東大生は赤ちゃん時代にどのような子育てを受けてきたのか。現役東大生の母親60人に聞いたところ、一般家庭に比べ、就寝時間が早く、本の読み聞かせが多く、テレビを観る時間が少ないことがわかった。この違いにはどういう意味があるのか――。

■「21時半以降に就寝」東大生家庭18.4%、一般家庭47%

「母学アカデミー」を主宰している河口京子さんは独自の教育法で3人の子供を育てた。長男は東京大、次男は京都大に進学し、長女はイギリスに留学中だ。その河村さんに、プレジデントファミリー編集部が現役東大生の母親60人に実施した「就学前の子育て」についてアンケート結果(※1)を見てもらった。

※1:プレジデントファミリー編集部では2019年2〜3月に現役東大生と大学院生の母親60人に「就学前の子育て」についてアンケートを実施。その結果を『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』で紹介している。

河村さんが、最初に注目したのは就寝時間の早さだ。

東大生家庭で、かつて未就学児だった子供が20時以前に寝ていたのは28.4%。一般家庭(※2)では10%なので、約18ポイントも高かった。一方、21時半以降に就寝という回答は東大生家庭で18.4%に対して、一般家庭で47%だった。

※2:一般家庭へのアンケート結果は、ベネッセコーポレーションが2015年に実施した「第5回 幼児の生活アンケート」(対象は1歳6カ月から未就学までの幼児をもつ首都圏の保護者約4000人)による。なお無答・不明などは省略した。

画像=『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』より

「寝る時間が早いことから親の教育意識の高さがうかがえます。睡眠中に成長ホルモンが出ますし睡眠は記憶の定着にもいいといわれています。昔から寝る子は育つといわれていますし、睡眠が子どもの能力を伸ばすことをわかっているのでしょう」

河村さんもお子さんが幼稚園時代は19時30分に、小学校時代は20時には必ず寝かせるように意識していたとのこと。

では、東大生家庭では就学前に通っていたのは幼稚園か保育園か。調査では約9割が幼稚園と圧倒的だった。しかし河村さんは、幼稚園も保育園もあまり変わらないと話す。

「うちには、幼稚園に通った子も保育園に通った子もいますが、どちらかが能力が高くなったということはなかったです」

■積み木遊び「ほとんど毎日」東大生家庭51.7%、一般家庭29.9%

「積み木やブロックなど知育グッズでの遊びと、図鑑での遊びをどれくらいしていたか」という問いの結果では、東大生家庭と一般家庭では大きな差が見られた。知育グッズでの遊びを「ほとんど毎日」していたと答えたのは東大生家庭の場合51.7%に対し、一般家庭は29.9%。

図鑑での遊びは「ほとんど毎日」と答えたのは東大生家庭で31.7%に対し、一般家庭では5.1%。一般家庭で「図鑑を持っていない」というのは約3割にも上った。反対にテレビの視聴時間については東大生家庭のほうが一般家庭に比べて少ない傾向が見られた。

画像=『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』より

河村さんはこの結果を見て次のように話す。

「テレビやスマホなどの刺激の強いものよりも、図鑑や積み木などの知育グッズのほうがいいと直感的に感じている家庭が多いのでしょう。わが家でも、幼少期の玩具は白木の積み木がメイン。子どもは白木の積み木を何かに見立てて遊んでいたので想像力が育まれました。テレビもほとんど見せませんでしたね」

一方、未就学児用のドリルなど、ワークをどのくらいやらせていたか。東大生家庭では「ほとんど毎日」が21.7%、「やらせていない」の回答も23.3%と多かった。

「ほとんど毎日やらせている親御さん同様に、ワークを“あえて”やらせない親御さんも教育的な意識が高いのだと思います。ワークをやらせなかった家庭が何もしていなかったのではなく、別の体験をさせたいという思いがはっきりしている場合もあるでしょう」

■本の読み聞かせ「ほぼ毎日」東大生家庭68.3%。一般家庭48.6%

本の読み聞かせを「ほとんど毎日」するという回答が東大生家庭は68.3%。一般家庭も48.6%と高かったが、その差は約20ポイントも。本の読み聞かせを「ごくたまに」の回答は東大生家庭で1.7%に対し、一般家庭は10.5%だった。

画像=『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』より

そして東大生家庭の1回の読み聞かせの冊数は平均3.5冊。なかには20冊という家庭もあるから驚きだ。河村さんの場合は、子どもの興味の幅を広げてやりたいという思いから、毎日読み聞かせをしていたという。

「私の場合は年間1500冊読もうと目標を決めたんです。平均すると1日に約5冊です。正直言うと私自身、読み聞かせが大好きというわけではなかったので、数値目標をつくったらゲーム感覚で毎日頑張れました。子どもたちは本好きになったわけではありませんが、興味がさまざまな方向に広がりました」

読み聞かせを始めた時期について、東大生家庭では35%が生後3カ月未満から行っていたという。

「親御さんが楽しめたらいいのですが、あまり赤ちゃんの反応がないうちからやっても、むなしい気がして続けられない人もいるのでは。反応がある1歳前後から読み聞かせをするので十分だと思いますよ」

■「習い事はスイミング」東大生家庭56.7%、一般家庭25.4%

習い事はどうだろう。東大生家庭と一般家庭(4〜6歳の幼稚園児の家庭)を比べると東大生家庭の習い事の割合が圧倒的だ。スイミングは東大生家庭は56.7%に対し、一般家庭が25.4%。楽器の習い事は、東大生家庭の約4割に対し、一般家庭は12.1%と差が大きかった。教育意識が高いことと習い事をさせられる経済的余裕があることがうかがえる。

画像=『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』より

河村さんは、習い事にはメリットもあるがデメリットもあることを考えてほしいという。

「さまざまな習い事をしていて毎日忙しい子がいますが、未就学のうちから習い事にたくさん行かせるのはよいことばかりではありません。習い事は教えてもらうという受け身の体験。スキルがつくことはいいことだけれど、子どもが自分の好きなことで遊ぶ能動的な時間もたっぷりとってやることも大事です」

小学校に入るまでにできるようにしたことは、東大生家庭でひらがなの読み書きは8割以上が、九九は23.3%ができるようにしていたということだが……。

「これを見て焦らなくても大丈夫だと思いますよ。教育熱心なお母さんほど焦ってしまって早期教育をする傾向がありますが、その子が内容を理解できる年齢になってからでいいのでは。幼児に九九や2桁のたし算を覚えさせることはできるけれど、うちはあえてやりませんでした。ひらがなもたし算も小学校に入ってから。しかしお菓子を家族で分けるなど、日常生活でできる数の数え方や分け方などで学ばせるようにしていましたよ」

■「社会のために尽くす人」「リーダーシップのある人」になれ

「どんな大人に育ってほしいか」という問いに関しても東大生家庭と一般家庭では差があった。「社会のために尽くす人」「リーダーシップのある人」の回答は東大生家庭が一般家庭に比べて高かった。少なかったのは「自分の家族を大切にする」「友人を大切にする」などの項目だった。

画像=『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』より

「東大生家庭のほうが、子どもが社会で活躍するなど、どちらかというと目立つ存在になってほしいという視点があると思います。日本人的というよりは欧米人的な発想ですね」

また幼稚園や保育園を選ぶ際の基準では「のびのび遊ばせてくれる」が東大生家庭では一番多かった。河村さんはこの点に注目する。

「のびのび遊ぶことが子どもにとってなによりの学び。うちの場合は毎日3kmのマラソンで体を丈夫にすること、自然と触れ合わせることを特に意識していました」

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河村 京子(かわむら・きょうこ)
母学アカデミー学長
独自の教育法を実践し3児を育てる。長男は東大、次男は京大に進学。長女はイギリスに留学中。著書に『0歳から6歳までの東大に受かる子どもの育て方』『親も楽しむ後ラク子育て』『お金のこと、子どもにきちんと教えられますか?』などがある。

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(母学アカデミー学長 河村 京子 イラストレーション=タオカミカ 写真=PIXTA アンケート協力=進学塾VAMOS、受験ドクター)