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東京下町を走る都電は生き返った(下)

2006年03月25日07時52分 / 提供:PJ

pj
東京下町を走る都電は生き返った(下)
都電が専用軌道から、自動車と一緒に走る併用軌道に出ていく。飛鳥山交差点で。(撮影:穂高健一)
(上)からのつづき。 荒川営業所に立ち寄ってみた。春休みの子ども向けイベントが実施中。五カ所の停留場をまわり、『子ぎつねへレーン』の数を記入してゴールに入れば、参加賞、抽選で「ぬいぐるみ」などの景品がもらえる内容だった。同停留場のベンチで、鈴木さん(30代・女性)が1歳児の赤子を抱いて都電を待つ。四年前から近くのマンションに住むという。都電をつかって王子駅に出れば、大宮駅に行くのも、品川駅に行くにも早いし、住むにはたいへん便利なところですと語る。「だから、ここらは人口が増えてるんですよ。少子化の時代なのに、尾久第六小学校は生徒の数が増えたし、教室を増やす工事をしてるんですよ」と教えてくれた。

 学校関係者に確認すると、いまは普通学級が10教室。新学期からの生徒増に対応できる、教室の増築工事が行われているという説明があった。学校閉鎖の暗いはなしが多いなかにあって、小学生児童の増加とは羨ましい自治体も多いはず。『下町庶民の足』都電がかなり寄与しているのだろう。

 王子駅では大半の乗客が入れ替わった。都電が急坂のカーブをまわる。飛鳥山で下車してみた。小高い丘陵の公園で、江東区大島のスーさん、島さん(60代女性)から話しが聞けた。ふたりはともに若いころ都電を利用していたので、懐かしさから一日散策にでてきたと説明する。鬼子母神、巣鴨地蔵に立ち寄ってから飛鳥山にきた。桜の時期には早すぎたけれど予想通りだといい、失望はしていなかった。

 大塚駅前から隣の席に座ったのが、世田谷からきた70代の女性ふたり。都電の魅力を語ってもらった。ふたりは玉電が消えた淋しさを語ってから、「都電がいつまでも残ってて、本当に良かった」という。車窓からみる町並みには情感があるし、停車場の名まえがいいし、水彩画を描くうえで、どこも絵になると誉めっぱなし。話題が都電の走っていた六本木交差点に及ぶ、懐古になったとたんに、終点の早稲田に着いてしまった。
  
 沿線の桜の名所は荒川遊園地、飛鳥山、高戸橋周辺(神田川に架かる橋)の三カ所。ともに絢爛豪華に咲く。と同時に、都電の乗客数が年間を通して最大になる。やってきた都電が満員でも、心配することはない。次の都電がもう視界に入っているほど本数が多い。出発の合図のチンチンという軽やかなひびきを聞けば、楽しさは倍加する。花見には都電がお勧めだ。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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