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モスクワ五輪ボイコットの真相(88)

【PJ 2006年01月27日】− <激動五カ月間のドキュメント>
14.体協理事会に官房長官が特別出席
<「参加することに反対」の政府の真意を伝える>

官房長官が「少数でも困る」と政府の真意を演説
 福山の報告が終わるのを待って、内閣官房長官の伊東正義が入場し、中央・議長席の河野の隣に座った。河野は伊東が着席するのを見届けると「とにかく政府には表と裏がある。そこで伊東官房長官より、政府の真意、政府の本当の気持ちを伝えて欲しい。そのために私が官房長官を呼んだ」と切り出した。

 伊東は椅子から立ち上がり、揉(も)み手をしながら話し始めた。
 河野会長より、お前はスポーツには素人なので黙っていろと言われていた。しかしながら、この問題は、内閣全体として取り上げている。レークプラシッドの冬季大会とメキシコにおけるANOC会議(各国内オリンピック委員会連合会議)の前に政府見解を出した方がいいということになり、2月1日に1回目の政府見解を出し、4月25日にもう一度出している。

 要約すると、オリンピックはスポーツの大会ではあるが、取り巻く問題は非常に大きい。ソ連のアフガニスタンへの軍事介入は、イランの人質問題とは違う。世界の平和、安定と密接な関係がある。日本国政府としては、1月14日の国連決議に従うというのが建前だ。そのために2回も政府見解を出している。

 政府の本心をいえば「参加することに反対」「ボイコットしてくれ」ということだ。ソ連がアフガニスタンから撤退するという気配は今のところない。そういう状況のなかで参加国が多くなることは、ソ連に利用されるだけだ。

 オリンピックは、世界情勢と切り離して考えられない。実は昨日も閣議を開催してこの問題について検討したが、かなり多くの閣僚から、新しい見解を出すべきだとの意見が出された。政府としては“少数精鋭”でも参加になるので、ソ連の行動を認めることになると思っている。政府としては、あくまでも1月14日の国連決議に従う。したがって、少数でも困るというのが政府の本音だ。この政府の考え方は最後まで変えない。「本当に困ります。反対でございます」というのが大平総理以下の意見だ。
 伊東はこのように演説し、座席についた。待ちかねていたように、山口久太が「ソ連のアフガニスタンへの介入は、オリンピック憲章第1条に違反している。たとえ開催されたとしても、正式なオリンピックとは言わない。私は自分の良心に問えと訴えたい」と口火を切った。【つづく】

■関連ブログ
伊藤公(いとう・いさお)の『モスクワ五輪ボイコットの真相』

■関連書籍
小田光康著、「スポーツジャーナリスト」という仕事
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 公【 東京都 】
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