今週のお役立ち情報
一線ジャーナリストに聞く、ライブドア事件(2)
2006年02月17日13時13分 / 提供:PJ
【PJ 2006年02月17日】−
第1回はこちら。2回目は大手新聞社社会部の司法担当記者。入社後、地方支局で約5年間の取材活動に当たった後、東京地検特捜部よる重大事件などを担当して数年の経験を持つ一線記者だ。新聞社や東京地検への配慮で、今回は匿名にさせていただく。
−ライブドア事件の問題点をどう捉えているか。
「2点ある。一つは、ライブドア幹部のおごり。ライブドアの起業当初は一線を越えないように経営管理をしていたと思う。近鉄買収の頃からマスメディアに持ち上げられ、社会的にも注目される一方で、遵法意識が薄れてきたのではないか。これはマスメディアにも責任があるし、政治の問題にも結びつくのかもしれない」
「もう一つは、カネを生み出すスキーム。堀江貴文・前社長の片腕、宮内亮治取締役と、亡くなった野口英昭エイチ・エス証券副社長が、投資事業組合などを利用して作り出した、法に触れるか触れないか、ぎりぎりの線での金融スキームが問題だ。そのスキームの中にある一つ一つの要素を見るとグレーではあるが、クロではないと思う。だが、そのスキームの中で自社株を売却し不当な利益を得ていたとすれば、全体として限りなくクロに近い。企業買収や株式分割といった経営手法そのものを否定はしないが、その裏で悪巧みがあったという構造に問題がある」
−堀江氏が既成概念を打ち壊そうとした態度は。
「大いに期待していた。既得権益の上であぐらをかいている人々にズバッとモノを言い、彼なりのスタイルで対峙していく姿は気持ちが良く、共感できた。個人的には、彼を拝金主義者とは思っていない。むしろ、そのようなイメージを世間に植え付けてしまったことがマイナス点だ」
−堀江氏の「メディアを支配する」といった言動は。
「ニッポン放送というメディアを買収する際に、理念の無さには失望した。報道の本質であるとか、社会的な役割をきちっと持って参入してくれば、拍手で迎えるが、その部分が決定的に欠落していたのではないか」
−その理念無き市場主義者へのメディア参入に恐怖感はあったか。
「堀江氏に対する恐怖感というより、彼に迎合するかもしれぬ国民への恐怖感はあった。もし、堀江氏とその考え方が市民に受け入れられ、メディアの象徴みたいな存在になったら危険だと感じていた」
−横で強制捜査が行われている中、取材を受けてしまう堀江氏の感覚に対しては。
「よっぽど危機意識がないのか、達観しているのか・・・。彼の器が大きい部分もあるが、どちらかというと危機意識が無かったのではないか。それは先ほど説明した彼のおごりと結びつく。当局を甘く見ていたのではないか」
−堀江が抜けたライブドアの行く末をどう見るか。
「堀江がいないライブドアはイメージできない。少なくともライブドアという会社の求心力が失われることは免れない。ただし、堀江氏がカリスマだったのか、そうでなかったのか、これまでの取材でははっきりしていない」
−東京地検特捜部による大々的なライブドア捜査の目的は。
「ちょっと前までは政治家や官僚の贈収賄など、東京地検特捜部は巨悪を追及するというイメージがあった。われわれはそれに乗っかって取材を重ねる感覚があった。去年の西武鉄道の事件や、今回のライブドア事件などでは、こうした実感が無い。会社の上司からは『ライブドア事件はどうなっているんだ、きょうも一面で行くぞ』という指示が下されるが、取材している感触として、読者に対して社会正義のために仕事をしているという手応えもなく、ただ原稿だけを出す作業がずっと続いている」
「投資事業組合をかませた複雑な事案を追求するのは特捜部ならではの仕事。それを明らかにした意義はある。だが、堀江を狙う意義はよく分からない。捜査の真意は分からないが、メディアの露出も多く、華やかに振る舞っている輩の裏の部分を暴くのが特捜部のモチベーションになっているのでは。どちらかというと、大衆迎合的な臭いを感じざるを得ない。特捜部には、議員バッチを付けた偉いさんを追求する仕事を期待している」
−今後、ライブドア事件で新たな事実が出てくる可能性は。
「出尽くした感がある。取材をした限り、暴力団のからみなどは無いと思う。堀江氏の個人的な脱税は考えられる。個人的な不正蓄財がどの程度あるかが今後のカギ」
【了】
■関連記事:一線ジャーナリストに聞く、ライブドア事件
・第一回 「週刊現代」編集長の出樋一親さん
・第三回 経済ジャーナリストの岩槻礼次郎さん
・第四回 経済ジャーナリストの岩槻礼次郎さん(2)
・第五回 ジャーナリストの佐々木俊尚さん
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
この記事に関するお問い合わせ / PJ募集
−ライブドア事件の問題点をどう捉えているか。
「2点ある。一つは、ライブドア幹部のおごり。ライブドアの起業当初は一線を越えないように経営管理をしていたと思う。近鉄買収の頃からマスメディアに持ち上げられ、社会的にも注目される一方で、遵法意識が薄れてきたのではないか。これはマスメディアにも責任があるし、政治の問題にも結びつくのかもしれない」
「もう一つは、カネを生み出すスキーム。堀江貴文・前社長の片腕、宮内亮治取締役と、亡くなった野口英昭エイチ・エス証券副社長が、投資事業組合などを利用して作り出した、法に触れるか触れないか、ぎりぎりの線での金融スキームが問題だ。そのスキームの中にある一つ一つの要素を見るとグレーではあるが、クロではないと思う。だが、そのスキームの中で自社株を売却し不当な利益を得ていたとすれば、全体として限りなくクロに近い。企業買収や株式分割といった経営手法そのものを否定はしないが、その裏で悪巧みがあったという構造に問題がある」
−堀江氏が既成概念を打ち壊そうとした態度は。
「大いに期待していた。既得権益の上であぐらをかいている人々にズバッとモノを言い、彼なりのスタイルで対峙していく姿は気持ちが良く、共感できた。個人的には、彼を拝金主義者とは思っていない。むしろ、そのようなイメージを世間に植え付けてしまったことがマイナス点だ」
−堀江氏の「メディアを支配する」といった言動は。
「ニッポン放送というメディアを買収する際に、理念の無さには失望した。報道の本質であるとか、社会的な役割をきちっと持って参入してくれば、拍手で迎えるが、その部分が決定的に欠落していたのではないか」
−その理念無き市場主義者へのメディア参入に恐怖感はあったか。
「堀江氏に対する恐怖感というより、彼に迎合するかもしれぬ国民への恐怖感はあった。もし、堀江氏とその考え方が市民に受け入れられ、メディアの象徴みたいな存在になったら危険だと感じていた」
−横で強制捜査が行われている中、取材を受けてしまう堀江氏の感覚に対しては。
「よっぽど危機意識がないのか、達観しているのか・・・。彼の器が大きい部分もあるが、どちらかというと危機意識が無かったのではないか。それは先ほど説明した彼のおごりと結びつく。当局を甘く見ていたのではないか」
−堀江が抜けたライブドアの行く末をどう見るか。
「堀江がいないライブドアはイメージできない。少なくともライブドアという会社の求心力が失われることは免れない。ただし、堀江氏がカリスマだったのか、そうでなかったのか、これまでの取材でははっきりしていない」
−東京地検特捜部による大々的なライブドア捜査の目的は。
「ちょっと前までは政治家や官僚の贈収賄など、東京地検特捜部は巨悪を追及するというイメージがあった。われわれはそれに乗っかって取材を重ねる感覚があった。去年の西武鉄道の事件や、今回のライブドア事件などでは、こうした実感が無い。会社の上司からは『ライブドア事件はどうなっているんだ、きょうも一面で行くぞ』という指示が下されるが、取材している感触として、読者に対して社会正義のために仕事をしているという手応えもなく、ただ原稿だけを出す作業がずっと続いている」
「投資事業組合をかませた複雑な事案を追求するのは特捜部ならではの仕事。それを明らかにした意義はある。だが、堀江を狙う意義はよく分からない。捜査の真意は分からないが、メディアの露出も多く、華やかに振る舞っている輩の裏の部分を暴くのが特捜部のモチベーションになっているのでは。どちらかというと、大衆迎合的な臭いを感じざるを得ない。特捜部には、議員バッチを付けた偉いさんを追求する仕事を期待している」
−今後、ライブドア事件で新たな事実が出てくる可能性は。
「出尽くした感がある。取材をした限り、暴力団のからみなどは無いと思う。堀江氏の個人的な脱税は考えられる。個人的な不正蓄財がどの程度あるかが今後のカギ」
【了】
■関連記事:一線ジャーナリストに聞く、ライブドア事件
・第一回 「週刊現代」編集長の出樋一親さん
・第三回 経済ジャーナリストの岩槻礼次郎さん
・第四回 経済ジャーナリストの岩槻礼次郎さん(2)
・第五回 ジャーナリストの佐々木俊尚さん
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
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