分された道路ならば、危険はほとんどない。道路は国民の財産。大道芸に開放すれば、歩道が無料の舞台として有効活用できる。
庶民が投げ銭の百円玉ひとつで楽しめる、心豊かな日本をよみがえらせる。そのためにも、高齢化社会に見合った道路交通法の改正がのぞまれる。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
Ads by Google
コメントするにはログインが必要です
関連ニュース:PJ
- ツカサネット新聞も「休止」 「市民記者」存続に危機感
J-CASTニュース 11月10日19時05分(7) - ツカサネットよおまえもか! 11月末をもって一時休止の告知
PJ 11月08日09時38分(5) - 非常識な大阪府職員と同じ穴のムジナ、国民に年金をゆするJAL退職者PJ 11月06日12時27分(5)
- 護衛艦に非のないことを報道しない大手マスコミたち――「くらま」衝突事故PJ 11月06日11時18分(5)
- こうやって作られる「Google ストリートビュー」
PJ 11月10日07時50分(2)
- << 「言論の自由の尊さ」市民…
- PJニュース一覧
- おにぎりを素早くにぎる >>
PJニュースアクセスランキング
- りそな銀行破たんでのインサイダー疑惑、亀井金融相が興味示す=PJ出席の「第二記者会見」で
PJ 07日08時30分(2) - 消費者金融並み!クレジットカードの金利に驚いたPJ 26日07時08分
- 大手スーパーの年末・年始商戦、舞台裏に潜入ルポ
PJ 24日10時55分 - 笠井真由美さんら、丸の内マイプラザでサタデーコンサート『バレンタインプレミアム』
PJ 11日09時06分 - ツカサネットよおまえもか! 11月末をもって一時休止の告知
PJ 08日09時38分(4) - 公取委から排除命令の通販「ユーコー」から届いた「シルク靴下」をチェック
PJ 26日08時24分 - 秩父鉄道、創立110周年を迎える
PJ 09日08時29分 - 昔とんぼの旅日記-イラン編(20)
PJ 11日07時09分 - 「のらくろ」への思い、25年ぶりに一般公開=東京・江東区
PJ 11日07時18分 - 清掃車のごみ積み込みは、子供たちの好奇心の的。初冬のカメラ散歩(6・完)=東京
PJ 11日07時18分
注目の情報
過払い金返還の無料弁護士相談!消費者金融に払い過ぎた利息が取り返せる可能性があります
完済後もOK。返済中であれば取り立てを止めることができます
借金215万円がゼロになり、368万円戻ってきた事例も!!
弁護士相談24時間受付中
主なトピックス
おすすめ情報
ネットリサーチ
- 「事業仕分け」対象の選定は適切だと思う?
236 users
- テレビに出演する政治家は選挙に有利だと思う?
809 users
- 民主「介護賃金引上げ」実現できると思う?
836 users
- 「政治資金規正法」改正するべきだと思う?
445 users
- 酒井被告に1年6か月猶予3年、妥当だと思う?
1113 users
- 民主党の政権担当能力は及第点?
2172 users
特集
ケータイでニュースを見る















行きの電車、帰りの電車で