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モスクワ五輪ボイコットの真相(87)

【PJ 2006年01月26日】− <激動五カ月間のドキュメント>
14.体協理事会に官房長官が特別出席
<「参加することに反対」の政府の真意を伝える>

記録の残すことを禁じて理事会の開催
 いよいよ5月24日。この日はモスクワ・オリンピックへのナショナル・エントリーの締め切り日である。日本オリンピック委員会(JOC)は、否応なしに参加が不参加かを決めなければならない日が遂にやってきた。

 東京・渋谷区神南にある岸記念体育会館は、朝のうちから緊張した雰囲気に包まれ、報道関係者でゴッタ返した。

 JOCの臨時総会に先がけての体協の臨時理事会は午前10時30分から、35人中22人の理事と1人の監事が出席してはじまった。

 出席者は会長の河野謙三、副会長の田畑政治、専務理事の飯沢重一、理事の青木半治、荒川清美、大西鉄之祐、岡野俊一郎、黒田善雄、小谷望、近藤天、鈴木祐一、柴田勝治、千葉久三、帖佐寛章、堤義明、中牟田喜一郎、中山暉久松、浜中春吉、廣堅太郎、福山信義、二川卯吉、山口久太の22人と監事の鈴木一の計23人。

 このうち、河野、田畑、飯沢、青木、荒川、大西、岡野、近藤、柴田、帖佐、堤、廣、福山、山口の14人は、JOC委員も兼任している。

 政府筋のオブザーバーは、文部省体育局長の柳川覚治、外務省情報文化局長の天羽民雄、文部省体育局スポーツ課長の戸村敏雄(あとで体協事務局長)の3人。

 通常の理事会だと記録を取るためにテープレコーダを用意するのだが、この日に限って記録は残したくないとの執行部の意向により、テープレコーダなしで非公開となった。この非公開問題では、会議の前に、体協専務理事の飯沢重一とJOC常任委員(日本水泳連盟会長)の藤田明との間で、激しいやりとりがあった。藤田が「私は体協参与だから、体協理事会を傍聴する権利があるはずだ」と主張したが、飯沢は「重要なことを協議するため非公開にしており、体協記者クラブからの強硬な申し入れも断っているので、ご協力願いたい」として拒絶した。

 体協臨時理事会は、まず中国、フィリピン、タイ、ホンコン、韓国を回ってきたJOC常任委員の佐野雅之の報告からスタートした。佐野はひと通りの説明のあと「回ってきたアジア各国のNOCはいずれも参加しないことに決めている」と簡潔に報告。佐野と一緒にアジアを回った同じくJOC常任委員の安田誠克は「アジアが一丸となるようJOCがリードして欲しいと言われた」と補足した。

 この報告を受けて会長の河野は「この際、JOCはアジアと連携を強める気持ちはないか」と質問。これに対してJOC委員長の柴田は「今後のことは別として、今は時間的に無理だ」と答えた。

 つづいてヨーロッパの主要国とIOC本部に立ち寄ってきた体協理事で競技力の向上委員長兼JOC常任委員の福山信義からは「西ヨーロッパ諸国は一様ではない。西ドイツは不参加を決定したが、その他の主要国はほとんど参加に踏み切ったようだ。IOC本部の予想では全体で、80─90カ国が参加するだろうとのことだった」と報告された。【つづく】

■関連ブログ
伊藤公(いとう・いさお)の『モスクワ五輪ボイコットの真相』

■関連書籍
小田光康著、「スポーツジャーナリスト」という仕事
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 公【 東京都 】
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