イレーネさんという素朴なスペイン人のお姉さんがいる。巨大なメガネをかけていて余り風采は上がらないが、素朴で人のよさそうな女性である。彼女はマンガで見た日本のパン屋さんに憧れていた。何故なら彼女は3度の飯(?)よりカレーパンが好きで、自分でも工夫しながら小麦粉を混ぜ混ぜカレーパンを作ってはみたが。

そこに日本の物好きなテレビ局が「ご招待します」とやってきた。嬉しそうに笑いながらイレーネさんは有名な愛媛県のパン屋「パン・メゾン」にやってくる。そこの主は20年も商っている有名店で従業員も沢山抱えた成功者であるが、成功するわけは、実に誠実に本物のパンを手作りしているからである。筆者は知らなかった。

カレーパンに入れるルーは牛肉の塊から始まって、独特のスパイスを使って2晩も寝かせて作る。パン粉は「YUKI」と奥さんの名前を付けたスペシャル粉。イレーネさんは小麦粉のこね方や調理台での叩き方などを主人に教えてもらう。今までの中身がすぐに出てしまうパンは粘りが十分に出るように捏ねていなかったからと知る。

何が呆れたといって、プロとはいえこのパン屋の誠実な商売道である。凄い凝りようである。近頃の日本はスーパーで売る大量生産のまずい食パンに席巻されているが、このパン・メゾンのような個人のパン屋のパンが、そうどこにでもあるわけではない。遥々スペインから来たイレーネさん。これこそ真の民間国際交流である。(放送2019年5月20日20時〜)

                  

(黄蘭)