レギュラー仕様にハイオクを入れるのが一番被害は少ない

 一昔前だとコンパクトカーのような大衆車はレギュラーガソリン、輸入車やハイパフォーマンスなスポーツカーなどはハイオクガソリン、トラックなどの働くクルマは軽油というようなイメージが強かった。

 しかし、最近ではコンパクトカーでもディーゼルエンジンのモデルも存在するし、トラックでもガソリンエンジンを搭載しているものがあるように、イメージだけで給油すると油種間違いを起こしてしまうことも(軽自動車だから軽油、なんてことも笑い話ではなく実際にあるようだ)。そこで今回は指定の油種と違うものを入れてしまったらどうなるかを解説していこう。

1)レギュラーガソリン仕様にハイオクガソリンを入れた場合

 レギュラーガソリン仕様のクルマにハイオクガソリンを入れた場合はとくに問題は起こらない。なかにはハイオクガソリンだからハイパフォーマンスでパワーや燃費も上がると思っている人もいるかもしれないが、ハイオクガソリンはオクタン価が高いガソリンという意味で、あくまでノッキング(異常燃焼)の起こりにくさを示す数値が高いだけなので、そもそもレギュラーガソリン仕様のエンジンに対してパワーアップの効果は望めないだろう。

 ただし、メーカーによってはハイオクガソリンには洗浄剤が入っているものもあり、たまにハイオクガソリンを入れると燃料ラインが綺麗になる効果があるため、まったく無意味と言うわけでもない。

2)ハイオクガソリン仕様にレギュラーガソリンを入れた場合

 ハイオクガソリンはオクタン価が高くノッキングしにくいという特性があると前述したが、ノッキングはエンジンの圧縮比が高いほど出やすくなる。そのため高出力なスポーツカーなどはハイオクガソリン仕様となっているというわけだ。ただ、一般的な車両には、レギュラーガソリンが入れられた時用のエンジンマネージメントプログラムも用意されており、出力の低下や燃費の悪化などの可能性はあるがレギュラーガソリンでも走れるようにできている。

 ただし、そもそもオクタン価の高いガソリンが使われている地域の輸入車や、本気のハイパフォーマンスモデル(例:日産GT-R)などはそもそもレギュラーガソリンに対応するプログラムが存在しないので、中長期的に見るとエンジンにダメージを与える可能性が高い。

軽油とガソリンの間違えはどちらもかなりのダメージに!

3)ガソリン仕様に軽油を入れた場合

 ガソリン仕様車に軽油を入れた場合は、元のガソリンがどのくらい残っているかにもよるが、しばらくは普通に走れるものの、エンジンに不調をきたして黒煙がマフラーから出るようになり、エンジンが停止してしまうだろう。

 これはガソリンと軽油で燃えやすさに違いがあるためで、エンジン内部でそもそも着火しないためエンジンが止まってしまうのだ。そのため、万が一入れ間違えたとしても燃料系統の洗浄やフィルター類の交換で復帰できる可能性が高い(とはいえ工賃などを含めるとまあまあの出費となるが)。

4)ディーゼル仕様にガソリンを入れた場合

 ディーゼルエンジンは軽油が持つ潤滑性能を用いて燃料ポンプや燃料噴射ノズルを潤滑しているが、ガソリンには軽油ほどの潤滑性能がないため、燃料ポンプや噴射ノズルに大きなダメージを与えてしまう。そして白煙を吹いてエンジンが停止してしまうというワケだ。

 こうなると当然修理にかかる費用も莫大となり、場合によってはエンジン載せ替えということにもなりかねない。今回のなかで一番被害が大きいのはこのパターンとなるだろう。

 ただ、誤給油に気づいた段階で燃料の抜き取りを行えばここまでの被害にはならないが、給油するときは間違っているとは思っていないので、ほとんどの場合走行してしまって気づくというパターンになってしまう。そうならないためにも代車やレンタカーなど、普段乗らないクルマの給油のときは念には念を入れて油種の確認をしたいところだ。