by dotshock

好きなことを仕事にすることは多くの人にとってのあこがれです。子どもころからの夢だった職業や、趣味に直結している仕事に就くことで、給料や対価だけでなくやりがいや充実感を得ることができます。ところが最近の研究により「仕事にやりがいを感じると労働搾取につながりやすい」ということが判明しました。

Understanding contemporary forms of exploitation: Attributions of passion serve to legitimize the poor treatment of workers. - PubMed - NCBI

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30998042

There's a Surprising Downside to Having a Job That You Love, According to Science

https://www.sciencealert.com/there-s-a-surprising-downside-to-having-a-legitimization-of-passion-exploitation-according-to-science

やりがいと労働搾取には関係があることを明らかにしたのは、アメリカにあるデューク大学フクア経営大学院のJae Yun Kim氏らの研究グループです。研究グループは労働環境や搾取について報告した7つの論文と、その論文についてのメタ分析をさらに分析し、合計約2400人分のデータから労働搾取の実態を調査しました。その結果、仕事に熱心な労働者は上司などの管理者によって無給で長時間働かされたり、本来の業務内容とは無関係な仕事を命じられたりする傾向があることを発見したとのこと。



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また、この現象はある2つの心理的メカニズムにより発生していることも突き止められています。その心理的メカニズムとは、「労働者にとっては仕事をすること自体が報酬だ」「やる気のある労働者なら、たとえ命じられなくても自分から仕事を買って出るだろう」という暗黙の了解です。研究グループはこの心理的メカニズムを「やりがい搾取の正当化」と名付けました。

また、「やりがい搾取の正当化」はアーティストやソーシャルワーカーなど、仕事に対して「やりがい」が見いだされやすい職種で多く見られることも分かっています。

注目すべきなのは、この「やりがい搾取の正当化」は因果関係の認識をゆがめてしまうという点です。というのも、長時間労働や時間外労働などで搾取された労働者は、周囲から「やる気のある人だ」と評価されやすいことも明らかになったからです。このことは、周囲の評価が労働者にやりがい搾取を受け入れるインセンティブとなってしまうことを意味しています。



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Kim氏はこの研究結果について「やりがいのある仕事に情熱を注ぐことが悪いというわけでは決してありません」と強調しています。重要なのは、「労働者たちのやりがいが労働搾取の正当化に利用されないこと」だとKim氏は述べました。