少女時代の写真を手に持つ日本人女性

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(花蓮 25日 中央社)日本統治下の台湾で生まれた「湾生」の日本人女性(91)が25日、かつて暮らした東部・花蓮市内の木造家屋を再訪し、人生で最も楽しく、懐かしかったという少女時代を思い出しては涙をぬぐった。

女性によると、女性の父親は台湾総督府鉄道部花蓮港出張所の所長で、一家は1930年代に新築された所長宿舎の最初の入居者。実際に過ごしたのは父親が台北に転勤するまでの3年間だったが、花蓮は自分にとってはふるさとであり、同地の山や海、風、人の全てが忘れ難いと語る。宿舎は戦後、台湾鉄路管理局(台鉄)の所有となり、同局花蓮管理処の処長に提供された。女性は20年余り前に一度宿舎を訪れて、当時の住人に居間に招き入れてもらったことがあるという。

宿舎は後に空き家となり、2004年には花蓮県の歴史的建造物に登録された。女性は16年に台湾の友人らを通じて台鉄が同宿舎の修復に着手することを知り、再訪できる日を心待ちにしていた。工事は昨年終了。台鉄や友人らの協力を得てやっと長年の願いを果たせた女性は、少女時代の写真と見比べながら、家も庭も昔と全く変わっていないと笑顔。家の中では、日本から持参した絵皿を床の間に飾るなどして思い出に浸った。

(李先鳳/編集:塚越西穂)