ツアーオーラスの東京国際フォーラムにて。記念撮影をする女性ファン/著者撮影

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「これはこれで近々に絶対やりたかった事だから絶対観に来て欲しいの」
(※3月4日に更新されたJinakanishiさんのTwitterより抜粋)

【写真】ぐでたまコラボの可愛いステッカーや当日のギフトチケット

 ジャニーズ事務所を離れてはや5年。

 元KAT-TUNの赤西仁さんが『変形性腰椎症』を患い、ライブ出演を断念したのは今年3月のこと。翌4月6日から全国18か所を巡る『JIN AKANISHI “THANK YOU”TOUR 2019』を控えての、苦渋の決断だった。

 予定されていた公演は、彼の独立から5年間の軌跡をたどったドキュメンタリーシネマ『JIN AKANISHI 5th Anniversary Our Years Film』の上映に変更。私も、そのツアーのオーラスとなる、5月30日、“本人不在”の東京国際フォーラム公演に参加した。

 チケット購入者には、グッズ購入に使える4000円分のギフトチケットと、最新曲『But I Miss You』のマキシシングルCD、さらには、会場によって絵柄が異なるJin×gudetamaご当地メタルキーホルダー&ダイカットステッカーの3点が特典として配られたほか、希望者の払い戻しにも応じた。

 赤西さんは現在、ソロアーティストとして活動しているので、メンバーのひとりとして欠席したわけではない。

 にもかかわらず、“オンリーワンの主役抜き”でツアー開催に踏み切れたのはなぜか?

 そこには、赤西さんとファンの並々ならぬ信頼関係があった。

「あいつら、絶対やるって!」

 2016年のこと。ツアーグッズにスカジャンがラインナップされたことがあった。価格は2万4800円と高価だったため、運営は及び腰。

 赤西さんは「あいつら、絶対やるって(ファンのみんなは絶対買ってくれるから、もっと作って大丈夫だよ!)」と主張するも、売れ残りが懸念され、結局、販売されたのは彼の希望よりだいぶ少数だった。

 しかし結果は即、完売。運営に謝罪されたという。

「だから言ったのに!!」

 ステージ上で事のあらましを説明しつつ、自分のファンの“できる子ぶり”を語る彼の、なんと誇らしげだったことか。

 反面、ドヤ顔でリリースしたオリジナル香水はイマイチで、ファンからクレームが多発。やむなく販売中止となったが、赤西さんは「(香水については)リベンジしたい」と語っている。

 赤西さんのファンは、彼を甘やかす人たちだけではない。言うべきことははっきりと言い、彼の成長につながるような関わりかたをする。

 くだんのドキュメンタリーシネマの中で、彼は自分のファンについて「オレの親か?」「めっちゃ文句言ってくるけど、めっちゃ応援してくれてる」と語っている。

 さらに、「人に自慢できる存在」とも。

いつか、このことをネタにして

 彼のファンに共通することは、「私たち、仁くんにめちゃめちゃ信頼されてる!」という自負だと思う。赤西さん流に言うなら、“自負ってる”。

 だから、ちょっと会えないくらいで、それも不慮の事情ならなおさら、駄々っ子みたいに寂しがって離れたりしない。長い人生いろいろあるもの。

「留守は守っておくから、大事を取るといいよ」という姐(ねえ)さん的な情の厚さと貫禄が、彼女たちにはある。

 私も、「赤西さんが出ないの? じゃあ行かない」という気持ちは毛の先ほどもなかった。あったのは、「わかった! 行くね。どんなものが見られるか楽しみ!」という思いだけだった。だって、いつかまた、このことをネタにしてステージで笑う彼に会えると知っていたから。

 主役に有事の際は、『中止』という選択肢しかないとしたら、悲壮だしあまりに綱渡りだ。赤西さんの例がすべてに応用できるわけではないけれど、少なくとも「こんなやりかたもあるよ」という好例を示せたのではないだろうか。

 さすがはJin Akanishi! 不在の在という、見事な存在証明をしてくれた。

 元気になった彼と再び会える日が、今から待ち遠しくてならない。

<プロフィール>
みきーる/ジャニヲタ・エバンジェリスト。ライター・編集者。
グループを問わずジャニーズアイドルを応援する事務所担。応援歴は25年超、3日に1度は現場参戦。著書に、『ジャニヲタあるある』(青春出版社)、『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)など。
◆Twitter @mikiru
◆オフィシャルブログ 『ジャニヲタ刑事!』