収入合算[連帯債務型]のメリットと留意すべき点とは?(写真:ふじよ/PIXTA)

夫婦での住宅ローンの組み方の3回目は、「収入合算[連帯債務型]」です。ざっくりいえば、「ペアローン」と「収入合算[連帯保証型]」を足して2で割ったような仕組みです。

「ペアローン」は夫婦それぞれが住宅ローンを申し込み、「収入合算[連帯保証型]」は夫婦のうち1人が債務者になり、もう1人が連帯保証人になる形で1本のローン契約を結ぶ方法です。

「収入合算[連帯債務型]」とは?

さて、「収入合算[連帯債務型]」は、ローン契約が1本で、2人の年収を足して借入額を増やせる点は「収入合算[連帯保証型]」と同じ。また、住宅ローン控除やすまい給付金について2人分利用できることや、夫婦での共有名義になる点は「ペアローン」と同じです。

「収入合算[連帯債務型]」の代表的な例は、住宅金融支援機構のフラット35です。銀行で「収入合算」したいというと「収入合算[連帯保証型]」のほうを提案されることが多く、「収入合算[連帯債務型]」のプランはほとんど見かけません。

銀行では変動金利型と固定金利選択型を主軸に扱っているのに対し、フラット35は全期間固定型のため、どの金利タイプのローンにするかをまず選んで夫婦2人で組むという段階になってはじめて、[連帯保証型]と[連帯債務型]の違いに気づくという人が大半です。

そこで、今回は、これまでの連載でおなじみのAさん夫婦がフラット35を借りるケースを例に、「収入合算[連帯債務型]」の特徴と留意点を確認してみましょう。


同じ収入合算でも、[連帯債務型]の最大のメリットは、夫婦2人で住宅ローン控除を受けられる点です。[連帯保証型]では主債務者(Aさん)の分だけで連帯保証人の妻の分は対象外です。けれども、[連帯債務型]で借りる場合は、主債務者(Aさん)も連帯債務者(妻)も“債務者”なので、2人とも住宅ローン控除を申請することができるわけですね。

Aさん夫婦の例では、借入額の全額(4000万円)に対し、1年目であれば年末ローン残高3912万円という証明書が2通送られてきますので、夫婦それぞれが住宅ローン控除の書類に負担割合を記入して申請します。Aさんは24万4500円(=3912万円×62.5%)、妻は14万6700円(=3912万円×37.5%)の住宅ローン控除を受けられる計算です。結果的に、ペアローンのケースと同じ額です。


実態と離れた負担割合は贈与税の対象

ここでいう負担割合は、基本的には、取得した住宅の登記をする際の持分割合と同じにします。Aさん夫婦のケースでは、借入額4000万円について、それぞれの年収に応じてAさんが2500万円(負担割合62.5%)、妻が1500万円(負担割合37.5%)で計算しています。

夫婦で共有名義と聞くと負担割合を50%:50%にしたくなることはありがちですが、実態と離れた負担割合にすると、贈与税の課税対象になる点に注意が必要です。また、年末借入残高証明書が2通送られてきたからといって、夫と妻のそれぞれが満額(Aさんの1年目の例では3912万円)ずつ控除を受けられるわけではないことは誤解がないようにしておきたいところです。

「収入合算[連帯債務型]」を考えるうえで留意しておきたいのは、団体信用生命保険です。通常の[連帯債務型]であれば、[連帯保証型]と同様に、主債務者(Aさん)が亡くなった際は団体信用生命保険によってローン残債がゼロになります。一方、妻については団体信用生命保険の対象外で妻死亡時にローン残債はなくならないうえに、これまでローン返済に貢献してきた妻の収入が以後なくなるため、家計が苦しくなることが目に見えています。

もちろん、フラット35でも考え方は同じなのですが、「デュエット(夫婦連生団信)」を利用すると、妻にも団体信用生命保険が付けられる点は覚えておきたいポイントです。

そのうえ、ペアローンの保障が得られるのかと言えば、実はもっとパワフルです。フラット35で「デュエット」にすると、夫婦分(Aさん夫婦の例で言えば4000万円分)が免除になります。

デュエット利用時の上乗せ金利は年0.18%なので、Aさん夫婦の例では毎月返済額にして3500円ほどのアップになりますが、ローン返済を続けるうえでの安心感は高まりますね。

夫婦連生団信を利用できる金融機関は、住宅金融支援機構の「デュエット」のほかは、三井住友銀行やろうきん、楽天銀行などがあります。各金融機関で上乗せ金利や仕組みが異なるため、気になる方は事前に調べてみてください。

夫婦で組む際は必ず保険を見直そう

以上、3回の連載で、共働き夫婦の住宅ローンの組み方を見てきました。マネー面からの比較でいえば、住宅ローン控除を2人とも受けたいなら「ペアローン」か「収入合算[連帯債務型]」。夫婦ともに団体信用生命保険に入りたいなら、「ペアローン」か「収入合算[連帯債務型]」で、とくに保障のパワフルさを求めるなら「収入合算[連帯債務型]」ということになります。

ただ、「収入合算[連帯保証型]」でも、例えば保険金額4000万円の生命保険(定期保険や収入保障保険)を妻が自前で入って備えれば同じ効果が得られます。収入保障保険なら年齢にもよりますが月払保険料3000円前後で入れる保険会社もあるので、何がなんでも団信で備えようとする必要はありません。

大切なのは、いざというときの保障をしっかり備えておくことです。ペアローンを借りて夫婦ともそれぞれの持ち分について団体信用生命保険を得られる場合でも、ローン残債のすべてが完済できるように生命保険を上乗せして入っておくことは一策と考えます。

そして、何より、夫婦で借りるとお互いが全額の返済義務を負うということを、十分に認識しておくことが大切です。どちらかが亡くなるときに備える視点はもちろんのこと、働けなくなったときに備える保険の手当ても視野に入れておくと安心です。

収入減になったときに困らないように余裕を見た借入額にしたり、健康に気を使い合ったり、離婚することのないように互いをいたわり合う気持ちを持ち、仕事を辞めず最後まで二人三脚でローン返済する覚悟を持って臨んでほしいと思います。

「めちゃくちゃハードル高くない?」と思った方は正解です。夫婦共働きでもどちらか1人の単独ローンプランでの購入が、実は、マネー面からは一番のおすすめです。この件はまたの機会に。