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東京・葛飾の春の風物詩。子どもらが喜ぶ花祭り

2006年04月10日15時56分 / 提供:PJ

pj
東京・葛飾の春の風物詩。子どもらが喜ぶ花祭り
釈迦誕生の花祭りで、子どもたちが寺の境内の露店で遊んだり食べたり、昔ながらの光景。東京葛飾区の木下川薬師で。(撮影:穂高健一)
いにしえから子どもたちは甘いものが大好きだ。4月8日は灌仏会(かんぶつえ)のお釈迦さまの誕生を祝う日だ。甘茶が飲める。最近は食べ物が豊富で、甘味には不自由しない。それでも毎年、東京都葛飾区の下町っ子は花祭りとなると嬉々としている。

 荒川放水路に面した木下川(きねがわ)薬師は、江戸時代には将軍家が鷹狩の際、立ち寄る御膳所(ごぜんしょ)だった。創建は平安時代初期(849年)までさかのぼる、都内でも屈指の由緒ある寺だ。

 寺宝として薬師如来像(最澄の作)、徳川家康画像(狩野深幽作)などが保存されている。境内に目をむけると、徳川家光が参詣のときにみずから植えた『登美(とみ)の松』が有名だ。命名は八代将軍の吉宗。いまは二代目の松だが、松碑は勝海舟の揮毫(きごう)がある。

 徳川家には縁の深い寺だけに、むかしから花祭りは賑わう。明治維新後からは「花祭り」の花にちなんで植木の市が8日、9日と二日間開かれるようになった。第二次大戦前後の一時期をのぞけば、この行事は長く下町の住民に親しまれてきた。

 8日の大護摩(ごま)修行は住職を含めた8人の僧侶によって、午前11時と午後1時の2回行われた。境内では草花で飾った花恩堂(はなみどう)を設け、灌仏桶を置き、誕生仏の像を安置し、甘茶を満たす。右手を上げ、左手を下に向けた釈迦像だった。生まれたばかりの釈迦が七歩あるいて、「天上天下、唯我独尊」といったという姿である。

 参拝客は柄杓で甘茶を釈迦の像にかけて祝う。他方で、コップ一杯20円で甘茶が売られている。ある母親が「砂糖が入っているのですか」と聞く。寺の伊藤さん(女性)は親切な口調で「自然の甘味ですよ」と教えていた。

 甘茶とはユキノシタ科ガクアジサイの変種の若い葉を蒸して、乾燥させたもの。PJが伊藤さんに寺での作り方を聞いてみた、「乾燥した甘茶を二つの大鍋で煮出しをおこないます」という。三つの木桶に移す。「かなり濃厚なので、当日は水で、ほどよい飲みやすさに調整します」と話してくれた。

 甘茶を飲んだ子どもらは、参道の両脇、および3千坪の境内にところ狭くならぶ、露店をのぞく。金魚すくい、お好み焼き、きび団子、たこ焼き、りんご飴、氷、フランクフルトと多種多彩だ。みた目にも100軒はあるだろう。

 大人の興味の目は植木市に向けられている。沈丁花、桃の花、八重桜、ブルーベリー、海棠、クチナシ、椿、木瓜など苗木がずらりならぶ。人々の心が季節的にも花に傾くだけに、夫婦で値段を交渉している姿が目についた。境内には忘れな草、桜草、金魚草、すずらん、マーガレット、矢車草など花の種類も豊富だ。年寄りから若い夫婦まで、のぞきこんでいる。

 露店をまわってきた子どもたちは、ふたたび花恩堂で20円を差し出し、甘茶を飲んでいた。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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