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防犯カメラは弱点だらけ?犯罪防止は人の目で!(下)

2006年04月15日08時52分 / 提供:PJ

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(上)からのつづき。広角カメラの店内設置はコストの面から台数が限られてくる。量販店などは全方位で監視できていない。カメラに背中を向けた万引きが、私物バックに商品を入れると、犯罪者の手元が映らないのが実態だ。それでは物的証拠になりにくい。

 トイレとか、試着室とかはカメラが設置できない。犯罪者がトイレブースに商品を持ち込み、私物のバックに入れ込む。なかには下着を履き替え、古いのを便器に流してしまう。となると、犯行の立証ができにくい。

 万引きがやり放題ではない。スーパー専属の保安員は心得たもので、トイレや試着室に持ち込んだ商品の数と、持ち出す数がちがえば、「奴はバッグのなかに、未清算の品物を入れたな」と犯行を特定する。店外に出たところで呼び止める。防犯カメラの死角にこそ、保安員が張り込んだり、目を光らせていたりする場所なのだ。

 これらの弱点を解消するために、防犯タグシステムが登場してきた。カメラの死角で商品を隠し盗っても、未清算の品物を店外に持ち出そうとすれば、玄関ゲートでアラームが鳴る仕組みだ。レンタルビデオ店などが早期に導入したシステムである。

 アラームが鳴れば、前後の10秒間はハードディスクにしっかり映像が残されているシステムだ。一日にアラームが鳴る回数は限られている。記録容量に余裕ができる分、デジタル画像の鮮明度は高い。画像から、人物の特徴がつかめるのが特徴だ。

 最近は量販店でも、このタグシステムの採用が進んでいる。これにも弱点がある。まず生鮮食品にはタグの取り付けができないことだ。衣料品、電化製品などは高額品にタグをつけている。しかし、不慣れなレジ従業員が、清算ずみ商品の防犯タグを取り忘れることがある。防犯ゲートのアラームが鳴ったからといって犯人扱いできないのだ。

 「もし誤認だったら、代金を支払われたお客さんを泥棒扱い。それによる店の信用失墜のほうがこわいんです」と、持ち物検査には及び腰だ。そのうえ、レンタルビデオ店から借りたビデオを持ち込めば、センサーが反応してしまう。となると、なおさら臆病になる。

 大手量販店の防犯システムのほとんどが、警備会社とオンラインで結ばれている。夜間警備となると、複数のシステムが一連で作動する。深夜、不審者が無人の建物に侵入すれば、人体の熱と微風とに反応するインフラレットセンサーがはたらく。と同時に、テレビカメラが作動し、映像として記録に残る。即時、警備会社の情報センターから110番通報が行われる。夜間の侵入者の検挙率は高いものがある。

 昼間となると、インフラレットセンサー・システムは解除されている。万引きを補足するのは、どこまでも保安員の目である。

 『犯罪の最大の防御は、検挙だ』これが犯罪抑止の格言である。最近は外国人犯罪、組織的な窃盗団が横行し、悪質な大量盗難が頻発する。これらが対処できる保安士専門の派遣会社への需要が多い。こうした会社が数多く設立されている。つまり、防犯カメラはあまり役立たないが、保安員や保安士の目が犯罪抑止につながるという認識なのだ。

 「客の目の動きだけで、奴は狙っているな、盗るぞと判別できる」と、元警視庁刑事の保安員が語ってくれたことがある。怪しいと判断すれば、尾行が始まる。防犯カメラには、そうした人間特有の勘や執念が生まれない。

 高層マンションでは、玄関での指紋認証や眼球の虹彩などの生体識別とか、廊下やエレベーターの防犯カメラとかが売りなっているようだ。入居者はセキュリティーが万全だと、思い込んでいる節があるようだ。
 
 防犯カメラへの過剰期待や100パーセントの依存はかえって危険だ。犯罪者が巧妙な手口で玄関の内側に入ると、むしろ弱点と盲点だらけ。デパートや量販店のように、元警察官などプロが巡視しているわけではない。犯罪のやりやすい密室になってしまうのだ。

 エレベーターのなかに防犯カメラがあっても、管理人が24時間モニターを監視しているわけではない。掃除、配達、各種機械の点検、日誌の記帳と目が離れている。そのうえ、住民どうしは顔がわからない。不審者が廊下を歩いていても、おなじ住民か、友人か、親戚の人だと思ってしまう。

 川崎のマンション事件で容疑者は逮捕された。だが、死んだ小学生は生き返らない。防犯カメラが犯人を鮮明に写していても、住民が殺されてからでは役に立っていないのと同じことなのだ。

 犯罪防止ができるのは人間の目のみ。それを証明するために、PJはあえて防犯カメラのシステムがもつ欠陥の一部を発表した。それをもって防犯カメラの効能を論じるひとたちに警鐘を鳴らしたい。

 マンション住民全員による連帯感の構築、近所づきあい、見知らぬ人間への声かけ運動。これらの姿勢が最大の犯罪抑止になることをつよく訴えたい。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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