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東京都下で、かやぶき屋根の葺き替え工事

2006年03月31日14時53分 / 提供:PJ

pj
東京都下で、かやぶき屋根の葺き替え工事
東京都ではめずらしい、かやぶき屋根の工事。青梅市御岳山で。(撮影:穂高健一)
場所は都内にある御岳山(929メートル)の神社下に位置する、馬場家の住宅だった。民家である。茅の厚みは目測で約30センチ。杉と檜の上皮を茅の間に何枚も差しこみ(トラ葺き、あるいは縞葺き方式)、それを上下に締めつける葺き替え中だった。都内だけに、実にめずらしい。

 屋根に登った作業員はふたりだった。葺き替え職人だと思って声をかけてみると、ひとりは家主の馬場克巳さんで、本職ではなく手伝いだという。職業を聞くと、武蔵御岳神社の神主(禰宜・ねぎ)というからおどろかされた。

 馬場家は戦国時代の武田家の重臣だった。幕末の慶応2(1866)年に、十代目が沢井村の工匠に依頼して建造した家だという。それから歳月が経った平成元(1988)年3月に、東京都有形文化財(建造物)に指定されている。いまも親子二世帯の4人がすむ住居だった。

 資料によると、家屋の桁行は約12.7メートル、梁間は約9メートル。入り母屋造り、平屋建て(一部二階)だった。馬場さんの説明によると、屋根が傷み、雨漏りしてきたから都に申請し、許可が出たので工事に取り掛かった、約20年ぶりの吹き替え工事だと語る。屋根の葺き替え工事の負担は東京都、青梅市、馬場さんの三者によるものだという。

 「むかしのように、室内で囲炉裏(いろり)を焚けば、屋根はもっと長持ちするんですがね。最近はコタツにストーブだから、茅が長持ちしないんです」と教えてくれた。囲炉裏の効果は先人の知恵でいろいろメリットがあるようだ。室内の煙が燻ることで、茅がワックスを塗ったようにカチカチに硬くなる。つまり、茅の燻製(茅のドライフラワー)ができあがるから、虫がつかなくなる。

 現在は囲炉裏を使わないから、屋根に虫はつくし、茅は腐葉土のようになり、そこに苔が生えるし、草木の胞子が飛んできて成長する、と馬場さんは語る。作業中の馬場さんの手元にある、茅や檜の上皮を切るハサミを見せてもらった。植木職人が使う剪定バサミとほぼ同じ大きさ。違う点は、先端が弧を描いて反っている。道具の名を聞いてみたけれど、明瞭な答えはなかった。

 屋根を葺く手順となると、細かく説明してくれた。30センチの厚みの茅をサンドイッチのように、竹と木で上下に挟み込み、針金で締めつけて固定させる。むかしは締め付けには縄か竹釘を使っていた。だが、囲炉裏を使わないから、藁など簡単に腐ってしまう。だから、針金にしていると教えられた。

 かやぶき屋根の家の住み心地を聞いてみた。「夏場は涼しいですよ。扇風機を使う必要はないくらいに。ただ温暖化の影響でしょうね、十年ほど前は、夏の温度が20度平均だった。最近は24度です」という。冬場は特別なメリットはないようだ。

 馬場家には現在も戦国時代の家具とか、駕籠とか、重宝なものがあるようだ。公開もしてくれるらしい。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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