仕事を休んだことは一度もない。鈴木愛理を支えるのは「自分は強くない」という意識

2017年までアイドルグループ・℃-ute(キュート)のメンバーとして活躍し、2018年からソロヴォーカリストとしての道を歩みはじめた鈴木愛理。来春には横浜アリーナでの単独公演が決まるなど、活躍の幅を広げている。

音楽活動と並行して、女性ファッション誌『Ray』の専属モデルも務めており、キュートなルックスはもちろん、力強いパフォーマンスと、ふんわりとした和やかな空気感とのギャップに同性が憧れるのもうなずける。

日々パワフルに活動する彼女だが、℃-ute時代から一度も仕事を休んだことがないという。そのプロフェッショナルな姿勢や仕事との向き合い方、大好きな歌への思いを聞いた。

撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

今はボイトレを休んで、自分らしく歌える研究をする時期

今年9月にリリースした1stシングル『Escape』後のツアー(『鈴木愛理 LIVE 2019“Escape”』)では、MCなしの90分間ぶっ続けでパフォーマンスをされるなど、鈴木さんのパワフルさはどんどん増しているように思います。ボイストレーニングなどにもかなり力を入れたのではないでしょうか?
昨年にインタビューをしていただいたときは、ひとりで2時間歌い続けるのが不可能な体だったんです。そこからボイトレで喉の使い方を考え直して、長く歌えるように体作りをしていきました。

でも、最近は“自分らしさ”を出したいと思っていて、ボイトレはお休みしているんです。自分らしく歌える研究をする時期って感じで。
自分らしく歌える研究とは?
私はすぐに頭が固くなってしまうところがあるので、2時間歌い続けられる喉はボイストレーニングでできあがったのですが、そこで教わった理論に固定されてしまうんです。その喉の使い方や理論をいったん忘れて、自分らしさを乗せて歌えることができたらいちばんいいなと思っていて。

ソロになってからイヤモニ(イヤーモニター)をつけて歌う機会が増えましたが、℃-ute時代はステージのスピーカーを聴いて歌うことが普通でした。それに25年間慣れてきたこともあって、そっちのほうが自分らしく歌えるというか、解放感があるんですよね。だからこそライブでも、イヤモニをつけずステージのスピーカーだけで歌ってみたりもして。

どんなライブやステージだったとしても、自分がいちばん音楽を楽しめる環境で歌えば、音楽はしっかりお客さんに伝わると思うので、今はいろいろと試して自分らしさを探しています。

最近は音楽活動でも、着飾るより、本来の鈴木愛理らしさをみなさんにお届けできたらなと思うんです。自分を削ってみなさんに見せていくというか…イメージとしては、自分の顔を分け与えるアンパンマン的な(笑)。

いい意味で、自分の感情の起伏と付き合えている

鈴木さんは、℃-ute時代も含めて一度もお仕事をお休みされたことがないと聞きました。体調管理はどのようなことを意識されているのですか?
自分の体力を過信しないことですかね。基本的に「自分は強くないんだ」って思っていて、何かあったらすぐに対処!

胃の調子が悪いかもしれないと思ったら、大根おろしを食べておこうとか、ちょっとした気づきに敏感になることが大事だと思います。肩こりとか、感じるうちはまだよくて、感じなくなったら慢性化と言うじゃないですか。そうなる前に対処するのと同じですね。

そうすると、いろんなものに敏感になれるんですよね。骨盤のズレも感じられるようになりますし。体の危険信号は無視しないことと、自分にできることは常にやっておくのは意識しています。
“かもしれない”で適切な対処をすることは大事ですよね。
それに、食事と適度な運動も大事ですよね。アイドル時代はライブのリハーサルなどでめちゃくちゃ動いていたのですが、辞めた途端に一気に運動量が減って! 放置するとどんどん太っていくんですよ。なので、夜にウォーキングやランニングをして、体を動かすことも意識的にやっています。
日常的にやっているのですか?
はい、ジムに行けなくても、その場ウォーキングとか、家のなかでできることもあるので。

あとは、寝る前に目元とへその上の太い血管を20分間温めてから寝るとか。どんなに寝る時間が遅くなっても、そうやって疲れをリセットしています。…もう歳ですね。18歳のときはやってなかったのに(笑)。

あと、心のケアも大事ですね。病は気からじゃないですが、「ツラいな」と思ったらツラくなるし、「ヤバいな」と思ったらヤバくなるじゃないですか。
心のケアに関しては、どのようなことをされているのですか?
元気に振る舞っていたら意外と乗り越えられるものなので、現場では元気に明るく振る舞って、家に帰ったら自分とちゃんと向き合ってあげる。

でも、歳を重ねると、本当に勢いだけでは乗り越えられないんだなと実感していますし、母がおととしに体調を崩したこともあって、蓄積って怖いなと思ったんです。自分でケアできることはちゃんとしないと、と改めて思わされています。
ハードルにぶつかることがあるからこそ、そういった心のケアは大事ですね。
そうですね。グループで活動していたときは、身近に自分と比べる対象がいて、「いいな」とメンバーをうらやましく思うことがありましたけど、ひとりになるとその「いいな」の対象がグンと広がって。

生きている人たち、すべての人に「いいな」と思って、自分がブレそうになることもあるんですけど…。でもそういうときこそ、元℃-uteメンバーに会ったり、友達とお茶をしたり、思いっきり泣いたりして自分を取り戻しています。自分としては、いい意味で感情の起伏と付き合えているかなって思いますね。

憧れられるのは「うれしいけど、めっちゃ恥ずかしい(照)」

ソロになってからコレクションにも出演されるようになって、さらに女性ファンが増えたのではないかと思います。
街中でも「Instagramを見てます」とか「YouTubeで℃-uteのMVを見ました!」と言われることが増えました。同性に見てもらえるのは、また違った美意識のスイッチが入りますよね。
「鈴木さんみたいになりたいです」と言われることもあるのではないでしょうか?
言われるので、「マジで鏡をもう一回見てきな、なる必要ないから!」って言います。これは完全に自慢なんですけど、私のファンって可愛い子がめっちゃ多いんですよ。

肌がすごくキレイだったり、メイクが上手だったり、オシャレだったり、笑顔が本当に可愛かったり。握手会で私から「それ、どこのアイシャドウ使ってるの?」と聞くこともありますし、ファンの子からも刺激をもらっているんです。
そんなファンのみなさんから憧れられるのはいかがですか?
すごくうれしいけど、めっちゃ恥ずかしいです(照)。

『Ray』のモデルになるまではファッションにまったく興味がなくて、制服がいちばん自分に似合う服だと思っていたレベルだったのですが、気を遣うようになりましたね。「真似します!」と言ってもらえるのに、自分がマズい格好をしていたらダメですから。
今年はムロツヨシさん主演のドラマ『Iターン』にも出演されていました。音楽活動、モデル活動、女優活動といろんなジャンルから鈴木さんを知る方も多そうですね。
アイドル時代から応援してくださる方、雑誌を見て応援してくださる方もいらっしゃいますが、意外とドラマから知ってくださった方も多いんです。

最近では、矢口真里さんの代行で出演させてもらったAbemaTVの『火曜The NIGHT』でも大きな反響をいただきました。いろんなアイドルさんがゲストとして来てくださったのですが、そのファンの方が私のライブにも足を運んでくださって。顔を知ってもらえるだけでもうれしいのに、そこから歌も聴いてもらえて、すごくうれしかったです。

私的には、どのジャンルから知っていただいても大歓迎です!

コラボ曲は「ヒゲダン感を全面にお願いします」とオーダー

12月18日に、2ndアルバム『i』が発売されます。
今回は、これまでのツアーで披露して、音源化していなかった楽曲を中心にしたラインナップになっています。

12月に発売することもあって、冬に聴きたくなるような、感情を入れ込みやすい恋愛の曲をまとめていて。『Break it down』や『別の人の彼女になったよ』と、いろんなタイプのラブソングがあるので、この1枚を聴きながら、片思いして、別れて…とひとつのストーリーを楽しめるよう、曲順にもこだわっています。
曲順にもこだわりが反映されているんですね。
最近は音楽をサブスク(サブスクリプション。定額制サービス)で聴く方も多いので、(曲順の)流れは関係ないのかなぁなんて思ったりもするんですけど、そこはあえてCDで聴くときのお楽しみにしています。
『Break it down』はOfficial髭男dism(以下、ヒゲダン)さんが手がけられていますね。
じつはレコーディングをしたのは去年の冬くらいだったので、やっと音源化してみなさんにお届けできる!という気持ちなんです。

ヒゲダンさんはメジャーデビューされたタイミングから好きで。ラジオにゲストで来ていただいた際にお願いしたのですが、叶ってよかったです〜! 今すごくお忙しいから。
ヒゲダンさんの音楽の、どんな部分がグッときたんでしょうか?
演奏もカッコいいですし、グルーヴィーなリズムから、ほんのりブラックミュージックの香りもするのが、自分の好みにズン!と刺さって。

もちろん、『Pretender』とか『宿命』のようなバラードもすごく素敵だけど、私は『Tell Me Baby』とか『55』がとくに好きで、ヒゲダンさんっぽい楽曲だと思っています。今回は「ヒゲダンっぽさを全面に出してください!」とお願いしました。

コラボするときは自分に合わせて曲を作ってもらうよりも、コラボ相手の色を存分に出してもらって、そこに自分が飛び込んでいくスタイルなんです。
それはどういう意図から?
せっかくコラボをするなら、いつもの私っぽいものができあがるより、新しい環境に飛び込んで新しい引き出しを開けられたらいいなと思っているんです。赤い公園さんやSCANDALさんとのコラボもそうでした。

でも投げっぱなしじゃなくて、いろいろなお話をしたうえで、曲の雰囲気はあえて相手に寄せるというか。
ヒゲダンのボーカルである藤原 聡さんともお話をされたんでしょうか?
しましたし、4人ともレコーディングに立ち会ってくださったんです。藤原さんはディレクションもしてくださって、すごく緊張しました。

藤原さんは普段の話し声も心地よくて、聴くだけで幸福なのに、それをヘッドフォン越しで聴けるから途中で意識が飛んじゃうんです。「幸福な音が流れてくる〜!」って(笑)。鼻歌で指示をしてくださる場面もあったんですが、「鼻歌めっちゃうま!」って聴き入ってしまうほどでした。

デモテープの時点で藤原さんの声が入っていたので、すでにできあがっちゃってるんですよね。「カッコいいー!」と思いながらも「自分が歌う曲なんだ!」って身震いしました(笑)。
いろんなアーティストさんとのコラボで、音楽的な刺激を受けることもありますか?
ありますね。今まではアイドルの枠のなかでしか仕事をしていなかったので、いろんな方から音楽の話を聞くとすごく面白くて。曲を作るときの意識の違いとか、「こういうところで曲のアイデアが降ってくるんだ」というのもみんな違って、こんなに音楽って深いんだと実感します。

それにコラボするとき、相手のバンドメンバーさんのチームにすべてお願いするので、レコーディングの様子もみんな違って、すごく勉強になるんですよ。
どんな違いがあるんでしょうか?
エンジニアさんも毎回違うんですけど、すごく細かく録っていくチームがあれば、3回歌っただけで終わるチームもあったり、ミックスで大きく変化を加えるチームもいたり。楽器のレコーディングも、全部一気に録ることもあれば、楽器ごとに録ることもあったりと、違いを体験しているだけで面白いです。レベルが高すぎて「ほあー!(感心)」って見ているだけなんですけどね(笑)。
毎回勝手が違って大変だなと感じることは?
あんまりないです。緊張はしますけど、いつもすごく楽しいので。本当に私なんかのためにありがとうございます…!っていう気持ちでいっぱいです。

今回のアルバムは“自分を削った”1枚になっている

『別の人の彼女になったよ』は、YouTubeで話題を呼んでいるwacciさんのカバー曲になりますね。
Instagramのストーリーで「好き」と言い続けていて。たまたま私のラジオの担当の方が、wacciさんの担当の方とつながりがあったようで、ラジオにボーカルの橋口(洋平)さんがゲストで来てくださったんです。

それから、wacciさんのライブを見させてもらったり、ラジオに出させてもらったりするなかで、Escapeツアーでカバーをさせていただく流れになりました。

こんなに世界に入り込んで主人公の気持ちになりながら歌える曲ははじめてだったので、自分の殻を破れたというか、いい経験をさせてもらいました。ファンの方からも「ぜひ音源化してほしい」と声をたくさんいただいたんです。
ファンの方も待望の音源化なんですね。
ライブでは、紗幕の奥に座って、私だけにピンスポットが当たっているような、孤独を表現した演出で歌ったんです。すごく気持ちを入れやすかったので、レコーディングでも部屋を暗くして、座って収録しました。バンドさんと一緒に録ったので、その臨場感が伝わるといいなと思っています。
ちなみに、アルバムのタイトルが『i』なのは、“私”という意味の“I”と、鈴木愛理の“愛”がかかっているのでしょうか?
そうですね。前回は「いろんな楽曲に挑戦していく」のがコンセプトでしたが、今回は自分が歌詞を書いた曲もあったり、自分自身を“削った”アルバムになるかなと思っていて、それがアルバム名の『i』にもつながっています。

今回は、いつもバンドメンバーとして私を支えてくれている、ベースのまーくん(宮本將行)が曲を、コーラスの亜美ちゃんが歌詞を書いてくれた『Dissolution』という曲も入っていて、すごくカッコよくて、お気に入りなんです。

常に私の周りにいて、私がどんな曲を歌いたくて、どんな曲が好きかをわかってくれている人たちが気持ちを込めて作ってくれて、すごく愛を感じました。いろんな方とコラボをさせていただきながら、こういった曲も歌えるのは幸せなことです。
12月には、3DAYSで行われる『鈴木愛理 LIVE PARTY No Live, No Life?』、来年4月21日は横浜アリーナでの単独公演が控えています。
これまでのツアーは“ストーリーのなかで生きる”というテーマがあって、ショーアップ系のものをやってきましたが、12月のものは少し違って。あえてツアーと言わず、“LIVE PARTY”として、みんなで純粋に音楽を楽しむライブにしたいなと思っています。
℃-uteの10周年記念ツアーやBuono!のラストライブを行った横浜アリーナのステージに、ひとりで立つ不安はありますか?
あります。℃-uteとしてもBuono!としても節目で立たせてもらったステージなので、思い出がすごくたくさんあって。

今は、まだ「うおおお、どうしよう」って感じではあるのですが、来年はひとつ歳を重ねて26歳にもなりますし、どんな景色が見られるのか今から楽しみです。いいものをお届けできるようギリギリまでいろんなことを想像して、最高のものが作れるようにしたいと思っています。
鈴木愛理(すずき・あいり)
1994年4月12日生まれ。千葉県出身。B型。2002年、8歳のときにハロー!プロジェクトキッズに選ばれ、翌年ハロー!プロジェクト内ユニット・あぁ!のメンバーとしてCDデビュー。2005年にはアイドルグループ・℃-uteを結成。℃-uteと並行し、2007年からはPopRockユニット・Buono!としても活躍した。2017年に℃-uteが解散し、ハロー!プロジェクトを卒業。ソロヴォーカリストとしての活動をスタートさせた。2015年からは雑誌『Ray』(主婦の友社)で専属モデルを務めている。

CD情報

2ndアルバム『i』
2019年12月18日(水)リリース

初回限定盤[CD+Blu-ray(パシフィコ横浜公演他収録)、プレイパス封入]
¥6,500(税別)
通常盤[CD、プレイパス封入]
¥2,500(税別)

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、鈴木愛理さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年12月16日(月)12:00〜12月22日(日)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/12月23日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから12月23日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき12月26日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
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