13日、日本外国特派員協会で講演する「立川自衛隊監視テント村」の大洞俊之(右)さんと大西章寛さん(撮影:佐谷恭)

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東京都立川市の自衛隊官舎に反戦ビラを配ったとして、昨年12月に住居侵入の罪で東京高裁から罰金刑を言い渡された、反戦団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー大洞俊之さんと大西章寛さんが13日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演した。大洞さんは海外メディアの記者らを前に「ポストにビラを入れただけで、住居侵入の罪に問われた例は以前はなかった。広範な世論を作り、最後には無罪を勝ち取り、流れを変えて行きたい」と訴えた。

 「立川自衛隊監視テント村」によると、2004年2月、同団体事務所やメンバー宅など計6カ所に警視庁と立川警察の家宅捜索が入り、大洞さんらメンバー3人が逮捕された。同年12月に、東京地裁八王子支部は無罪判決を出したが、検察が控訴。05年12月に東京高裁は一審判決を破棄し、3被告に罰金10万−20万円を言い渡した。3被告は最高裁に上告している。

 有罪判決について、大洞さんは「1970年代からポストにビラを投函しているが、逮捕や通報をされたことはなかった。自衛隊も隊員募集のビラをポストに入れているように、市民的な感覚からすると、ポストにビラやちらしが入る方が常識と言える。事件の後、反戦団体が次々に捕まっており、反戦運動の萎縮が弾圧の狙いだったと考えている」と述べた。大西さんは「許せない判決。自衛隊に市民がコミュニケーションを取る機会を奪う判決でもある」と語った。

 同事件を契機に、いくつかの反戦団体が、自衛隊官舎などへのビラの投函を止めたという。検察の思惑通りに事が進んでいるとすると、今後どう打開していくのかと問われ、大洞さんは「反戦運動はビラまきだけではない。集会などを以前と同じように行っているし、ダイレクトメールや新聞の折り込みなどの方法を模索している」と話した。【了】

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