増谷栄一の経済コラム: 米グーグル、400ドル割れ=ウェブ広告の成長鈍化と司法省との確執懸念で
2006年01月23日03時00分 / 提供:Xinhua Finance/ライブドア・ニュース
【ライブドア・ニュース 2006年01月23日】− 先週末の20日、ハイテク銘柄のウエートが高いナスダック総合株価指数が、前日比2.35%安と急落し、2004年8月6日の2.46%安以来の大幅な株価の下落を記録した。原因はモトローラの軟調な四半期決算があったとはいえ、大半が注目を集めていたインターネット検索エンジン最大手グーグルの株価の急落だった。グーグルはこの日、昨年11月16日以来、2カ月ぶりに400ドルを割り込み、前日比8.5%安の399.46ドルにまで売られて引けた。その前の週までは470ドル台(ザラ場の最高値475.11ドル)で推移していたのが、一気に70ドル以上も急落し、時価総額でなんと200億ドル(約2兆3000億円)もの株式価値の下落となったのである。
グーグル株が急落した背景について、米国のアナリストは2つの理由を挙げる。一つは、17日夕、米株式市場が引けた後に、大手インターネット会社の先陣を切って、第4四半期の決算を発表したヤフーの気になる決算内容だった。ヤフーの四半期の最終利益はオンライン広告が、従来の新聞やテレビなどの伝統的な媒体からインターネットにシフトしている傾向を受けて、前年同期比83%増の6億8300万ドル(約790億円)となったのだが、一時的損益を除いた実質ベースの最終利益では、同32%増の2億4700万ドル(約285億円)、1株当たり16セントとなり、市場予想のコンセンサスである1株当たり17セントを下回った。
また、次の第1四半期の広告パートナーへの広告委託料を除いた実質ベースの売上高も10億4000万―11億ドルと予想し、これも市場予想の11億ドル(約1270億円)を下回ったことから、ヤフーの成長鈍化が明らかになったとし、インターネット業界のオンライン広告収入の伸びが従来のように、前年に比べ数倍増というような急速なペースで今後は伸びて行かないという見方が広がり、31日に四半期決算を発表するグーグルの決算にも悲観的な見方が強まったのだ。18日のヤフー株は前日比12.3%安の35.18ドルに急落している。
さらに、18日には米信用格付け大手のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)と米証券会社のスタイフェル・ニコラスのアナリストは、グーグルの投資判断を「売り」に引き下げていたことも影響したようだ。ただ、それとは対照的に、UBS証券のアナリストはグーグルの先週1週間の14.3%の株価下落は軽微だと見て、引き続き、グーグルの向こう12カ月間の株価目標500ドルという予想を据え置いている。
もう一つの急落要因として言われているのが、グーグルと米司法省との確執だ。司法省はグーグルに対して、顧客の検索利用に関するデータを提供するよう求める召喚状を送ったが、グーグルは拒否回答を行った。これは、18日に司法省がカリフォルニア州サンノゼの連邦地裁に対し、グーグルがこの召喚状に従い、データを提供する命令を出すよう申し立てを行っていたことが20日に一部報道で明らかになったもので、もともとは昨年8月にまで遡る話だった。
当時、司法省はグ−グルのほか、ヤフーやタイムワーナー傘下のAOL(アメリカ・オンライン)、マイクロソフトのMSNに対しても同様に、それらのポータルサイトにアクセスしていた一般ユーザーの検索情報を提出するよう要請し、グーグルを除いた他社のすべては、個人のプライバシー侵害にならないことを条件に許諾の回答を与えていたのだ。
当初、司法省はグーグルに対して、グーグルのサーチエンジンを利用して、ユーザーが見つけたすべてのウェブサイトのアドレスの提出と昨年6月1日から7月末までのユーザーの検索文字列(検索キーワード)のログ記録も提出するよう求めていた。しかし、グーグル側は、そうした要請は膨大の仕事なり、また、グーグルの企業秘密まで知られるようになるとして拒否回答している。その後、司法省も譲歩して、100万件のウェブサイトのアドレス情報と1週間の検索文字列のデータの提供に限定したものの、グーグル側はこれも突っぱね、18日の司法省による裁判所への申し立てとなったわけだ。
司法省では、1998年10月に発効した「児童オンライン保護法」という、児童をポルノなどわいせつな情報から保護するのを目的に、ウェブサイトの運営者に対し、利用者の年齢確認を義務付ける法律だったが、アメリカ自由人権協会(ACLU)は直ちに同法は違憲だとして提訴し、フィラデルフィア連邦地裁は同年11月、ポルノを見る権利を保障するものとして、憲法が保障している言論の自由に触れるとの違憲判断を示し、法の執行を停止させた。
その後、司法省が控訴し、2年前の2004年6月に最高裁は憲法侵害の恐れがあるとして、同法の執行を凍結したまま、地裁に審理の差し戻しを命じ、今年後半から同地裁で再審理が始まる予定だ。今、アメリカではブッシュ政権によるテロ対策の一環として実施されている、裁判所の令状なしで行われている電話盗聴や図書館の利用記録のチェックなどの行為に対して、人権団体から激しいい批判を浴びており、その最中にグーグルの召喚状拒否の報道が出た。インターネットの会社には、友人のリストや電話番号、ウェブの利用履歴などさまざまな個人情報が保存されているだけに、インターネットにまで政府の検閲が及ぶことへの批判が高まっているのも事実だ。
グーグルも今回の召喚状については、直接、個人を特定するような個人情報は含まれていないとしているが、もし、検索文字列でわいせつな検索キーワード使用のログ記録が見つかれば、次に、この人物に関する情報提出を召喚されないとも限らないとの批判もある。ともあれ、このグーグルと司法省の確執で、グーグルが政府の攻撃対象になると見て、懸念するアナリストもいるが、その一方で、グーグルの政府の検閲を拒否する姿勢が評価され、ますます、グーグルへの広告発注が増えると楽観的に見るアナリストもいる。 【了】
(経済コラム:http://blog.livedoor.jp/eiichimasutani/)
(外報記者ブログ:http//blog.livedoor.jp/emasutani/)
ライブドア・ニュース 増谷栄一記者
(参照:http://blog.livedoor.jp/emasutani/)
グーグル株が急落した背景について、米国のアナリストは2つの理由を挙げる。一つは、17日夕、米株式市場が引けた後に、大手インターネット会社の先陣を切って、第4四半期の決算を発表したヤフーの気になる決算内容だった。ヤフーの四半期の最終利益はオンライン広告が、従来の新聞やテレビなどの伝統的な媒体からインターネットにシフトしている傾向を受けて、前年同期比83%増の6億8300万ドル(約790億円)となったのだが、一時的損益を除いた実質ベースの最終利益では、同32%増の2億4700万ドル(約285億円)、1株当たり16セントとなり、市場予想のコンセンサスである1株当たり17セントを下回った。
また、次の第1四半期の広告パートナーへの広告委託料を除いた実質ベースの売上高も10億4000万―11億ドルと予想し、これも市場予想の11億ドル(約1270億円)を下回ったことから、ヤフーの成長鈍化が明らかになったとし、インターネット業界のオンライン広告収入の伸びが従来のように、前年に比べ数倍増というような急速なペースで今後は伸びて行かないという見方が広がり、31日に四半期決算を発表するグーグルの決算にも悲観的な見方が強まったのだ。18日のヤフー株は前日比12.3%安の35.18ドルに急落している。
さらに、18日には米信用格付け大手のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)と米証券会社のスタイフェル・ニコラスのアナリストは、グーグルの投資判断を「売り」に引き下げていたことも影響したようだ。ただ、それとは対照的に、UBS証券のアナリストはグーグルの先週1週間の14.3%の株価下落は軽微だと見て、引き続き、グーグルの向こう12カ月間の株価目標500ドルという予想を据え置いている。
もう一つの急落要因として言われているのが、グーグルと米司法省との確執だ。司法省はグーグルに対して、顧客の検索利用に関するデータを提供するよう求める召喚状を送ったが、グーグルは拒否回答を行った。これは、18日に司法省がカリフォルニア州サンノゼの連邦地裁に対し、グーグルがこの召喚状に従い、データを提供する命令を出すよう申し立てを行っていたことが20日に一部報道で明らかになったもので、もともとは昨年8月にまで遡る話だった。
当時、司法省はグ−グルのほか、ヤフーやタイムワーナー傘下のAOL(アメリカ・オンライン)、マイクロソフトのMSNに対しても同様に、それらのポータルサイトにアクセスしていた一般ユーザーの検索情報を提出するよう要請し、グーグルを除いた他社のすべては、個人のプライバシー侵害にならないことを条件に許諾の回答を与えていたのだ。
当初、司法省はグーグルに対して、グーグルのサーチエンジンを利用して、ユーザーが見つけたすべてのウェブサイトのアドレスの提出と昨年6月1日から7月末までのユーザーの検索文字列(検索キーワード)のログ記録も提出するよう求めていた。しかし、グーグル側は、そうした要請は膨大の仕事なり、また、グーグルの企業秘密まで知られるようになるとして拒否回答している。その後、司法省も譲歩して、100万件のウェブサイトのアドレス情報と1週間の検索文字列のデータの提供に限定したものの、グーグル側はこれも突っぱね、18日の司法省による裁判所への申し立てとなったわけだ。
司法省では、1998年10月に発効した「児童オンライン保護法」という、児童をポルノなどわいせつな情報から保護するのを目的に、ウェブサイトの運営者に対し、利用者の年齢確認を義務付ける法律だったが、アメリカ自由人権協会(ACLU)は直ちに同法は違憲だとして提訴し、フィラデルフィア連邦地裁は同年11月、ポルノを見る権利を保障するものとして、憲法が保障している言論の自由に触れるとの違憲判断を示し、法の執行を停止させた。
その後、司法省が控訴し、2年前の2004年6月に最高裁は憲法侵害の恐れがあるとして、同法の執行を凍結したまま、地裁に審理の差し戻しを命じ、今年後半から同地裁で再審理が始まる予定だ。今、アメリカではブッシュ政権によるテロ対策の一環として実施されている、裁判所の令状なしで行われている電話盗聴や図書館の利用記録のチェックなどの行為に対して、人権団体から激しいい批判を浴びており、その最中にグーグルの召喚状拒否の報道が出た。インターネットの会社には、友人のリストや電話番号、ウェブの利用履歴などさまざまな個人情報が保存されているだけに、インターネットにまで政府の検閲が及ぶことへの批判が高まっているのも事実だ。
グーグルも今回の召喚状については、直接、個人を特定するような個人情報は含まれていないとしているが、もし、検索文字列でわいせつな検索キーワード使用のログ記録が見つかれば、次に、この人物に関する情報提出を召喚されないとも限らないとの批判もある。ともあれ、このグーグルと司法省の確執で、グーグルが政府の攻撃対象になると見て、懸念するアナリストもいるが、その一方で、グーグルの政府の検閲を拒否する姿勢が評価され、ますます、グーグルへの広告発注が増えると楽観的に見るアナリストもいる。 【了】
(経済コラム:http://blog.livedoor.jp/eiichimasutani/)
(外報記者ブログ:http//blog.livedoor.jp/emasutani/)
ライブドア・ニュース 増谷栄一記者
(参照:http://blog.livedoor.jp/emasutani/)
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行きの電車、帰りの電車で