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早春の能登半島を訪ねて(下)

早春の能登半島を訪ねて(下)
雨に濡れる能登半島の「白米千枚田」。(撮影:小田光康)
【PJ 2006年03月23日】− (上)からのつづき。30年前の国鉄七尾線。小学生だった記者は金沢発のディーゼル列車に乗り、津幡駅を過ぎ田畑の真ん中にぽつんとあった小さな駅で貨物列車とすれ違った。それが蒸気機関車であったと記憶している。

 輪島塗りで有名な輪島まで国鉄七尾線はつながっていた。1991年に和倉温泉まで電化されたのをきっかけに、七尾から輪島までの区間は「のと鉄道」に移管された。その後の2001年に、穴水・輪島間は運転を取りやめた。乗客数の減少がその原因という。雨天の午後、輪島の街並みはひっそりしていた。

 輪島には漆器だけを集めた美術館もあるほどだ。この漆器の町にはいまでもバブルの爪痕が残る。長年、この地方の銀行に勤めていた叔父は、この問題に詳しい。というより、当事者だった。去年定年を迎えて、90歳になる義理の父親の面倒を見ているのだが、時折、昔の取引先を訪れることもある。

 「借金が返せなくなって、大きな輪島塗りの屏風を何個も差し出されたこともあった。『これほどのモノだったら、1000万円くらいにはなるだろう』というのだが、これらを飾るにふさわしい立派なホテルも経営に苦しんでいた。あてどもなく、引き取り先を探したこともあった」。その叔父はこう話した。

 鉄道が廃止されて、輪島の町がますます寂れていくという。「高速道路ができて、金沢からの日帰り観光客ばかりになってしまい、能登の宿に泊まる客が減ってしまった。鉄道があった時代は、ゆっくり旅をしていた人が多かったので、観光収入も多かった」と叔父は振り返った。

 その輪島でいま、観光の一つの売りになっているのが「白米千枚田」だ。多くの人が輪島の朝市を訪れた後、この棚田の見物に来るという。この時期の能登半島は、田起こしにはまだ早い。田植えの時期にはボランティアの人たちで活気づくという。連休前頃から、能登半島は観光客で渋滞がひどくなる。長雨がつづく、ひっそりとした今の時期に、能登を訪れるには良いのかもしれない。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
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