「鬼は外、福は内」!節分は古来からのヘルシー行事か?
2006年02月02日07時55分 / 提供:PJ
冬と春を分ける節分はもうすぐだ。『鬼は外、福はうち』といいながら、豆をまく。この行事は、室町時代のおとぎ話とか、説話とかに由来しているらしい。根拠には関係なく、いまでも多くの家庭で、節分の豆まきが受け継がれている。
節分の風習が廃れなかったのは、豆まきがあったからだろう。「鬼は外」は、からだの病魔(鬼)を追い払う。「福は内」は、栄養価(福)の高い大豆を拾って歳の数だけ食べる。そうすれば、一年が無事に過ごせる。これが一般的なものだ。地域、家々、社寺によっては多少の違いがあるけれども。
大豆は植物性たんぱく質が豊富で『畑の肉』といわれる。いまや豆腐、納豆、豆乳、大豆を加工した食品は拡大する一途。ヘルシー食品の代表格だ。豆まき用の煎り豆は安価(一袋150円前後)だが、味が素朴すぎ、ふだんは健康食品売り場で細々と展開されるていど。1月中旬になると、スーパーマーケットで、節分のプレゼンテーションが展開される。急激に、煎り豆の売り上げが伸びるという。
「お客様は、一月中はヘルシー食品として買い求めているようです。ボリュームがあるし、安いですからね。節分の豆まきは当日か、前日あたりにはもう一度買い求めます」とスーパーの食品担当者は語る。千葉県にある豆メーカーの話しでは、12月後半から1月20日までフル操業だという。真夜中の12時まで製造ラインを動かす。なぜ、そんなに集中生産になるのか、と同メーカーの社長に聞いてみた。
「理由は二つあります。一つは各スーパーの納入日が1月半ばに、大量に集中することです。もう一つの要因は賞味期限の表示です。一、二年は保存のきく食品なんですがね。煎り豆は製造過程で、大豆油を抜くから、酸化しないんです。しかし、そんな長期の賞味期限じゃ、消費者が納得してくれない。どのメーカーでも3カ月から半年に設定しているんです。だから、数ヶ月前から、大量に製造してストックできない」。
年末から1月の工場は大変なんですよ、とくり返し強調していた。昨年は冷夏で大豆が不作だった。今年の節分の豆まきは中国産の大豆が多そうだ。しかしながら、国産大豆にこだわるのが、桂華堂(京都市南区)である。米屋七代、和菓子や五代。一度廃業したけれど、現社長の祖父が新たに豆屋を興した。それは一代限りで、父の代では和菓子屋に戻ったという。さすが京都である、一家の職業の歴史はずいぶん長く語られる。
うちは和菓子屋だ、と前置きした北川社長(58歳)が、「祖父が節分豆を、煎り豆として売り出し、全国的に大ヒットしたんです。いまから約70年まえに。煎り豆の発祥の桂華堂だから、和菓子屋に商売替えしても、節分豆だけは続けているんです」と語ってくれた。
祖父の代に縁ができた桂華堂は平安神宮、壬生寺、ほかに三十余りの神社仏閣、いまでも節分豆の納入の指名があるという。煎り豆の製造方法は極秘かな? そう思いながら北川社長に聞いてみた。「うちほど時間と手間をかけるところはないから」といい、あっさり伝授してくれた。外気温が10度以下の11月になると、節分の豆をつくり始めるという。庭先に置いた木箱(長さ70センチ、幅40センチ、深さ50センチ)に、大豆を詰める。5日間、毎日、水をかけ続けながら低温熟成させる。
「原料は宮城白目大豆にこだわっているんです。祖父が日本中を行脚してやっと見つけた大豆ですからね」。煎り豆にすると、皮が剥がれやすい大豆だと特徴を説明する。東北の産地が指定された農家との契約栽培である。宮城白目大豆が不作の年には収穫量だけしか、節分用の豆を製造しないという。その頑なな姿勢が、「節分の豆は死ぬまで守り続けますよ。『松下の電球とおなじ』ですから」という信念につながっていた。さらには豆を入れる一合枡も、むかしと同様に香りのいい本物の檜にこだわる。
東北のあるメーカーは工場ラインでできた節分用の豆を羽黒山の神社に運び込み、祈祷してもらい、それを商標にして売り出している。大豆に砂糖を塗した商品、さらには大豆にこだわらずピーナツにショウガ味、チリトマトをつけた味で売り込む。メーカーは多種多様な工夫をしているようだ。関東にあるメーカーは透明の豆袋に子どものキャラクターのデザインを施す。しかし、キャラクターの豆は全生産の10パーセント未満。素朴な透明袋に入った安価な大豆が売れるという。需要はどこまでもヘルシー食品のようだ。
節分にはもう一つ、『門守り』という風習がある。玄関先にヒイラギとイワシを飾る。イワシの臭気とヒイラギの葉の棘で鬼を追い払う。スーパーの鮮魚売場では節分の二週間前から、品揃えを多くし、メザシ五連、いわし丸干し、連刺し(縄で吊るす)などを並べる。イワシは安価な商品で、栄養価が高い。こちらも早々と売れているようだ。ヘルシー食品として、どこか大豆につながっているようだ。
商魂たくましい大阪商人が、鬼の金棒になぞらえた太巻き(のり巻き寿司)を売り出し、それがヒットした。関西では節分の風習のひとつになっている。関東ではまだ馴染みがなく、なんで節分に太巻き? と首を傾げる人が多い。
太巻きがヘルシー食品か否か。その結論は節分の伝統にどこまで乗りつづけられるかだろう。【了】
節分の風習が廃れなかったのは、豆まきがあったからだろう。「鬼は外」は、からだの病魔(鬼)を追い払う。「福は内」は、栄養価(福)の高い大豆を拾って歳の数だけ食べる。そうすれば、一年が無事に過ごせる。これが一般的なものだ。地域、家々、社寺によっては多少の違いがあるけれども。
大豆は植物性たんぱく質が豊富で『畑の肉』といわれる。いまや豆腐、納豆、豆乳、大豆を加工した食品は拡大する一途。ヘルシー食品の代表格だ。豆まき用の煎り豆は安価(一袋150円前後)だが、味が素朴すぎ、ふだんは健康食品売り場で細々と展開されるていど。1月中旬になると、スーパーマーケットで、節分のプレゼンテーションが展開される。急激に、煎り豆の売り上げが伸びるという。
「お客様は、一月中はヘルシー食品として買い求めているようです。ボリュームがあるし、安いですからね。節分の豆まきは当日か、前日あたりにはもう一度買い求めます」とスーパーの食品担当者は語る。千葉県にある豆メーカーの話しでは、12月後半から1月20日までフル操業だという。真夜中の12時まで製造ラインを動かす。なぜ、そんなに集中生産になるのか、と同メーカーの社長に聞いてみた。
「理由は二つあります。一つは各スーパーの納入日が1月半ばに、大量に集中することです。もう一つの要因は賞味期限の表示です。一、二年は保存のきく食品なんですがね。煎り豆は製造過程で、大豆油を抜くから、酸化しないんです。しかし、そんな長期の賞味期限じゃ、消費者が納得してくれない。どのメーカーでも3カ月から半年に設定しているんです。だから、数ヶ月前から、大量に製造してストックできない」。
年末から1月の工場は大変なんですよ、とくり返し強調していた。昨年は冷夏で大豆が不作だった。今年の節分の豆まきは中国産の大豆が多そうだ。しかしながら、国産大豆にこだわるのが、桂華堂(京都市南区)である。米屋七代、和菓子や五代。一度廃業したけれど、現社長の祖父が新たに豆屋を興した。それは一代限りで、父の代では和菓子屋に戻ったという。さすが京都である、一家の職業の歴史はずいぶん長く語られる。
うちは和菓子屋だ、と前置きした北川社長(58歳)が、「祖父が節分豆を、煎り豆として売り出し、全国的に大ヒットしたんです。いまから約70年まえに。煎り豆の発祥の桂華堂だから、和菓子屋に商売替えしても、節分豆だけは続けているんです」と語ってくれた。
祖父の代に縁ができた桂華堂は平安神宮、壬生寺、ほかに三十余りの神社仏閣、いまでも節分豆の納入の指名があるという。煎り豆の製造方法は極秘かな? そう思いながら北川社長に聞いてみた。「うちほど時間と手間をかけるところはないから」といい、あっさり伝授してくれた。外気温が10度以下の11月になると、節分の豆をつくり始めるという。庭先に置いた木箱(長さ70センチ、幅40センチ、深さ50センチ)に、大豆を詰める。5日間、毎日、水をかけ続けながら低温熟成させる。
「原料は宮城白目大豆にこだわっているんです。祖父が日本中を行脚してやっと見つけた大豆ですからね」。煎り豆にすると、皮が剥がれやすい大豆だと特徴を説明する。東北の産地が指定された農家との契約栽培である。宮城白目大豆が不作の年には収穫量だけしか、節分用の豆を製造しないという。その頑なな姿勢が、「節分の豆は死ぬまで守り続けますよ。『松下の電球とおなじ』ですから」という信念につながっていた。さらには豆を入れる一合枡も、むかしと同様に香りのいい本物の檜にこだわる。
東北のあるメーカーは工場ラインでできた節分用の豆を羽黒山の神社に運び込み、祈祷してもらい、それを商標にして売り出している。大豆に砂糖を塗した商品、さらには大豆にこだわらずピーナツにショウガ味、チリトマトをつけた味で売り込む。メーカーは多種多様な工夫をしているようだ。関東にあるメーカーは透明の豆袋に子どものキャラクターのデザインを施す。しかし、キャラクターの豆は全生産の10パーセント未満。素朴な透明袋に入った安価な大豆が売れるという。需要はどこまでもヘルシー食品のようだ。
節分にはもう一つ、『門守り』という風習がある。玄関先にヒイラギとイワシを飾る。イワシの臭気とヒイラギの葉の棘で鬼を追い払う。スーパーの鮮魚売場では節分の二週間前から、品揃えを多くし、メザシ五連、いわし丸干し、連刺し(縄で吊るす)などを並べる。イワシは安価な商品で、栄養価が高い。こちらも早々と売れているようだ。ヘルシー食品として、どこか大豆につながっているようだ。
商魂たくましい大阪商人が、鬼の金棒になぞらえた太巻き(のり巻き寿司)を売り出し、それがヒットした。関西では節分の風習のひとつになっている。関東ではまだ馴染みがなく、なんで節分に太巻き? と首を傾げる人が多い。
太巻きがヘルシー食品か否か。その結論は節分の伝統にどこまで乗りつづけられるかだろう。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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