今週のお役立ち情報
トップ目指す中小企業を応援、政策転換へ
2006年01月22日11時28分 / 提供:PJ
【PJ 2006年01月22日】−
日本最大級のベンチャーマッチングイベントと銘うった「ベンチャーフェアJAPAN 2006」が1月の17日から19日までの3日間、東京国際フォーラムで開催された。全国からベンチャー企業が自慢の先端技術を競演展示した。19日には会場で伊丹敬之・一橋大学大学院商学研究科教授が「製造業の競争力を支えるモノ作り中小企業への期待」とする講演を行い、関係者の関心をあつめた。
それというのも、伊丹敬之教授は、経済産業省中小企業政策審議会・経営支援部会長をしており、政策路線の方向づけに少なからず影響を及ぼす立場にあるからだ。伊丹教授はこれまで、経済産業省の中小企業支援政策は、統計調査データを根拠に産業支援を柱としたなかで推進してきたが、新しい中小企業政策の指針策定には杉山秀二事務次官が「もう過去のデータを使うな。足で集めた、生きた情報によって指針を作ろう」と、幹部に指示したことを明らかにした。
つまり、中小企業の進んだ基盤技術を企業の現場から情報収集し、自ら優れたものづくり技術もった企業を発見し、積極的に支援する方針を打ち出そうとするもの。それには、指針を策定する立場の経済産業省の担当者が、最新ものづくり技術を学び、理解を深める必要がある。このことは、従来の大まかな産業支援政策から、きめの細かい中小ベンチャー企業の技術高度化に的を絞った支援へ、政策を転換させることを意味するものである。
伊丹教授は、日本経済のバブル崩壊により、いわゆる「失われた10年」という自信喪失現象のなかで、失われたのは金融政策の失敗による金融の円滑なシステムであり、製造業の分野では、いまだに世界に冠たる優位性を維持している。その証拠に日本の国際収支の黒字基調は一向に変わらないではないか、と主張してきた。たしかに日本の産業において1990年の生産性を100とすると、全産業が124.83%なのに比べ製造業は156.84%という成果を示している。日本の輸出に占める工業製品の比率は90%を超えており先進諸国を圧倒する強さを見せている。
しかし、その成長の伸びはかつてのようなものではなくなっており、他国の追い上げが目立ってきていることは確かである。そのなかで、日本のベンチャー企業には2つの課題がある、と伊丹教授は説く。第一は、ものづくりの流れのなかで、加工や部品製造の川上的存在の企業と、加工組み立ての企業側との情報交流不足、偏り(情報非対称性)が生じていること。この是正の必要性が増大している。
第二には、技術の高度化・専門化の進展で、研究開発における「不確実性」が増大している。特に、今後の発展が期待される新成長分野(例・燃料電池)などで顕著であり、その対応が容易ではないこと、などを挙げている。これらの課題を解決するためには、技術開発指針(技術分野別に)を定め、技術中心の支援体制を作ること。また、支援対象は、先端をすでに走る中小企業ではなく、むしろそのすぐ下でトップたろうとする努力する中小企業支援が必要であるとする。
つまり、トップを走る企業よりも、10位から50位に位置する企業を対象にし、技術開発の裾野を広げ、厚みを持たそうというものだ。これによって、ベンチャー企業の多くが、それなら自分らの手がけている技術も支援してもらえるのでは、と思えるような身近な感じを受けるであろうと伊丹教授は言う。折りしも経済産業省は「中小企業ものづくり基盤技術高度化法案」など関連法案を今通常国会に提出する方針を打ち出した。
予算は技術開発助成だけでも、80億円とされ、鋳造、プレス加工など技術ごとに開発の指針を明記し、その方向での認定を受けることで、支援が受けられるようにする。その他、人材確保育成支援に29億円、商店街・市街地活性化に88億円、中小企業金融の多様化活性化に353億円、合計で1204億円の予算案が提出される。これによって今後は、全国の産業集積地にある町工場での技術開発に政策支援が身近になると期待されるが、それだけでなく、全国の中小企業がその政策大転換に対応して、政府の支援助成金をどう活用していくかが注目される。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 伊藤 昭一【 東京都 】
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それというのも、伊丹敬之教授は、経済産業省中小企業政策審議会・経営支援部会長をしており、政策路線の方向づけに少なからず影響を及ぼす立場にあるからだ。伊丹教授はこれまで、経済産業省の中小企業支援政策は、統計調査データを根拠に産業支援を柱としたなかで推進してきたが、新しい中小企業政策の指針策定には杉山秀二事務次官が「もう過去のデータを使うな。足で集めた、生きた情報によって指針を作ろう」と、幹部に指示したことを明らかにした。
つまり、中小企業の進んだ基盤技術を企業の現場から情報収集し、自ら優れたものづくり技術もった企業を発見し、積極的に支援する方針を打ち出そうとするもの。それには、指針を策定する立場の経済産業省の担当者が、最新ものづくり技術を学び、理解を深める必要がある。このことは、従来の大まかな産業支援政策から、きめの細かい中小ベンチャー企業の技術高度化に的を絞った支援へ、政策を転換させることを意味するものである。
伊丹教授は、日本経済のバブル崩壊により、いわゆる「失われた10年」という自信喪失現象のなかで、失われたのは金融政策の失敗による金融の円滑なシステムであり、製造業の分野では、いまだに世界に冠たる優位性を維持している。その証拠に日本の国際収支の黒字基調は一向に変わらないではないか、と主張してきた。たしかに日本の産業において1990年の生産性を100とすると、全産業が124.83%なのに比べ製造業は156.84%という成果を示している。日本の輸出に占める工業製品の比率は90%を超えており先進諸国を圧倒する強さを見せている。
しかし、その成長の伸びはかつてのようなものではなくなっており、他国の追い上げが目立ってきていることは確かである。そのなかで、日本のベンチャー企業には2つの課題がある、と伊丹教授は説く。第一は、ものづくりの流れのなかで、加工や部品製造の川上的存在の企業と、加工組み立ての企業側との情報交流不足、偏り(情報非対称性)が生じていること。この是正の必要性が増大している。
第二には、技術の高度化・専門化の進展で、研究開発における「不確実性」が増大している。特に、今後の発展が期待される新成長分野(例・燃料電池)などで顕著であり、その対応が容易ではないこと、などを挙げている。これらの課題を解決するためには、技術開発指針(技術分野別に)を定め、技術中心の支援体制を作ること。また、支援対象は、先端をすでに走る中小企業ではなく、むしろそのすぐ下でトップたろうとする努力する中小企業支援が必要であるとする。
つまり、トップを走る企業よりも、10位から50位に位置する企業を対象にし、技術開発の裾野を広げ、厚みを持たそうというものだ。これによって、ベンチャー企業の多くが、それなら自分らの手がけている技術も支援してもらえるのでは、と思えるような身近な感じを受けるであろうと伊丹教授は言う。折りしも経済産業省は「中小企業ものづくり基盤技術高度化法案」など関連法案を今通常国会に提出する方針を打ち出した。
予算は技術開発助成だけでも、80億円とされ、鋳造、プレス加工など技術ごとに開発の指針を明記し、その方向での認定を受けることで、支援が受けられるようにする。その他、人材確保育成支援に29億円、商店街・市街地活性化に88億円、中小企業金融の多様化活性化に353億円、合計で1204億円の予算案が提出される。これによって今後は、全国の産業集積地にある町工場での技術開発に政策支援が身近になると期待されるが、それだけでなく、全国の中小企業がその政策大転換に対応して、政府の支援助成金をどう活用していくかが注目される。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
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