仕事がキツい、暴力団と関わりがあるのでは?ー。そんなネガティブなイメージも影響してか、サービスをする「キャスト」ではなく、電話対応や企画立案、人事、事務といった職種は慢性的な人手不足にあるという風俗業界。
 


 先週、そんな状況に一石を投じるイベント「風俗転職フェア」が東京で開かれた。転職を考えている人向けの合同会社説明会で、デリバリーヘルスなどを運営するグループ企業8社が出展、100人以上が来場、このうち2割は女性だったという。イベントを手がけた風俗専門の転職情報サイト「FENIX JOB」の新海亨代表は「初めての試みなので、蓋を開けてみないと分からないという部分が大きかったが、盛況のうちに幕を閉じることができた」と話す。
 


 講師として招かれた、風俗業界の課題解決に取り組む一般社団法人「ホワイトハンズ」の坂爪真吾氏は「こういったオープンな場で求人ができるというのは、それだけ業界が健全化し、一般層に近づいたということだと思う」と評価する。
 


 風俗業界に転職して8年目の、「夢見る乙女グループ」求人企画部・澤村遥さんは「やっぱり怖いイメージの方が強かったが、入ってみたら真逆で、すごくクリーンなところだった。知り合いに働いていることがバレたとしても、こういう仕事をしていると胸を張って言っている」と笑顔を見せる。また、ニューハーフヘルスでキャストとして働き、3年前に転職したという「秋コスグループ」小岩井店の野中さち店長は「キャストの難しさが理解できたので、お客様にも、働く女性にも寄り添って関係を築いていくというのが私の仕事だなと思っている」と話した。


 参加者の女性(20代)は「キャストとしてほんの短期間働いていたことがあったが、すごく大変な仕事なので、自分に向いてないなと思った。今回、女の子たちのケアをする側はどうなのかなと思って参加したが、面白そうだなと思った」と満足そうだった。
 

■「経験も積めるというは大きい」


 新海氏は現在の風俗業界について「Webマーケティングによる集客や企画コンセプトメイキングができる店舗しか生き残れない」と考えていると話す。

 「風営法が改正され、無店舗型営業であれば、届け出一つ出せば個人でも開業できる時代になった。そのため供給過多になっていて、普通に広告を打つだけでは生き残れない。やはりWebマーケティングやコンセプトメイキングのできる方がいなければいけないし、日々起きるトラブルに対応できるコミュニケーション・スキルがある人でないと、裏方も務まらなくなってきた。だからこそ一般業界でやっていた方がそのまま活かせる部分がたくさんある業界だと思う。例えば広告の予算も一般企業と変わらないくらいの額をかけている企業も多いし、すぐにWebマーケティングや企画をやらせてもらえるので、経験も積めるというは大きいと思う」。
 


 デリバリー系風俗57店舗を全国で展開する業界大手で、転職フェアにも参加していたスターグループの事務所を取材すると、電話対応やキャストのシフト管理など、店舗を運営する上で必要になる様々な業務をこなす人々が。
 


 勤続8年目で求人部部長を務める女性は、小学生の子どもを育てながら仕事をしていると話す。「うちの会社では、女性と密接に関係しているからこそ、子どもの具合が悪くなって帰りたいという時には"どうぞ、どうぞ。帰ってください"という感じで、みんなが快く支えてくれる。女性のスタッフさんにどんどん来てほしいと思う」と話す。


 取材中、転職フェアに参加した50代男性が面接にやってきた。「いや、ビックリしました。なんかIT企業みたいな…」と驚きを隠せない様子だった。面接はとんとん拍子に進み、男性は晴れて採用。業界での再スタートが決まった。
 

■「互いの尊厳を守れる環境を」


 大手人材広告企業を辞め、一時はネットカフェ難民だった時期もあったというにしやま氏は、知人の伝手で風俗業界に入り、会社を立ち上げた。現在7年目で年収は"4桁"と話す。

 にしやま氏は健全化への取り組みについて「業界のイメージについて、"都市伝説"のような話や、空中戦の議論が多い気がしている。FENIXが開催されたような転職フェアのように、どういう人が働いているのか、といった話を積み重ねていくことが変えていくと思う。暴力団とのつながりについても、警察から経営者たちが指導を受ける機会もあるし、新たに開業された方や、健全な方向に向かおうとしている企業ではほぼないと思う」と説明、新海氏も「私はこの仕事をしてもう3、4年ほど経つが、そういう方とお会いしたことは一度もない。不動産関係の仕事で全国転勤していた時代の方が反社会的勢力と関係のある人が多かったと感じている」とコメント。

 また、にしやま氏は、業界で働く人たちへのケアについて「もちろん奨学金を返すためとか、家庭に事情があってとか、そういう事情を抱えている子は多いと思う。私たちの場合、キャストはOLさんや学生さんが副業としてやられている場合が多いので、それこそ自分の経験を活かし、就職や転職の相談に乗るなど、コミュニケーションを手厚くするようにしている。また、お客様には基本的に電話番号を通知でいただいているので、問題があった方については注意させていただいたり、出入り禁止とさせていただいたりしている。場合によってはプレイ前に部屋に出向いてお話をさせていただくこともある」と話した。
 


 ジャーナリストの堀潤氏は「取材費を調達するために、風俗業界のドライバーの求人広告を見ていたこともある。働ける時間帯の関係もあるし、色々な話も聞けると思うので、働くところとしては絶えず注目している業界だ。働く女性の尊厳を傷つけ、人として見ずに消費するだけという"クソ客"もいるが、そもそも単に欲求を満たすためだけの場所ではない側面もあると思う。だからこそ、働いている人とお客さんが互いの尊厳を守れる環境を築くことが大切だと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 

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