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テレビで見る謝罪会見、ネットで聞く「ありがとう」

2006年02月13日19時44分 / 提供:PJ

pj
インターネット、この10年が過ぎた。誰もが気づかぬうちに何かを失っている。フッと気つけばあなたはいない思い出だけを残して。(KOKIA「ありがとう」より)

 1月24日、ライブドアは記者会見で新経営体制を正式発表し、熊谷新代表取締役は同席した新経営陣4人と深々と頭を下げ「大変申し訳ございません」と事件について陳謝し、再起の意志を表明した。この映像はテレビで一部が放送され、インターネットで生中継が配信され、同時接続は最大1万9000件余りだったという。この数カ月間、テレビでは印象的な謝罪会見が繰り返し放送されてきた。耐震偽装、東証の不具合、ライブドア問題、東横インの違法改造問題・・・、昨年は列車事故の謝罪も有り、しばらく前には山一證券社長の印象的な「社員はわるくありません」会見もあった。

 テレビというメディアは一方向性という特徴がある。見る側はテレビの中の人に対して、手も足も出ない。漫才ではツッコミ役の人が居て、うまくツッコミを入れるとすっきりした気持ちになるが、それがうまくいかないと欲求不満が残ってしまう。また、テレビでは普段なら顔を見る事もできない様な偉い人が、「ごめんなさい」「すみませんでした」と謝ってくれたり、見上げるような大男をリングに崩れ落ちさせたりしてくれる。見ている側のリスク無しにである。その結果、知らず知らずに視聴者は、テレビの中からの謝罪を期待してしまうのかもしれない。

 それに対して、ネットの中でよく見るのは「ありがとう」なのである。試しにグーグルで「ありがとう」を検索すると約2020万件がヒットした。「ごめんなさい」は約382万件、「すみません」は約405万件、「すいません」は約406万件。「ありがとう」は謝罪の言葉3つの合計の1.5倍ほどもある。ヤフーで検索してみると「ごめんなさい」は約4070万件、「すみません」は約4240万件、「すいません」は約3060万件なのに対して、「ありがとう」は約1億1500万件で、やはり謝罪の言葉3つの合計より多い。

 パソコンが「便利な箱」であった、1990年を中心とした10年間で、技術者たちがインターネット世界を発見した。そしてパソコンが「世界につながる窓」であった、2000年を中心とした10年間、若者たちはインターネット世界の中で多くの人と出会い、会話し、考え、悩み、工夫して、感激して、落胆して、その終わりに「ありがとう」が宝物だという事を発見したのである。「ありがとう」という言葉を聞いてなぜか、涙が止まらなかったのである。形のない思い出だけを残して、もう一度あなたに会えるなら「ありがとう」と言えるであろう自分を感じているのである。

 もしももう一度あなたに会えるならたった一言伝えたい。ありがと ありがとう (KOKIA「ありがとう」より)

 ネットの中で多くの若者が熱狂してきたことの多くは、「虚業」であった。非生産的、単なるデータ、パラメーターを100から10000に変えるだけの事であったかもしれない。ほとんどの人はかつて「ドラゴンクエスト」で感じた様に、どこにも出口なんかないとログアウトして行った。しかし、どう考えても、今目の前にあるアメリカのサーバーで読む会話はアメリカの街角のものであり、「Hey」と声をかけてきた相手と自分との間には10時間以上の時差があって、さっきプレゼントした2000ゴールドに対して「Thx」の感謝の言葉をもらって「NP」と問題ないよと返す自分が居て、互いに「CU(シーユー=see you)」と言って、もう多分会う事もない「さよなら」を言って別れるのである。ただのデータではない、幻でもない、確かな思い出が残っているのである。

 次の10年の間に何が起こるのか、結果はわからないが、前の10年の終わりに「ありがとう」を再発見した事は決して虚業ではない。ありがとうの価値をもっと見い出す事ができるはずである。たった一言が自分自身をこんなに熱くする事、それは確かな事実であり、きっと日本中に、そして世界に共感を得られるはずなのである。

 「ありがとう」の発見こそがこの10年のインターネットの大きな成果なのだとやや個人的な期待を込めて、この混乱の中心であった場所、ライブドアのニュースページで、一PJが「ありがとう」と叫んでみる。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 星野 隆夫

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ライブドア  パソコン  PJ  参議院  鉄道事故  
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