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サーバー押収、信書の秘密は守られるのか?地検捜査で

2006年01月22日20時59分 / 提供:PJ

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東京地検特捜部などが16日から17日にかけて、ライブドアと関連各社の家宅捜索を行った。容疑はライブドアの関連会社の証券取引法違反「偽計取引、風説の流布」だという。この捜査は国民の財産である電子メールの通信文を持ち去った許しがたい行為である。思想信条の自由を侵す危険性が高く、なおかつ重大な憲法違反の可能性があるとPJは考える。

 ライブドアにかけられた嫌疑については、今後の公正な捜査を見守りたい。ただ「偽計取引、風説の流布」という容疑で、ライブドアの新宿歌舞伎町のビルにあるサーバーのデータが押さえられた。なぜ、そこまでするのか。サーバーには国民が交わしてきた膨大な通信財産が収納されている。

 多くの国民は、過去にやり取りしたメールが東京地検特捜部にのぞかれるとは想定外だろう。庶民感覚でも、検察に知られたくない、のぞかれたくない情報が目いっぱい入っている。一般国民は丸裸にされてしまったのだ。企業でも、個人でも「叩けば埃が出る」こともある。地検がほかの事件捜査や取り締まりに利用しないという担保は皆無である。考えるほど、背筋が凍る思いだ。

 今回の東京地検特捜部の捜査を一般家庭にあてはめてみれば、ことの重大さがわかる。若い男女が無灯火の自転車で二人乗りした道路交通法違反の容疑で、複数の警察官が家宅捜査の礼状を持って一般家庭に押しかけてきた。自宅のみならず、親元、親戚、勤務先まで、あらゆるところを調べる。貯金通帳とか、書類とか、手帳とかを差し押さえていく。そして後日、家人の別件の事件につながる容疑を固めていく。こんな乱暴な捜査が許されていいはずがない。東京地検特捜部の捜索はこれに類似したものだ。

 政治家の恥部、犯罪者の所在地、個人どうしの係争、教会牧師への罪の懺悔のメールなど、どれでも別の公安事件、刑事事件の犯罪捜査に利用できる。

 『おいしい事件があるぞ。これは別の捜査資料に使えるぞ』

 検事がほかの捜査に利用する可能性は大だ。特捜部部長は、国民に対して他の捜査に絶対に利用しないと言い切れるのか。100パーセントの担保はできないはずだ。優秀な人材による組織のなかにも、かならず悪事に手を染める人間がいる。過去には東京地検特捜部の検事すら、違法捜査で逮捕されて有罪になった。検察事務官も同様だ。

 この先、国民の貴重なデータがライブドアに戻ってきたとしても、コピーされていない保証はない。ほかの事件に利用、悪用されても、国民はまったくチェックできないのだ。

 大手マスコミの報道をみると、堀江社長逮捕を推測したり、まだ明確な根拠がないのに、「関係者」の話として、ライブドアが粉飾決算だといい、東京証券取引所がライブドアの上場廃止への有無を報じたり、テレビ・コメンテーターは時のひと堀江社長を悲劇の人に陥れたがったり、面白がったりしている。そうした報道を必ずしも、否定するものではない。

 悲しいかな東京地検特捜部への批判がほとんどない。多少あるとしても、世界の証券市場を大混乱に陥れた、責任の一端があるという程度だ。こんな報道で良いのか。安穏としている場合ではない。

 『報道自由の足元から、重大な危機に直面しているのだ』

 ライブドアをサーバーにした報道用の記者の原稿、データ、記事のやり取り、極秘に入手した写真などが、検察庁という国家権力の手にすべて押さえられてしまったのだ。

 「東京地検が悪用しない」と誰が保障するのか。

 政治家も危機感を持たなければならない。選挙にからむデータ、企業や個人献金のやり取り、政策面の意見調整、外交の極秘書類すらメールで送られているだろう。政治家の逮捕につながる、証拠書類としてのメールもあるはずだ。

 東京地検は必ずしも正義の味方ではない。戦前の歴史を見れば、特高警察を陰で操り、思想弾圧を行ってきた。これらの反省があって、戦後においては思想信条の自由が尊重され、信書の秘密が大切に守られてきたのだ。警察、検察の思想信条への不介入は国民が心から求めてきたものである。

 警察の犯罪捜査による盗聴。これすら数十年にわたり、合法性が議論されてきた。最近の犯罪の悪質性、麻薬犯罪などの組織性が高まるにつれて、国民の理解がやや高まり、必要最小限の範囲内で刑事事件捜査に限って認められた。それすら最近のことだ。東京地検特捜部は今回、そうした国民の合意という積み重ねすら無視した。「偽計取引、風説の流布」という家宅捜索の令状だけで、国民生活に関わる電子メールによる通信文という重要な財産を略奪したのだ。 

 検察庁が捜索を事前にリークしたNHKなど、一部の報道陣を除けば、国民にはデータを消去する防御の余裕すら与えられなかった。

 他の大手サーバーにも同様の捜査が入れば、国民の通信の秘密が崩壊してしまう。情報化が高度に発展した現在、コミュニケーション手段は多様化している。個人や企業から発せられる通信手段して、電子メールが利用され、社会的な地位を占めてきた。
「郵便や信書の秘密保持は民間ではできない。法的には電子メールは信書でない」という意見はある。PJは認める。しかし、信書と同等のレベルで、電子メールの内容の秘密は守られるべきだと考える。検察庁の検事すらも大手サーバーを通した通信をおこなっているはず。サーバーに従事する従業員がのぞき見たら、「電子メールは信書の秘密じゃないから」と笑ってすませられないだろう。

 学校教育の場では生徒にインターネットを教えている。『電子メールは通信ではないから、信書の秘密を守ってもらいたければ、手紙やはがきを出しなさい。郵便局の職員には守秘義務がかせられているから、そっちは大丈夫だから』とか、『厳密に解釈すれば、メールは法的に信書じゃないから、警察官や検察官が自由にのぞけるんですよ』と教えている教師はおそらくいないだろう。
 電子メールが信書の秘密と同等に扱われなければならない。それでなければ、一人ひとの心の中、思想までもがのぞかれてしまうのだ。法の番人も両刃の剣だ。官憲による検閲が入れば、思想信条の自由すら侵される。

 あえていう、今回の家宅捜索は、手紙すら検閲された暗黒の治安維持法の時よりも悪質だ。国民の膨大な通信文を奪い去ったのだから。こんな検察庁のやり方では、日本人が隣家や友人どうしとの会話にも疑心暗鬼になる、暗い時代に戻ってしまう。【了】 

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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