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堀江貴文氏の証言(上)、独立性の認識

堀江貴文氏の証言(上)、独立性の認識
ライブドアの会計監査をしていた「港陽監査法人」の看板。27日、横浜市内で。(撮影:小田光康)
【PJ 2006年01月29日】− ライブドア事件では、会計監査の独立性と、企業買収での資産査定の独立性・合理性という側面が問われている。1月20日付のPJニュースでは、日本公認会計士協会が、証券取引法違反の疑いがもたれているライブドアの会計監査を担当した港陽監査法人(本部:横浜市中区)の監査内容について調査に着手したと報じた。では、実際にどのような事実関係があったのか、有価証券報告書や法人登記簿、公式ホームページや報道資料といった公表資料だけを頼りに、検証してみたい。ただ、説明を補足するために新聞報道を一部引用することにした。

 そして、これらの事実関係についてライブドアの堀江貴文・前社長がどのような認識を抱いていたのか、堀江氏の証言をもとに探ってみたい。堀江氏の証言は、1月16日午後の東京地検特捜部によるライブドアへの強制捜査以後、同月23日の堀江氏逮捕までの間、記者との間で断続的に行われたものである。堀江氏の証言は、なるべく発言そのものの言葉遣いを掲載することにした。

 また、記者はライブドア社員ではないが、ライブドアからPJニュース・オピニオンの編集・運営全般を業務委託されており、ライブドアに対して経済的な独立性はないことを明らかにしておきたい。ただし、この原稿の取材過程では、秘密裏にライブドア社員に情報提供を求めたことも、同社員に情報提供されたことも一切無かった。

 さらに、堀江貴文氏はこれまで、PJニュース・オピニオンの編集権について一切、介入した事実はない。 

 ライブドア関連組織にとって、否定的とも受け止められるこの原稿を掲載する理由は、読者に事実を伝えなければならないという、精神的に独立した個人のパブリック・ジャーナリストとしてのインテグリティのみに由来するとお伝えしておきたい。読者の皆様には、これらの背景を踏まえた上で、この記事を読んでいただければ幸いです。

会計監査の独立性に問題はなかったのか
 ライブドア(オン・ザ・エッジ、エッジを経て現社名)の有価証券報告書 によると、現・港陽監査法人(監査法人神奈川監査事務所、神奈川監査法人を経て現監査法人名)の小林元公認会計士がライブドアの2000年9月期、2001年9月期、2002年9月期、2003年9月期 の4期にわたり、連結財務諸表と単体財務諸表の会計監査を行い、それぞれの監査報告書で、財務諸表が経営成績を適正に表示しているとする「適正意見」を表明した。また、同報告書には「会社と当監査法人又は関与社員との間には公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない」とも記されている。

 一方、法律、税務・会計、経営コンサルティングを行う「ゼネラル・コンサルティング・ファーム(横浜市)」(通称ゼネコン) の公式ホームページによると、小林元公認会計士と、ライブドアグループ全体の監査役である大橋俊二弁護士が2000年に同社を設立したとある。ゼネコンは3法人で構成されており、法人登記簿によると、法人登記名はそれぞれ、「税理士法人ゼネラル・コンサルティング・ファーム」、「弁護士法人ゼネラル・コンサルティング・ファーム」、「株式会社ゼネラル・コンサルティング・ファーム」。

 法人登記簿によると、会計事務、投融資業務の経理事務と審査業務の受託、投資顧問業、投資事業組合財産の運用管理などを目的とする株式会社ゼネコンは2000年11月6日に設立された。1月23日発売(1月30日発行)の雑誌「アエラ」によれば、ライブドア前取締役の宮内亮治氏がその設立者であるという。法人登記簿によれば、宮内氏は2003年7月1日から同年12月25日までの間、代表取締役であった。小林元氏は2003年7月1日に取締役に、同年12月25日に代表取締役にそれぞれ就任し、現在に至る。また、税理士法人ゼネコンの設立は2003年10月1日で、設立当初から現在まで、小林元氏が代表社員である。宮内氏は設立当初から2003年12月24日まで社員であった。

 公認会計士法第24条 では、公認会計士の特定の事項についての業務制限を規定している。それによると、公認会計士は、財務書類のうち、1)公認会計士又はその配偶者が、役員、これに準ずるもの若しくは財務に関する事務の責任ある担当者であり、又は過去1年以内にこれらの者であった会社その他の者の財務書類、2)公認会計士がその使用人であり、又は過去1年以内に使用人であった会社その他の者の財務書類、3)公認会計士が著しい利害関係を有する会社その他の者の財務書類、該当するものについては、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をする業務を行ってはならない、と定められている。

 この中にある「著しい利害関係」とは、公認会計士又はその配偶者が会社その他の者との間にその者の営業、経理その他に関して有する関係で、公認会計士の行う財務書類の監査又は証明をする業務の公正を確保するため業務の制限をすることが必要かつ適当であるものをいう。

 有価証券報告書と法人登記簿によれば、小林元公認会計士は2003年9月期の会計監査時に、港陽監査法人のライブドア監査の関与社員であり、かつ、ゼネコンの取締役でもあったことになる。1月26日付の日本経済新聞 によると、金融庁が港陽監査法人に対し、ゼネコンとの関係でライブドアの証券取引法違反事件に絡んで公認会計士法上の違反がなかったかを調査するという。この件に関し、ゼネコンと港陽監査法人の両者は、PJニュースの取材に対し、取材には応じられない、と答えた。

堀江貴文氏の証言、「独立性の認識」とは
 港陽監査法人に所属していた小林元氏がライブドアの会計監査を行った2003年9月期に、ライブドアは小林氏が取締役であるゼネコンにどのような業務を受発注していたのだろうか。公認会計士法に抵触するような事実はあったのだろうか。堀江氏はライブドアとゼネコンの関係をどのように認識していたのであろうか、直接聞いてみた。

−ライブドアとゼネラル・コンサルティング・ファームの関係について教えてください。
「たぶん、経理の外注とか、給与計算の外注とかやってるとおもいますけど。受発注の詳細は管理部にきいてみて」

 この後、PJニュースはライブドア管理部門担当者らに直接取材を申し込んだが、回答は得られなかった。

 企業買収時に、ライブドアが第三者機関ではなく、利害関係者に買収先の資産査定を行わせたとすれば、その行為自体が粉飾決算の温床になり、株主に損害を与えてしまうこともある。これに関しては、1月22日付PJオピニオン、「問われる資産査定の独立性と妥当性、マネーライフ事件」でお伝えした。

 ライブドアマーケティング(旧バリュークリック・ジャパン)が2004年10月25日発表した、株式交換によるマネーライフ買収の報道資料によれば、株式交換比率は第三者機関が、バリュー社については直近30日間の市場株価平均で、マネーライフについてはディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法でそれぞれの資産価値を算出し、両者協議のうえ決定した。

 だが、1月24日付の読売新聞は、マネーライフの資産査定は第三者機関ではなく、実際は同じライブドアグループの「ライブドアファイナンス」が比率を計算していたことが、東京地検特捜部の調べで分かった、と報じた。ライブドア・マーケティングは、PJニュースの取材に対し「マネーライフ買収時の第三者機関が誰であるかは答えられない」と回答した。読売新聞の記事が出る以前に、堀江氏はこう答えた。

−誰がマネーライフの資産査定を行ったのか。
「名前忘れました。ただ、資産査定といっても、それを判断するのはあくまでも経営陣ですよ」

 1月21日付中国新聞などの報道によると、ライブドアの株式交換による2001年10月発表のネットコンサルタント会社「パイナップルサーバーサービス」と、02年2月発表の「アットサーバー」への企業買収で、宮内氏が密接にかかわったゼネコンが「第三者機関」として、交換時の株価を算出したとされる。

 さて、堀江氏は企業買収での第三者機関による資産査定などについて、どのような認識を抱いていたのであろうか。

−そもそも、マネーライフ買収時に宮内さんはマネーライフの取締役だったのか。
「マネーライフの取締役ではあったようです。手元に資料ないので、100%そうだとはいいきれませんが」

−宮内氏がゼネコンの取締役だった事実は知っていたのか。
「ゼネコンの取締役?そんな話は聞いたことがありませんけど」

−ライブドアの会計監査を行っていた小林元会計士と、ライブドア・グループ全体の監査役である大橋俊二弁護士はゼネコン所属ですよね。
「その辺はすいませんけど、実際私もよく覚えていない。というかわからないのです。宮内にきいてみてくださいね。小林元会計士がゼネコンでどういうことをしていたのかも良くしりませんし…」

 この後、記者は宮内氏に直接取材を試みようとしたが、コンタクトが取れなかった。

−堀江さん、ライブドアの会計監査や、企業買収での資産査定で、独立性の問題はありませんでしたか。
「??なんの独立性?」

−宮内氏がゼネコンに関わっていた期間に、ゼネコンがライブドアによる企業買収関連の資産査定を「第三者機関」と偽って行っていたとすれば、これは問題です。
「なんか、いろいろ疑いすぎなんじゃない?」

 記者には堀江氏の証言が、真実か、偽りかは分からない。ただ、記者の問いに対して、堀江氏は一つ一つきっちり、答えた。【つづく】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
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