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モスクワ五輪ボイコットの真相(107)

【PJ 2006年02月15日】− <激動五カ月間のドキュメント>
15.挙手の結果29対13で不参加を決定
<望みの綱・自費参加の道も閉ざされる>

 ご承知のように、私どもの連盟としてはマラソン、1万メートルなどは近来にないオリンピックでのメダルのチャンスだ。したがって、選手の出たいということは現実だ。また私たちも参加させたい強い願望を持っている。しかし、(2)にあるように、いろいろの状況を判断して、モスクワのオリンピックが正常の実施雰囲気で開催されるとは考えられない。

 次に(3)のアジアの大多数のNOCが不参加の問題であるが、ここでJOCの皆さん方にもう一度思い起こしていただきたい2つの事実がある。1つは、さきのアジア大会(注・1978年のバンコクにおける第8回大会のこと)に参加をすれば、日本陸上競技連盟はIF(注・国際陸上競技連盟のこと)から処罰される、私ども責任者の首が飛ぶというような事態にさえ立ち至った事実がある。そこで私たちの連盟は当初、ルールに忠実であろうとして不参加を決定した。しかしながら、その後に諸般の社会的情勢やJOCからの要望もあって参加に踏み切った。その時の基本的な姿勢は何かといえば、われわれはアジアの仲間である、アジアの一員である、アジアは仲良く手を握っていかなければならないということだった。そのような情報姿勢がJOCにも日本陸連にもあったことは事実だ。

 もう1つは、そのアジア大会が終わってからのJOCの会議において、「中国が非常に強くなってきた。いままでのアジア大会では日本がメダルを独占していたが、これからはそうは行かなくなってきた。これらのことを勘案しても、オリンピック至上主義であっては、今後日本はアジアから遊離してしまう、浮き上がってしまう。だからアジアに根をおろそうではないか、アジアと連帯感を深めていこうではないか」との話が出て、JOCがこれを了承した。こういう2つの事実がある。

 これらを考えた時に、アジアの大多数の国々が参加をしないときに、日本が参加をするとすれば──参加してもいい。また私たちも参加したい。だから参加をするとすれば、単に参加、不参加かというようなことではなくして、参加するための理由づけ、それだけの理論的な積み上げがなきゃいかん。単にIOCのルールがあるから、NOCのルールがあるからという理由だけで参加できないからこそ、われわれは今日まで苦悩し、議論をしてるのではないか。だから参加するならば、するだけの理論的な積み上げが必要だ。逆に不参加の場合もそうだ。

 こういうことを考えると、参加するにも勇気が必要、不参加を決断するにも勇気が必要だ。今日この現在でいずれをとるかと言われたならば、瀬古をはじめ非常に期待している選手を持っている陸上ではあるけれども、残念ながら不参加と言わざるを得ない。【つづく】

■関連ブログ
伊藤公(いとう・いさお)の『モスクワ五輪ボイコットの真相』

■関連書籍
小田光康著、「スポーツジャーナリスト」という仕事
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 公【 東京都 】
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