10連休明けで「退職代行サービス」に依頼殺到・・・(※写真はイメージ)

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 会社を辞めたくても、上司が怖くて言い出せない。辞めたいと会社に訴えても、人手不足を理由に辞めさせてくれない。そんなニーズに応えるため、昨年あたりから「退職代行」業者が増えているという。いまや弁護士も含めると、40を数える。余計なストレスを感じずに退職できるとあって、依頼件数もうなぎ上り。ならば、10連休となったゴールデンウィーク明けは、さぞかし……。

「連休明けの火曜日は、1日で30件の依頼がありました。普段は月に250〜300件ですから、3倍以上ですね。内訳は、20代が圧倒的に多くて8割を占めました。その半数は新卒でしたよ」

 と解説するのは、14年前から「退職代行」サービスを手掛けている「退職代行ニコイチ」の西村明人・統括責任者。

10連休明けで「退職代行サービス」に依頼殺到・・・(※写真はイメージ)

「うちは元々便利屋としてスタートして、電話代行業務、引っ越し業務など、様々な仕事を代行しておりました。その業務の中で特に多かったのが、退職電話の代行依頼でした。そこで、6年前から退職代行サービスに特化しました。私も過去に、会社を辞める時、上司に意志を伝える勇気がなく、母親に頼んだ経験がありますので、退職を言いづらい気持ちは痛いほどよくわかります」

 業者の中でも最古参のニコイチ、これまで退職させた数は5300人にものぼる。男性が圧倒的に多く8割。雇用形態では、正社員が9割でアルバイトが1割だった。

「退職代行料金3〜5万円の業者が多い中、うちは税込2万8000円ぽっきりで追加料金なしです。退職成功率は100%ですよ」

 今年の1月末に退職代行に参入した、「プラスサービス」を運営する株式会社スリープラスの代表もこう解説する。

「退職代行依頼は22月で21件、3月が60件、4月は66件でしたが、55月は一気に増えて160件になる見込みです。業種で多いのは運送業、保育士、介護士、引っ越し業者だけで2、3割を占めます。ノルマがあって体力的につらい。人手不足で一人ひとりの負担が多い業種です」

 こちらの料金は1万9800円。個別の例を挙げてもらった。

「50代のトラック運転手からの依頼では、パワハラが酷くて、社長から“殺す”と何度も言われ、精神安定剤を飲みながら勤務していたがもう限界ですと、深刻な心境を語っていただきました。公務員もいます。刑務所の刑務官で、20代前半ですが、ご自身で就職する前にイメージしていた職場と違うということでした」

 退社する会社の反応はどうか?

「私どもは、まず電話をして、『○○さんが会社を退職したいと申しております』と伝えます。そのあと、『退職代行をやっています』と当社の説明するのですが、スムーズに行く場合もありますし、まるで聞く耳を持たないということも。『“第三者から言われたくない。自分で言わないとはどういうことか』”と、かなり怒る方もいらっしゃいます。ですが、民法では退職の2週間前に本人自筆の退職届を出せば、いくら会社が拒否しても退職できることになっています」

 逆に会社側から感謝されたこともあったという。

「30代男性のスポーツ用品販売スタッフからの依頼でしたが、会社に電話すると、依頼者は3、4日、音信不通で家にも帰っていない。色んなところに連絡を取っていたと、すごく心配していました。私からの連絡で、無事で良かったと喜んでいただき、すぐに退職を認めてくださいました」

ゲイの店長に10分間罵られる

 昨年77月に参入した「SARABA」も、連休明けは普段の倍以上の依頼があった。運営する株式会社ワンの担当者によると、

「依頼してくる方たちは、たとえば、保険業や不動産業に携わる依頼者によると、入社前は営業ではないと言われたのに、入社してみると営業をさせられたというケースが多いですね。パワハラも多く、理由はわかりませんが坊主にさせられたなんて例もありました。あと、こんなこともありました。依頼者はゲイ専門の風俗店に勤める大学生でした。そっちの気はなかったのに、お金が欲しかったのでしょうかねえ、アルバイトをしていたのです。女の子ならなんとか続けられても、男は頑張らないといけないから、辞めたくなった。こちらが電話をすると、ゲイの店長から、『あんたたち、なんなのよ〜』と10分間罵られてしまいました。結局、無事に退職することができました。本人が店に来なくなったのだから、認めざるをえなかったのでしょう」

 依頼者も十人十色である。同じく退職代行業社の「EXIT」の担当者もこんな話を披露する。

「脱毛サロンの同じ店から同時に3人依頼があったこともありましたし、自動車大手メーカーの工場から計10人ほど依頼を受けたこともあります。巫女さんから、なんてこともありましたね。うちの業務としましては、退職する会社との交渉は一切行いません。あくまで、退職に関する連絡の代行になります。交渉すると違法になる可能性が高くなるからです」

 弁護士でもないのに、報酬を得て会社側と交渉すれば「非弁行為」となり、弁護士法で禁じる違法行為とみなされる。

「弁護士に依頼すべきケースは、会社との間で法的トラブルを抱えている方、未払いの残業代や賃金の支払いなどで揉めている方となります。普通に退職するだけであれば、弁護士は必要ありません。退職代行業務は、退職金の交渉などはしないし、書類の作成などを代行することもないため、違法行為には該当しません。安心して利用していただけます」(前出・ニコイチの西村氏)

 退社に3万円は高いか安いか――。

週刊新潮WEB取材班

2019年5月25日 掲載