天気予報が記録的猛暑を正確に予報できなかった理由

2019/05/26 21:44 ウェザーニュース

北海道佐呂間で5月の歴代全国最高気温記録である39.5℃を観測するなど、記録的猛暑となった今日26日。厳しい暑さはほぼ全国に及び、気象庁のアメダス926地点のうち288地点で5月の最高気温を記録したほか、35℃以上の猛暑日は53地点に上り、5月としては最多の地点数となりました。

記録的猛暑 事前の気温予想は?

このような記録的な猛暑を、天気予報はどれくらい詳細に予報できていたのでしょうか?気象庁とウェザーニュースが25日夕方と26日朝に出した各地の最高気温の予報をみていきましょう。気象庁・ウェザーニュースとも、前日25日の段階で5月としては記録的な暑さになることは予想していたものの、予想気温と実際に観測した気温を比較すると、北見や帯広では1〜2℃、網走では6〜8℃も低いものでした。また、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が公開しているGFS(Global Forecast System)と呼ばれる全球の数値気象予報モデルでは、網走は26℃、北見と帯広は35℃と予想されていました。なぜ、これほどテクノロジーが発達した令和の現在において、これほど予報と実際の気温にズレが生じたのでしょうか?

予報のズレの原因は気象予測モデルの2つの弱点

この予報とのズレが生じた原因について、ウェザーニュース予報精度改善チームの気象予報士、宇野沢は2つの理由を上げました。「今の天気予報は、気象予測モデルのシミュレーション結果をベースに気象予報士が様々なデータを用いながら行っています。 本日の高温の要因の一つであるフェーン現象は、風速や風向が気温の上昇に大きくかかわるため、気温以外の要素、つまり風も的確に予想する必要があります。ただ、今の気象予測モデルでは、地形が絡む風の予測は非常に難しいのです。 そして、今回のようにシーズン外の極端な事象(高温、低温)は気象予測モデルの学習効果が追随せず、気温が低め(あるいは高め)に予想されることがあります。」(宇野沢)

より正確な予報を提供するための今後の取り組みとは?

「このような気象予測モデルの弱点を補って、より正確な予報を提供するには、気象予測モデルに今回の事象を学習させてバージョンアップさせる必要があります。 そのために、日本各地から届いたウェザーニュース会員からの天気・体感報告の分析結果はもちろん、全国13,000箇所に設置した独自気象観測器のデータの結果を用いて、気象予測モデルのシミュレーションパターンとの差分を分析し、その結果を学習させることで、予報のベースとなるシミュレーション結果を、より正確なものに近づけることができるのです。 ウェザーニュースでは、ウェザーニュースの会員の方々との様々な取り組みを通して、雨が降るか降らないかを予報する降水捕捉率では90%を実現していますが、今後は気温の数値も含めてより当たる天気予報を提供していきたいと思います。」(宇野沢)

【宇野沢 達也】ウェザーニュース予報センター 気象予報士。千葉県旭市出身 自治体防災担当職員から転職し入社26年目。予報精度改善チームで予報業務および精度検証・改善を行っている。