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「名誉毀損事件」問題本、なぜ市場に出回っているのか?

【PJ 2006年03月14日】−
昨年8月、出版物やホームページで阪神タイガース球団関係者らの名誉を毀損したとして、記者・渡辺直子が今月3日、懲役8カ月、執行猶予4年の判決が神戸地方裁判所で言い渡された。この事件に関しPJニュースで報道を続けていた記者に対して、「問題となった著書が、現在も市場に出回っているのは、なぜなのか。通常、出版差し止めの措置などがとられ、問題となった本が市場に出回らないような策がとられるのではないのか」との質問があった。その方はその著書を、ネットを通じて購入したとおっしゃっていた。記者は読者からいただいたメールにより問題の本が現在、誰でも購入することができる状況下であることを知った。

 著者である以上、通常は本が売れれば、出版社から印税が支払われる。だが、記者の場合、印税は出版社から、出版当時から現在に至るまで、一切頂いていないことを明言しておきたい。そしてなぜ、その著書の出版差し止めの措置が講じられないのか、検察からの説明などをお伝えしたい。

印税とは
 印税とは出版社が著者に対して支払う著作権使用料のことである。一般的に印税は「発行部数×販売価格×印税率」という数式に基づいて支払われる。例えば、1200円の書籍を1000部発行し、印税率が10%とすると、「1000×1200×0.1=12万円」ということになる。

 印税率は出版社との契約によって決められ、初めて本を出した新人と売れっ子作家では差が生じてくるという。初刷りは3%〜10%という場合が多いようで、また、支払い方法によって買い取り印税と売り上げ印税に分けることができるという。買い取り印税とは初版本の売り上げ如何にかかわらず、発行部数に乗じた金額が一括で支払われる方法で、売り上げ印税は購入された部数に乗じて支払われるもので、リスクは著者と発行側の両方が負うことになるという。

 売り上げ印税について具体的に言えば、1000部発行し、ある月は10部、ある月は100部、ある月は0ということになった場合、出版社は、そのたびに売り上げを把握し、計算をし、著者に通知、振り込みという手順を踏まなければならないという。また、印税が支払われるのは企画出版と共同出版の場合のみで、自費出版の場合、全ての金銭的リスクを著者が背負う代わり、売り上げから経費を差し引いた分、全て受け取ることができるとされている。

記者の場合、印税についての取り決めは
 印税については、上記のような規定があり、出版時に、出版社と著者が印税率についての取り決めをするようである。記者の場合には、出版社社長から、本を出すと印税が支払われることになると説明は受けた。だが実際、本が出版されてからは、印税が記者に支払われることはなかった。

印税を請求しなかった理由
 記者が、印税を請求しなかった理由は、その著書の執筆に関して、記者がまとめた「渡辺省三、転落死の真実」の原稿を参考にされ、編集作業に携わってくださった編集人であるジャーナリストが、実質上の執筆者であると認識していた。このことから、実際、労を尽くされたのは、編集人のジャーナリストであり、仮に、印税がジャーナリストに出版社から支払われているとしても、異議を申し出ることはできるものではないと、当時から判断しているからである。

問題の著書がなぜ、出版差し止めの措置が講じられないのか
 検察の説明によると、出版差し止めの措置を講じるためには、誰かが原告となり民事訴訟を提起し、出版差し止め訴訟を起こさなければ、本が市場に出回ることを阻止する方法はないという。つまり、出版当初から現在に至るまで、誰も出版差し止め訴訟を起こしていないため、本は市場に出回っている状況下のようである。

出版社のホームページでは、名誉毀損事件の関連本としてその著書を紹介
 出版社のホームページを見てみると、その著書が名誉毀損事件関連のおすすめ本として紹介されていた。また、記者は近所の書店で、現在その著書を購入できるかどうか調べてみた。販売員によると、店頭にはないが、取り寄せることはできるという。ちなみに、その著書で名誉棄損された側は05年12月19日に行われた出版社社長の2回目の公判で、検事から「どうして、民事訴訟を提起して、出版差し止めの法的措置を講じなかったのですか」と質問された。その質問に対して、一人は、「民事訴訟を起こして勝訴するのはわかっているが、私の大先輩である渡辺省三さんの娘さんから、損害賠償金を請求することは、気兼ねする思いがしました」と述べておられた。また、もう一人は、「弁護士さんに相談したところ、民事訴訟であれば、何度も、自分が原告として裁判所に出向かなくてはならないと言われ、刑事告訴であれば、1度くらい裁判に出廷するだけで、何度も、裁判所に足を運ばなくても済むと言われましたので、刑事告訴することを選びました」と述べておられた。

 この日の証言からすると、名誉棄損事件の原告側が今後、民事訴訟で出版差し止め訴訟を提起されることは、皆無に等しい状況だ。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 新納 直子【 兵庫県 】
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