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未知の隣国(7=完)子どもは未来からの使者。

未知の隣国(7=完)子どもは未来からの使者。
子どもたちは何処でも明るく元気で可愛い。今日は仲良くお花見でも、先生が見ていなければ勝手気ままに動く。ソウル特別市、国会議事堂付近にて。4月13日。(撮影:今藤 泰資)
【PJ 2006年04月19日】− (6)からのつづき。 他国の恥部をさらけ出すつもりはない。ただ章を終えるに当たり、この事だけはどうしても記しておきたい。

 この事、それは俗に「四三事件」と称され、1948年4月3日チョジュド(済州島)で惹起された陰惨な殺戮事件のことである。反共を国是としてきた韓国では、2003年10月に行われた島民対話の席上、ノムヒョン大統領が初めてこの事件について謝罪し、また今年4月の慰霊祭では事件の全貌を明らかにすると誓ったのだが、その間60年近く、事件に触れるのはタブーとされてきた。

 45年、朝鮮半島は米国とソ連によって38度線で分断された。ソ連軍配下のキム・イルソン(金日成)は北鮮を、親米派のイ・スマン(李承晩)は南鮮を、それぞれ掌握することになった。48年2月に至り朝鮮民主主義共和国が樹立。同年の8月13日、大韓民国は樹立したが、混乱する政治情勢のなか、チョジュドでの小さな武装蜂起をきっかけにして、島民10数万人が極右集団と一部の軍隊に暴行殺戮されたのである。大義名分は共産思想の弾圧にあったが、チョジュが舞台でなければ、かくも恐ろしい事件にはならなかったろう。数日の恐怖を私はここに記す勇気はない。筆舌に表せない史実とだけ言っておこう。

 古来この火山の島には、ブ(夫)、ヤン(梁)、コ(高)という姓名に由来する「三姓神話」があった。その昔、三人の美女が東の海からやってきて、国を興したという伝説である。一衣帯水、対馬海峡を自由に行き来していた古代の人たちの姿が浮かびあがる。

 半島在住の朝鮮人からの差別を嫌い、「四三事件」の厳しい迫害から逃れた先は日本しかなかった。1910年代、渡来した朝鮮人の大半が済州島民だとされるほど、日本とは深い関係にあったのである。日本統治時代、港湾、炭鉱労働者を強制拉致した事実はあるにせよ、いわゆる「在日コリア」の大半は、自ら望んで日本を永住の地に選んだことを、両国は忘れてはならない。

 2001年春、W杯を控えた民間交流のため、我々茨城県の関係者は済州島ソギボ(西帰浦)を訪れた。そこで知り合ったのがブ・キョンジャ(夫京子)さんであった。隣席に座った日本語ボランティアの彼女から、「四三事件、シッテイマスカ?」と唐突に質問されて私は驚いた。さらに事件直後、大阪へ逃れた父親への思慕の念を聞くことになる。ボランティアを志願したのは、まだみぬ父恋しさの一念であったと言うのである。W杯を機に、せめて日本人と話でも出来ればという思いの深さに私はまた驚き、感激をした。その後キョンジャさんは初来日を果たし、ソギボは茨城県鹿嶋と姉妹都市協定を結んだ。

 日韓両国は民間交流をさらに重ねるべきと言いたいのである。間違っても指導者の内政不手際を、外交問題に摩り替えてはならない。今朝もまた、竹島の領有権をめぐってきな臭いニュースが流れている。闘いはスポーツの場だけでもう充分である。

 写真はヨイド(汝矣島)で見かけた幼稚園児である。「子どもは未来からの使者」、この子たちのためにも、20世紀の歴史を繰り返してはならない。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資【 茨城県 】
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