ユーモアは人生の隠し味(上)
2006年03月09日08時46分 / 提供:PJ
二世代前の日本人は、若くして戦争に駆り出され、大家族制の子たくさんの生活を支え、60歳にして気づけば、精魂使い果たしていた。還暦を過ぎれば、めでたし、めでたし。赤いチャンチャンを着て背を丸めてコタツに入り、ミカンを食べながら孫の相手だった。
団塊の世代が60歳台に到来した。いまやシニアの時代だといわれている。各市町村の広報をみればパソコン教室、ダンス教室、英会話、還暦野球、俳句、ハイキングと中高年齢者向けの募集や記事の活字が踊る。かつては『お役所から与えられた企画』だった。最近ではイベントに対する企画力、実行力を兼ね備えた『シニアによる手づくりの教室や催しもの』へと変化してきた。若者には決して引けをとらないと、意気込むシニアたちが立ち上げるNPO団体も増えてきている。
東京・千代田区の泉橋区民館では、第三月曜日の午後6時15分から『ユーモアスピーチ発表会』が開催されている。主催者はユーモア共和国の一ノ瀬善秋大統領(世田谷区)である。02年10月に立ち上げたときは12人。4年間後の現在では、30人部屋が満席になるほどの人気だ。小噺、コント、落語、かくし芸。さらには日常生活の失敗談、見た話、聞いた話なんでもあり。一人三分間で、『笑わせる技術』を磨いている。明るくカラッと笑ってもらえば、それでいいそうだ。
この会の特徴は、全員が観客であり、演技者だという点にある。月一回の発表は訓練の場、発表の場なのだ。観客でも一人残らず、高座にあがらされてしまう。取材のPJも例外ではなかった。
2月度の定例会にはインターネットで知った、岩手県の五十代半ばの女性が東北新幹線できていた。何か別の用で上京なの? と聞いてみた。「この会のためだけですよ」という。女性は地方都市の街なかの喫茶店経営者だった。地方都市の特徴で、客の大半が年金生活者らしい。年取った人には笑ってもらうことが大切。笑いは地域の人たちに役立つ。最近はそれをつよく意識していたから、交通費も苦ではなかったという。
『I・H・Rユウモア共和国』の大統領と称する一ノ瀬さんは、まじめな顔で『憲法』を発布し、内容を細かく披露していた。『戦争と武力、暴力の行使は永久に放棄する。喧嘩もつまらないからやめろと言いジョーク、エスプリ、ウイット、ユウモアを駆逐して平和的に解決する』(原文どおり)とか、『不機嫌、仏頂面は禁止、罰金刑もある』(抜粋)とか、『殺すな、盗むな、犯すな』という人間基本法とかを可笑しく真顔で説明する。全文を読むと、憲法、眠法(民法)、笑法(商法)、稽法(刑法)が渾然一体になっているだけに可笑しさがあった。
一ノ瀬さんは30年間『話し方教室』の講師だった。長く務めるほどに、「笑とユーモアは人間生活のなかで大切なもの。笑えば、人間は心を開く」という点にたどり着いたという。しかし、笑いには品位と知性がないといけない。下品であってはダメだと強調する。
「書きことばと違い、話し言葉にはゼスチャーや顔の表情が加えられるから、いっそう可笑しさが表現できます」という。3分は900文字。それだけあれば、話す内容の構成をひと工夫すれば、大勢の前で笑わせられる。「笑いがあれば、聞く相手は心を開く、家庭も明るくなるものです」。一ノ瀬さんは、初心者にはまず落語の小噺を覚えてもらうことから勧めている。やがて笑いの妙味を知れば、意外性で笑わす材料探しにも真剣になれるという。【つづく】
団塊の世代が60歳台に到来した。いまやシニアの時代だといわれている。各市町村の広報をみればパソコン教室、ダンス教室、英会話、還暦野球、俳句、ハイキングと中高年齢者向けの募集や記事の活字が踊る。かつては『お役所から与えられた企画』だった。最近ではイベントに対する企画力、実行力を兼ね備えた『シニアによる手づくりの教室や催しもの』へと変化してきた。若者には決して引けをとらないと、意気込むシニアたちが立ち上げるNPO団体も増えてきている。
東京・千代田区の泉橋区民館では、第三月曜日の午後6時15分から『ユーモアスピーチ発表会』が開催されている。主催者はユーモア共和国の一ノ瀬善秋大統領(世田谷区)である。02年10月に立ち上げたときは12人。4年間後の現在では、30人部屋が満席になるほどの人気だ。小噺、コント、落語、かくし芸。さらには日常生活の失敗談、見た話、聞いた話なんでもあり。一人三分間で、『笑わせる技術』を磨いている。明るくカラッと笑ってもらえば、それでいいそうだ。
この会の特徴は、全員が観客であり、演技者だという点にある。月一回の発表は訓練の場、発表の場なのだ。観客でも一人残らず、高座にあがらされてしまう。取材のPJも例外ではなかった。
2月度の定例会にはインターネットで知った、岩手県の五十代半ばの女性が東北新幹線できていた。何か別の用で上京なの? と聞いてみた。「この会のためだけですよ」という。女性は地方都市の街なかの喫茶店経営者だった。地方都市の特徴で、客の大半が年金生活者らしい。年取った人には笑ってもらうことが大切。笑いは地域の人たちに役立つ。最近はそれをつよく意識していたから、交通費も苦ではなかったという。
『I・H・Rユウモア共和国』の大統領と称する一ノ瀬さんは、まじめな顔で『憲法』を発布し、内容を細かく披露していた。『戦争と武力、暴力の行使は永久に放棄する。喧嘩もつまらないからやめろと言いジョーク、エスプリ、ウイット、ユウモアを駆逐して平和的に解決する』(原文どおり)とか、『不機嫌、仏頂面は禁止、罰金刑もある』(抜粋)とか、『殺すな、盗むな、犯すな』という人間基本法とかを可笑しく真顔で説明する。全文を読むと、憲法、眠法(民法)、笑法(商法)、稽法(刑法)が渾然一体になっているだけに可笑しさがあった。
一ノ瀬さんは30年間『話し方教室』の講師だった。長く務めるほどに、「笑とユーモアは人間生活のなかで大切なもの。笑えば、人間は心を開く」という点にたどり着いたという。しかし、笑いには品位と知性がないといけない。下品であってはダメだと強調する。
「書きことばと違い、話し言葉にはゼスチャーや顔の表情が加えられるから、いっそう可笑しさが表現できます」という。3分は900文字。それだけあれば、話す内容の構成をひと工夫すれば、大勢の前で笑わせられる。「笑いがあれば、聞く相手は心を開く、家庭も明るくなるものです」。一ノ瀬さんは、初心者にはまず落語の小噺を覚えてもらうことから勧めている。やがて笑いの妙味を知れば、意外性で笑わす材料探しにも真剣になれるという。【つづく】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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