ケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)で丼ものが食べられる――。にわかには信じがたいが、ごく限られた店舗で「ケンタ丼」という激レアメニューが提供されているのだ。

 

全国で7店舗、東日本では3店舗だけでしか食べられない幻のような存在。この情報を聞きつけた筆者は、さっそくケンタ丼を提供しているスカイツリーソラマチ店へと向かった。


ケンタ丼

これが「究極のファストフード」かも?

現地に着いてまず探したのがメニュー。これが本当に販売されているのか少し半信半疑ではあった。


ケンタ丼の看板

KFCにあるとは思えないテイストの看板を発見。フライドチキンのイメージが強いだけに本当にKFCなのか今一度確認してしまうほど。

看板に貼られていたチラシによると、東日本ではソラマチのほか、宮城の楽天生命パーク店、府中競馬場店で提供されているそうだ。

レジに向かいケンタ丼を注文すると、5分ほど調理の時間がかかるという。限定メニューゆえ、すぐに出せる品ではないようだ。


ケンタ丼

5分後。お弁当のようにプラスチックの蓋がされているケンタ丼が到着した。蓋を開けると湯気が立ち、甘い香りがほんの少し漂う。


サツマイモのフライ

チキンはカーネルクリスピーと同じものと思われる。ほかに入っているサツマイモ、インゲン、シイタケもそれぞれ天ぷらではなく、チキンと同じ衣が使われている。

この衣はチキンと同じだからこそ合うような気がするのだが、はたして野菜にも合うのか。

ひとまずインゲンを食べてみる。一口咀嚼した時の衣のサクサク具合、溢れる甘みと旨味。何が起きたのか。驚いてしまいよく分からなくなるほどの衝撃を受けた。

この揚げ物、天ぷらを凌駕してやがる――なめてかかっていたため、その衝撃がより大きかった。


チキン

お米の上に乗っているにも関わらず時間が経ってもサクサクと食感があまり失われない。

どれを食べても水気でべちゃべちゃになってしまった部分がほとんどなく、揚げたての美味しさを存分に楽しめた。チキンの味も、いつもとは異なる和風テイストになっている。流石はフライドチキンの王者KFCと思わざるを得ない。

全体の味としては天丼に近いが、甘辛いタレの味付けなどはビミョウに異なる。割りと量が少な目なタレがそれぞれの具材の引き立て役に徹してくれるため、飽きが来ないのもポイント。普段、丼ものを扱っていないにも関わらず、分かっている。

タレを大量にかければ良いと思い込んでいる店はKFCをぜひとも見習ってほしい。

どれも食べればハッピーの嵐。食への喜びと感謝が身体を駆け巡る。

筆者が最も感動したのが、シイタケのフライだ。スーパーの総菜などで買うと苦味が出てしまい美味しくない物が多いが、KFCのそれは甘く旨味が洪水のように溢れている。とても同じ種類の食べ物とは思えない。

これは、「和と洋の知が結集した究極のファストフード」なのではないか――実際に食べた筆者はそう感じてしまった。

元々、お米をあつかうメニューがないため難しいのは百も承知。しかし、これだけ身も心も満足感に浸らせてくれる幸福の源を全国で販売しないとはなんたること。

ただ、これがどこでも食べられるとなると――間違いなく毎日通ううえに太る。もしかしたら健康のためにも今のままが良いのかもしれない。