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あるパソコン誌の終わり方

2006年03月02日14時04分 / 提供:PJ

pj
あるパソコン誌の終わり方
最後のあさひパソコンの表紙 真ん中のダイアローグ画面がアイディアだ「終了しますが、本当によろしいですか?」 ちなみに、ソフトを終わるときにはこういうダイアローグは出ません。同誌より引用。(撮影: 安居院 文男)
18年間、399号、3月15日号で、休刊した「ASAHIパソコンの遺言」を読むと、パソコン雑誌9誌(同誌、日経パソコン、日経クリック、日経PC21、月刊アスキー、週刊アスキーほか)の、2000年の年平均部数の合計は148万部。それが、05年には80万部に激減。原因は、パソコンが日用品化した。インターネットで、製品情報をただで見られるようになった。ターゲット読者が初心者から、中級に成長してしまった。出版不況。などと書いてあるが、この手のパソコン情報誌はインターネットに負けたとある。
 
 パソコンが普及し始めて20年以上たつ。今は広く普及して、普通の人が普通に使うのに、本を読まなくても良くなったということだろう。普通の人にとって、仕事の時は、表計算ソフト、ワープロ、せいぜいパワーポイントが使えればOK。後は、ソフトの後ろで動くデータベースだが、仕組みは知らなくてもいい。仕事以外では、パソコンとはインターネットとメールの道具になった。

 Z80とか、Lkit16とかの時代からはじまって、完成品の国産パソコンで手の届きそうなものとして、NECが8ビットCPUのPC8001を出した時、19万8000円だった。プリンターとかディスプレイとか、セットにすると、60万円ぐらいだったろう。大卒初任給の半年分以上だったように思う。それでも、個人で手の届く値段になったと当時感じた。データはカセットとモデムで入れた。フロッピーディスクは8インチ。このドライブが馬鹿に高くて。50万円ぐらいしたように思う。

 その後、PC9801の時代になって、ASAHIパソコンが創刊された。パソコンや、周辺機器は次々と開発され、新機種がどんどん出てきた。そのスペックや、使い方がなかなかわからなかったりして、パソコン誌はそれらを解説していれば売れたのだろう。しかし、今や、完成品のパソコンは、どれでも同じようなことができるようになってきて、まずまず使えるようになってきた。そうなれば、解説はいらない。値段の安いのはどれだという話は、インターネットの比較サイトを見ればすぐわかる。ASAHIパソコンの分析は正しい。

 今でも、週刊アスキーや、WinPC、日経ソフトウェアなどは、読んでいる。週刊アスキーは週刊だけに情報が早い。WinPCは、自作に特化した技術的なトピックスを読む。日経ソフトウェアは、VisualStudio等の、ソフトの初心者向け専門誌として。こう考えると、パソコンと周辺機器などの情報誌は、今や、週刊アスキーだけで足りるように思える。週間というのは、ものすごく大変だろうなと想像はできる。パソコン雑誌に命をかけていた、アスキーだからこそだろうか。WinPCはそれほど部数はないのかもしれないが、自作マニアには、まだ価値があるのは、インターネットでは難しい記事を扱っているからか。日経ソフトウェアは、それよりまだ特化しているが、ソフトウェアの初心者と、ソフトウェアにあこがれる人は、なくならないのではないか。

 PC8001の時代には、I/Oとか、ザベーシックとか、RAMなど、パソコンと、言語の啓蒙誌のような雑誌があった。今はもうなくなったか。その後、いろいろに分かれた雑誌だが、ASAHIパソコンの18年、399号は続いた方ではないか。

 編集長は、「ASAHIパソコンのDNAが継承された媒体を、お目にかけたい」と書いてあるので、楽しみにしたい。そういえば昔、「ソフト情報」という、ソフトの使い勝手を評価する、縦組みの雑誌があった。ああいうものはほしいと思うが、評価するソフトの寡占化が進んでいるのと、評価が大変そうなので、雑誌そのものが成り立たないかもしれない。

 何事にも、はじめと終わりはある。ASAHIパソコン最終号の7ページには、「またお逢いしましょう」という編集長の言葉があった。パソコン普及のための情報誌は、普及すれば終わるということかもしれない。雑誌の定めとはいえ、終わりはさびしい。

 あ、表紙のアイディアは、おもしろかったですね。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 安居院 文男

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