まさに青天の霹靂(へきれき)だった――。

埼玉県在住の会社員・白石進さん(48)は、妻に別れを告げられた時のことをこう話す。突然の離婚から5年、彼の生活は当時から想像もつかないほど大きく変化していた。

具体的に何が変わったのか。それを表したのが、白石さんが2019年5月15日にツイッターへ投稿したこの写真だ。


まるで別人のようだ(本人提供)

写真には、見事にハゲ散らかした眼鏡姿のおじさん、腹筋がうっすらと見える上裸の男性、そしてスキンヘッドで筋骨隆々の「イケメンマッスル」が映っている。あまりの違いに別人に見えてしまうが、実はこれ、3人とも白石さん。

わずか5年で、どこにでもいる普通のおじさんが、イケメンマッスルに変化したというのだ。この驚きの変貌ぶりは、ツイッターユーザーに落雷のような衝撃を与えた。投稿から数日で、10万件近い「いいね」を集めるなど大きな反響を呼んだのだ。

一体、白石さんになにがあったというのか。Jタウンネット編集部が、本人に詳しい話を聞いた。

ボディメイクが人生を変えた

白石さんは離婚当時、別れを告げられたショックでアルコールに頼る日々になってしまったという。そんな彼の生活を変えるきっかけになったのが、通っているジムで見かけた「ボディメイク」のコンテストのポスターだった。

初めてこのポスターを見た時、白石さんは「出てみたいな」と思ったという。念のためだが、このとき白石さんは、本格的にトレーニングを始める前である。


2010年前後の白石さん(本人提供)

元々、小中高では水泳、大学はアメフトをやっていたということで運動は好きだった。就職・結婚後もジムには時々通っていたが、以前よりも運動量は減り、少し肥満気味になっていたという。コンテストの出場を決意してからは、お酒を飲む時間を減らしてトレーニングに当てた。


左は14年8月、右はボディメイクを開始した頃(15年4月、本人提供)

15年2・3月ごろ、白石さんは本格的にコンテストに向けてトレーニングを開始。飲み仲間やジムで知り合った選手から、変わりゆく身体を評価されるようになったという。

15年5月にはコンテストに初めて出場した。結果は予選落ちだったが、その後もトレーニングを続けた。半年ほど経つと、大会で入賞できるようになった。これまで、30以上のコンテストに出場しているという。


左はフィジークに出場した18年11月、右は19年5月(白石さん提供)

私生活では17年12月、フィットネスビキニの選手である女性と再婚。コンテストを通じて知り合ったといい、現在は妻の息子と3人で暮らしている。

妻は「昔の私(白石さん)なら付き合っていなかった」と冗談交じりに言っているというが、白石さんも「もちろん昔のままなら出会っていません」と話す。まさに、ボディメイクとの出会いが人生を変えたわけだ。

18年11月にはフィジーク、19年5月にはボディビルに挑戦するなど、活躍の幅を広げている。現在は身長173センチ、体重72キロ、体脂肪率は7〜8%くらいだといい、とても普段は会社員をしているとは思えないマッチョぶりだ。

白石さんにとってボディメイクは、「生活の一部で 一生懸命になれるかけがえのないもの」だという。最後に、離婚でショックを受けていたころの自分・あるいは同じような境遇の人へのメッセージを聞くと、

「何かを始めてそれを続けて欲しい。一生懸命に 仕事でも良いマラソンでも水泳でも将棋でも 何かを一生懸命に きっと道が開けます」

としていた。