すべてのマーケターたちにとって無念なことは、ブランドセーフティが現在も進行中の問題であるということだ。

マーケター、およびメディアエージェンシーといった機関は、プラットフォームと協力して、デジタルメディアの実情を一掃し、ブランドが登場する場所が安全であることを確実にしようと取り組んでいる。グループ・エム(GroupM)の最高デジタル投資責任者であるスーザン・シエコファー氏は、ブランドが登場する場所すべてに対して、ブランドは厳格なガイドラインを採用する必要があると考えており、それでもブランドにとって100%安全というわけではないと信じている。

以下は、実際のインタビューを短く、簡潔にまとめたものである。

――業界が現在直面している最大の問題のひとつは何か?



「ブランドセーフティ」という言葉が現時点であまりにも多用されていることは否めないが、それは非常に重要だ。ブランドセーフティの領域で満足していることは、何かに関し、クライアントとこうした話し合いを我々は設けていることだ。たとえば、「放送禁止」一覧のような、テレビで行っている同様の厳格なガイドラインがある場合は、まさにそれをデジタルメディア市場にも広げる必要がある。

――ブランドセーフティの懸念を理由に、広告を出さない、または広告費を引き上げるようクライアントに指示しているプラットフォームはあるのか?



大手プラットフォームが行き過ぎた活動をしている場合、非常に慎重になる。我々にとっては、それは注視すべき深刻な状況だ。Amazonであれ、Facebookであれ、Googleディスプレイネットワーク(GDN)であれ、何度もエクステンションが出てくる。測定方法が存在することもある。改善が必要なこともある。ときに彼らはホワイトリストを受け入れる。第三者による検証や我々のホワイトリストの実装能力に関して、クライアントがチェックボックスをマークしないのなら、我々はそのプラットフォームのオフプラットフォーム化を行わない。

(何が言いたいかというと、)たとえば、Facebookのプラットフォームの場合、Facebookがほかのインベントリ・ソースを多く持つパートナーが背後に存在するオファーを有するのであれば、そのパートナーがFacebookから去っても、我々は引き続き人々をリターゲットできる。インベントリの品質が、プラットフォーム上のブランドセーフティ確保のために我々が行っているすべての努力と同じくらい優れていることを確実にする必要がある。

――真に閉じたプラットフォームがほとんど存在しないなか、ブランドが守られていることを確実にするタスクは不可能に思えるが?



たしかに、それは100%確実ではない。我々は可能な限り、100%に近づけようとしている。だが依然、このシステムを迂回することは可能だろう。しかし、Google、Facebook、そしてすべてのプラットフォームは人材を雇い続けている。彼らはAI技術、キーワードフラグ、画像フラグ、人間のレビュアーを構築し、強化している。彼らは確実に四半期ごとに改善している。しかし、よく考えてみるといい。お金を稼ぐ方法があるところでは、人々は欠点を探し続ける。そして我々は、パートナー、インベントリ、そして、これらのパートナーが重視していることに前向きであることを、常に入念かつ確実にしていく必要がある。

――ブランドのデジタルメディア資金を、コンテンツが精査されているジャーナリズムに戻すという考えはあるのか?



ジャーナリズムに回帰すべきか否かを論じているわけではない。デジタル配信またはデジタルプロパティに手を広げている従来的なパブリッシャーたちは、自分たちの能力に関してより慎重だ。彼らがGoogleやFacebookと同じくらい、急速に成長しているだろうか? 答えはノーだ。しかし、GoogleやFacebookのオンラインの外には、多くのパブリッシャーたちにとって非常に健全なエコシステムが存在している。

――エージェンシーはブランドセーフティのためにブロックリストを改良している。それはあなたが目指している、または行っていることなのか?



我々は、ホワイトリストとブロックリストを運用している。ブロックリストは何十万もの著作権侵害サイトだ。なぜなら、ブランドにとって危険である可能性のあるウェブサイトすべてを考慮に入れたブロックリストを維持するのは本当に難しいからだ。そんなサイトは何百万も存在する。我々は著作権侵害を容認しないことを確実にする必要がある。

――それであれば、より実行可能に見える。



その通り。ブロックリストは、すべてを試みて網羅し排除しようとしても、無駄骨になる。アレックス・ジョーンズのような人間をたたきのめすことができても、彼らはどこか別の場所で別の名前で新しいページを立ち上げる。それを追跡することは不可能だ。だから、インベントリを良く理解し、そのウェブサイトを見て、調査し、問題がないようであればホワイトリストに入れる。

――広告費をRedditまたはTikTokに移行しているのか? その市場に関心があるようだが。



長期的な関係に向け、これらのプラットフォームにも、ブランドセーフティに関してはまったく同じ基準を適用している。特にReddit(レディット)とは、より密接に協力しあっている。彼らは、ブランドセーフティにむけ、ビューアビリティ(視認性)のための第三者検証に関して、グループ・エムのすべての指示を組み込むという点でとても協力的だ。我々はTikTok(ティックトック)とも付き合いがある。我々の関係はいまはじまったばかりだ。

Kristina Monllos(原文 / 訳:Conyac)