走りや静粛性などではセダンにアドバンテージあり

 ミニバンやSUVの普及前は、セダンが実用的なボディ形状とされた。ハードトップやクーペに比べて背が高く、車内も広かったためだ。

 ところが今は、コンパクトカーや軽自動車を含めて背の高い車種が増えて、実用重視のユーザーはセダンを選ばなくなった。

 その結果、セダンには以前とは違う新しい価値が求められている。天井の低いボディで重心が下がり、後席とトランクスペースの間に設けられた隔壁により、ボディ剛性を高めやすいことだ。低重心の高剛性ボディは、走行安定性、乗り心地、静粛性などを向上させる。セダンでは後席を畳んで自転車を積めないが、危険回避時を含めて安全性は高く、長距離を移動する時でも快適だ。つまりセダンは、背の高いミニバンなどに比べると、運転感覚が上質で安心感も高い。

 そして乗り心地が快適なら、ドライバーは疲れにくく、安全性を一層高められる。従って長距離を移動する機会の多いユーザーに、セダンはピッタリだ。ミニバンや軽自動車に比べると価格帯が高めで、競争も激しくないから、内装などにコスト低減の悪影響も受けにくい。

 そこでセダンで推奨度の高い車種を考えたい。セダンでは優れた安全性がメリットだから、安全装備の充実した車種を選ぶと、その価値を一層高められる。緊急自動ブレーキは、歩行者対応が大切で、エアバッグも充実させたい。

■コンパクトセダン:スバル・インプレッサ

 以上のような点から、比較的コンパクトな車種では、インプレッサG4を推奨する。全長は4625mm、全幅は1775mmだから3ナンバー車だが、セダンでは比較的コンパクトだ。水平基調のボディは視界も良く、運転しやすい。

「安全と快適」というセダンの価値を高めたことも注目される。インプレッサは、同車から採用が開始された比較的新しいプラットフォームを使うので、走行安定性と乗り心地のバランスが良い。安全装備のアイサイトは、歩行者や車両のほかに、自転車も検知して緊急自動ブレーキを作動させる。後方の並走車両を検知して警報する機能も設けた。サイド/カーテン/ニーエアバッグも標準装着している。

 居住性では、後席の頭上と足もとに余裕を持たせたから、4名で乗車しても快適だ。

大柄ボディのセダンでもイマドキは燃費良好

■ミドルサイズセダン:ホンダ・インサイト

 ハイブリッド専用車で、1.5リッターエンジンは主に発電機を作動させる。駆動はモーターが担当するから、加速が滑らかだ。モーターは瞬発力が高く、アクセル操作に対する反応も機敏だから、ノーマルエンジンに当てはめると2.8リッタークラスの動力性能と受け取られる。

 ハイブリッドとあって、売れ筋になるEXのWLTCモード燃費は25.6km/L、JC08モードは31.4km/Lと優れている。

 乗り心地は、時速40km以下では少し硬いが、この速度域を上まわると快適だ。低重心のセダンらしく、走行安定性も満足できる。

 居住性は全高が1410mmと低めだから、後席の頭上空間は少々狭いが、この点を除けばシートの座り心地を含めて快適だ。

 フロントマスクはメッキを多用しながら上品に仕上げ、セダンらしいフォーマルな雰囲気に仕上げた。

■Lサイズセダン:トヨタ・クラウン

 クラウンは1955年に発売された初代モデルから、高級セダンとして高い人気を得ている。この継続的な価値も、上級セダンの大切な条件だ。安易に車名を変えたり、生産の中止や再開をすると、セダンのブランド力や信頼性を下げてしまう。

 全長は4910mmと長いが、全幅は1800mmに収まり、2WDの最小回転半径は5.3〜5.5mだから街中でも運転しにくくは感じない。

 プラットフォームはレクサスLSと基本部分を共通化しており、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2920mmと長い。乗り心地と走行安定性のバランスも良い。

 エンジンは2リッターターボと、2.5リッター/3.5リッターのハイブリッドを用意する。2.5リッターハイブリッドはWLTCモード燃費が20km/L、JC08モードは23.4〜24km/Lとされ、Lサイズの高級セダンながら燃料消費量は1.5リッターのノーマルエンジン車並みに抑えられる。高級セダンながら、売れ行きは堅調だ。