東京ヴェルディMF河野広貴(写真は4月13日のもの)

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[5.25 J2第15節 東京V 1-1 千葉 味スタ]

 8年ぶりに戻ってきた古巣。出場機会が多いとは決して言えなかった。しかし、前節山口戦でようやく初先発の機会をつかんだ東京ヴェルディMF河野広貴は、続く千葉戦でもスターティングメンバ―に名を連ねると、きっちりと結果を残した。

 ヴェルディS.S.相模原ジュニアからヴェルディ一筋で育ち、08年にトップチームに昇格。出場機会をつかむだけでなく結果を残していたが、12年にFC東京への移籍を決断した。17年シーズン途中から鳥栖に完全移籍を果たし、今季は期限付き移籍で古巣に復帰した。

 しかし、出場機会を得ても試合終盤。ベンチを外れる試合もあるが、「なかなか試合に出れなくても、それでもコンディションを維持しながら、『チャンスが来たら…』と練習から100パーセントでやっていた」と常に準備してきた。そして、前節山口戦で初先発を果たすと、千葉戦でも継続して先発出場。この日はホーム・味の素スタジアムが舞台。燃えないわけがなかっただろう。

 すると、0-1と1点のビハインドを背負って迎えた後半17分、待望の瞬間が訪れる。左サイドでパスカットを成功させたDF奈良輪雄太がクロスを送り、ゴール前のFWレアンドロが相手選手と競り合いながらもすらすと、「ボールが来ると信じて前まで走っていた。ファーストタッチだけ集中してしっかりとボールを止められた」とボールを落ち着け、左足を振り抜く。勢い良く飛び出したボールは豪快にネットを揺らし、今季自身初ゴールとなる同点ゴールを記録した。

 河野自身は得点直後の後半21分にピッチを後に。試合は1-1のドローに終わり、「チャンスをもらい、結果を残せて良かったけど、勝てなかったので悔しい」と唇を噛みつつも、「チームの勝利だけを考えてやっていき、これからどんどんゴールを決めていきたい」と前だけを見据えた。

 東京Vで最後にゴールを奪ったのは11年12月3日、J2リーグ第38節湘南戦までさかのぼる。緑のユニフォームを身にまとっての約8年ぶりのゴールに、「このチームでゴールを決めたということが、自分にとって特別なこと。本当に嬉しいゴールでした」と喜びを噛み締めた。

(取材・文 折戸岳彦)