御朱印は信仰・功徳の証。マナーを守って楽しく参拝、御朱印の雑学や豆知識を紹介!

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神社仏閣へ参拝した証として頂ける「御朱印(ごしゅいん)」が、平成から令和への御代替わり(改元)に際してブームとなっているようです。

しかし中には「平成最後」「令和最初」など、特別感の高い御朱印をインターネット上で高額転売したり、御朱印を求める際のマナーが悪かったりと、色々問題もあるようです。

鎌倉・実相寺にて頂いた御朱印。

そもそも御朱印とは何なのか、その由来など知ることで「然るべき扱い方」が見えて来るかも知れません。

御朱印は「信仰・功徳の証」

御朱印の始まりには諸説あるそうですが、有力な説としては「寺院に納経(のうきょう)した、功徳(くどく)の証」として頂いたそうです。

納経とはコピー機もコピー&ペーストもない時代のこと、ありがたい経文(きょうもん。お経の文書)を書き写して(写経と言います)お寺に納めることで、仏様の御心に適う善行=功徳として流行りました。

この説にのっとれば、本来ならお寺で写経しないと頂けないものですが(現代でもそういうお寺さんもあるそうです)、時代が下るに従って「参拝した功徳の証」として頂けるようになり、やがて神社でも始められたと考えられます。

甲斐国総鎮守・武田神社の御朱印。御朱印と墨書に加えて信玄公の用いた龍の印と、軍配型の印も添えられている。

御朱印はその名の通り朱墨で捺された印と、多くの場合「奉拜(ほうはい。拝み奉る)」と右上に、参拝日時が左列に墨書され、後日の楽しい思い出を記念する縁(よすが)として、多くの方に人気のようです。

郷に入れば……寺社によって違うことも?御朱印のマナー

御朱印はあくまでも納経や参拝と言った宗教行為の証明として頂く、いわば神聖なものですから、それ相応の取り扱いが求められます。

神社仏閣によっては御本尊様や御神体に準ずる存在として扱っているところもあり、粗末にしては神仏に対する失礼(不敬)な行為=マナー違反として罰(ばち)が当たるでしょう。

例えばスタンプラリーや芸能人のサインよろしく、Tシャツや腕、その辺のテキトーな紙切れに捺すように求めても、断られてしまうでしょう。また一度頂いた御朱印は、お守りや御札と同じように取り扱うべきです(処分することもないとは思いますが、どうしてもという場合はお焚き上げに出すのが良さそうです)。

御朱印帳(鶴岡八幡宮)

そこで、頂いた御朱印を大切に保管するため、御朱印帳(ごしゅいんちょう)を用意するのがいいでしょう。御朱印帳は市販されているものもあれば、神社仏閣でお頒(わか)ちされているものもあり、デザインもオシャレだったりカッコよかったりと様々なので、好きなものを買うとテンションも上がります。

御朱印帳を買っておけば、もし忘れてきてしまった場合でも予め半紙に捺印・墨書された御朱印が用意されていることもあり、帰宅してから貼りつけることもできます。

半紙に捺された御朱印を御朱印帳に貼りつけた一例。鎌倉・青蓮寺(鎖大師)で頂いたもの。

何より、一冊の帳面に御朱印をまとめておくことで、後から日付を追って見返しながら思い出を振り返ったり、御朱印それぞれの個性を見比べたりと言った楽しみ方もおすすめです。

ここでまた注意点として、神社仏閣によっては「神社と寺院で、御朱印帳を別々にすべき」「寺院でも、他宗派の御朱印が捺してあったら捺してくれない」などと言ったローカル?ルールがあるようで、そういう神社仏閣では「郷に入れば郷に従え」で、謙虚かつ柔軟に快く御朱印を頂きたいものです。

あと、当然ながら御朱印は「参拝の証」ですから、鳥居や山門をくぐってまっすぐ社務所や寺務所へ行って御朱印だけもらって蜻蛉返り、ではなく、きちんと(時間の許す限り、丁寧に)参拝しましょう(※)神社仏閣によっては「ご参拝の間に御朱印を捺しておきますから、御朱印帳をお預け下さい」という所もあるので、臨機応変に)。

他にもたくさん!御朱印の味わい

御朱印は神社仏閣へ参拝するのはもちろん、その神社仏閣のある土地へ出かけるモチベーションとなりますが、ただ集める・コンプリートするだけではなく、頂いた御朱印の一つ一つをじっくりと鑑賞する楽しみも知って頂けたらと思います。

例えば同じ神社仏閣でも参拝した日の担当によって御朱印の捺し方が違ったり、御朱印と墨書のバランス、そして墨書の筆遣いに個性が出ていたりなど、どれ一つとして「同じ御朱印は存在しない」ことに気づくと、単なるスタンプラリー感覚を越えた楽しみが持てるでしょう。

鎌倉・円應寺で頂いた、十王(閻魔大王ら地獄の支配者)と、お地蔵様の御朱印。

また、一つの神社仏閣でも、お祀りしている神仏が複数いらっしゃることもあり、御朱印もそれぞれ頂けることがあるため、一度に頂いてもよし、あるいは次回の楽しみにするのも趣深いものです。

また、個人的なおすすめですが、御朱印集めはいっときのブームで一気呵成にコンプリートしておしまい、よりも、一年に一つであっても、細く長くコツコツと集めることで、御朱印を見返しながら人生の節目を振り返ることが出来ます。

以上いろいろ言って来ましたが、あまり堅苦しく考えても面白くありませんから、人間に対するマナーが真心から発するように、神仏に対しても信仰とリスペクトをもって接すれば、楽しい思い出と共に、有意義な御朱印集めが出来ることでしょう。

※参考文献:
淡交社編集局 編著『決定版 御朱印入門』2008年12月8日