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子どもたちが絵巻物づくり、将来は芸術家!=茨城・取手

2006年04月01日08時22分 / 提供:PJ

pj
映像作家の松本力さん(38)が主催する『絵巻物アニメーションをつくろう』というワークショップが茨城・取手市で実施された。サブタイトルは『絵巻物マシーンを使って、みんなでロールアニメーションを作り、上映会をしましょう』という内容だった。

 一枚のポスターだけでは、PJには何が行われるのか、見当がつかなかった。3月26日、JR取手駅前のTAPサテライトギャラリー横の、会場に出向いてみた。園児から小学生たち約20人がクレヨンなどで思いおもいの絵を描く姿があった。画用紙は八センチ幅で長さ18センチの帯状。一人二、三枚ずつ割り当てられていた。

 取手市内には東京藝術大学の先端芸術表現学科がある。取手市は芸大と行政と市民と三位一体で『芸術の街づくり』を推し進めている。そのなかで生まれたのが、取手アートプロジェクト(TAP)だった。メンバーの多くが芸大生である。今回のワークショップはTAPの企画である。芸大生たちが松本さんの手足となり、しっかりサポートしていた。

 大勢の子どもが描き上げた作品がやがて一つに結ばれた。約100メートルの長さ。まさに絵巻物である。約1200年前の平安時代の貴族たちは、円形に巻かれた絵巻を手繰り、物語を楽しんでいた。それが娯楽の一つだったと思われる。

 松本力さんは、そのまま見るのでなく、約100メートルの絵巻物を糸巻き(ボビン)に巻き取った。ボビンは世田谷のボロ市から買ってきたという。数十年前の紡績工場で廃っていたような古いものだった。映写機を据えたアイロン台もおおかたボロ市で買い求めてきたものだろう、100円以下だと思う。

 「私たち芸術家は、貧しいですからね」という松本さんはみずから絵巻物マシーンを製作していた。見た目が悪くても、子どもに夢が与えられるから、芸術家には不思議な魅力があるものだ。一連の準備が整うと、松本さんは親子全員を映写室に招いた。ボビンに巻かれた約百メートルの絵巻物をまわす。と同時に、モニター・カメラが絵をとらえ、大型スクリーンに映しだされた。

 「スイカまん、パイナップルまん、やってきたぞ、やってきたぞ」。松本さんが古びた音の悪い木琴を叩きながら、声に抑揚をつける。それを描いた女の子は「私のだ」と喜ぶ。「おやおや、ウインナーとパセリがなかよく旅をしています」というと、親子がいっせいに笑う。松本さんは絵巻物を即興で読み取り、ユーモアたっぷりに物語を組み立てていた。

 このワークショップには、NPO『ピクニック探検隊』代表の野口百合子さん(三十代後半)が、十数名の子どもを引率し、参加していた。この会は月に一度、親子連れを募り、世田谷美術館や水戸美術館などにバスツアーで出向く。鑑賞した後、利根川の河川敷などでピクニックをおこなう団体だ。

 「子どもの芸術の芽を育てたい」と、野口さんが活動を熱っぽく語っていた。松本力さんのワークショップは、2003年に大阪市立医学部付属病院の小児科病棟で実施している。05年には北海道・音更小学校で3クラス96人によって行われた。 

 松本さんから、絵巻物のワークショップのねらいを聞いた。「子どもたちは絵を描くことが好きです」と前置きした。保育園、幼稚園、小学校でも出来上がった作品は教室の壁面に展示し、先生や親が誉める。「良かったわね。上手ね」大半はこれで終わり。子どもたちの芸術的な能力と興味を引き出すには弱い。「絵巻物だと、スクリーンを通して、自分の作品を客観的に見ることができます。芸術の芽が一段と育ちます」と説明する。

 ロールアニメーションの総原価はおおかた千円未満だろう。それでいて子どもらに夢と将来を与えている。松本さんから日常生活のすべを聞けば、たしかに貧しい芸術家だ。他方で、三位一体でTAPを立ち上げた取手市には、若手芸術家をサポートする風土が出来上がりつつあるようだ。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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PJ  アニメ  北海道  小学生  三位一体  
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