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モスクワ五輪ボイコットの真相(89)

【PJ 2006年01月28日】− <激動五カ月間のドキュメント>
14.体協理事会に官房長官が特別出席
<「参加することに反対」の政府の真意を伝える>

 次にJOC総務主事の岡野俊一郎は「ボイコットはソ連への制裁と解してよろしいか」と質問した。これに対して伊東は「制裁にもいろいろある。その1つに経済的処置がある。これは続行するが、新規のものはやらない。文化交流についても同じだ。オリンピック・ボイコットは、ソ連に対して不快感を示すもので、反省を促す1つである。反省を求める1つの手段ともいえる」と答える。

 中山暉久松が「少数で参加の場合も困るとのことだが、補助金を停止し、パスポートの発給なども停止するのか」と問えば「そこまで閣議では検討していない」と逃げ、荒川清美が「体協への補助はどうなるか」と問いかけると「ここで私が答える段階ではない」と態度をかわす。

 堤義明が「腹で反対なら思い切ってはっきり言った方がいいのではないか」と注文すると、「これまではJOCの自主性を尊重して遠慮していた」と本音を漏らした。

 小谷望が「個別参加でも、どうしても駄目か」と食い下がると、伊東は「それも反対」と頑固な姿勢を貫く。

 「以前の状態に復帰、つまりソ連軍がアフガニスタンから撤退した場合はどうなるか」と岡野が質問すると「完全に復帰した場合はOK」と当然のように答える。

 ここで監事の鈴木一が「今までは対ソのことばかりが話題になっているが、対米政策からもというように解釈していいか」と角度を変えた質問をすると、伊東は「対米と言われて困るが、国連決定を尊重するというのが建前だ」と答え、長居は無用とばかり腰を上げた。政府の真意は伝えたので、これ以上はごめんとばかりに、伊東は20分ほどで退席したのだった。

あらかじめ用意されていた“理事会決議”

 伊東が政府の真意を伝えて退場すると、会議場の理事監事室は急に緊張感がなくなったが、それも束の間のことで、場内に再び火がついた。その模様を再現すると──

山口 さきほどは話を途中で止められた形になったので追加したい。アジアのなかの日本ということをもっと考えるべきだ。

堤 柳川局長に質問する。もし行った場合はどうなるか?

柳川(文部省体育局長) それは国会でも問題になった。「国庫補助金を支出するのは好ましくない」「公務員の参加も好ましくない」と文部大臣は答えている。

廣 国庫補助金というのは選手団派遣費と解釈してよいか。

柳川 選手強化費、国民スポーツ振興費にも影響すると思う。われわれは財政当局に対しては防衛の立場をとっている。

千葉 4月26日のJOC総会の“申し合わせ”は、今でも生きているか。

柴田 それは生きている。

近藤 アジア、ヨーロッパ報告をもっと真剣に検討すべきではないか。特にアジアの動向を踏まえて、JOCに強く要望してはどうか。

岡野 スポーツは即効性がある。それを政治の道具に使われては困る。気持ちの上でひっかかるものがある。【つづく】

■関連ブログ
伊藤公(いとう・いさお)の『モスクワ五輪ボイコットの真相』

■関連書籍
小田光康著、「スポーツジャーナリスト」という仕事
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 公【 東京都 】
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