日本電産の永守重信代表取締役会長

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 電子部品大手5社の2019年度設備投資計画は、総額で前年度比8%増の8158億円を見込む。アルプスアルパインを除く4社が前年度からの増額を計画する。日本電産は、中長期での成長を支える積極投資を継続するため、4社中で最も増加率が高い同24・4%増を計画する。スマートフォン市場の先行き不透明感が強まる中、新たな成長分野として期待される車載市場への投資が高まっている。(文=山谷逸平、京都・日下宗大)

 日本電産は総額1500億円、このうち約42%を車載に、約35%を家電・商業・産業用製品に充てる計画。成長の柱とする車載用モーターなどの生産能力を引き上げる。特に電気自動車(EV)に使う駆動用モーターの増産を急ぐ。同モーターは「今の自動車市場全体が重たい状況であっても伸びている」(吉本浩之社長)とし、「マーケットを押さえておくことが重要」(同)と先手を打つ。

 京セラは18年度比2・5%増の1200億円を計画。車載関連製品の需要拡大に合わせた生産能力の増強を進める。19年度は「自動車では先進運転支援システム(ADAS)が伸びる」(谷本秀夫社長)とする。

 TDKは同15・2%増の2000億円を計画する。50%弱を電池、20%強を受動部品、残りの約30%をその他製品への投資に振り向ける。山西哲司常務執行役員は「(電池は)主に非スマホ分野における拡大を狙った投資で、今後継続して増やす見込み」と、“脱スマホ依存”を強調。受動部品については「積層セラミックコンデンサー(MLCC)の生産能力は継続的に伸ばす」と、車載向けのMLCCに力を入れる。

 一方、積極的な設備投資をした結果、減価償却費が増え、バランスを見ながら投資する企業もある。

 村田製作所は同2・9%増の3000億円を計画する。自動車の電装化に伴うMLCCの車載向け需要の急増で、近年、積極的な設備投資を進めたため、減価償却費が増えている。ただ、車載向け需要は今後も拡大し、車載市場の成長も期待できることから、ほぼ横ばいで計画した。「土地、建物、インフラ関係で1650億円を投じる」(村田恒夫会長兼社長)ほか、MLCCを中心に1000億円程度を増産投資に振り向ける考えだ。

 アルプスアルパインは17年度にスマホ関係の積極的な投資を終えている。19年度からは財務の健全性を重視する方針だ。