鉄道友の会が「ブルーリボン賞」「ローレル賞」を発表。2019年のローレル賞は、叡山電鉄の観光列車であるデオ730形「ひえい」とともに、相模鉄道の20000系電車が受賞しました。

都心直通実現に向けた新型車両

 2019年5月23日(木)、鉄道友の会が「ブルーリボン賞」と「ローレル賞」を発表。2019年の「ローレル賞」には、叡山電鉄の観光列車であるデオ730形「ひえい」とともに、相模鉄道(相鉄)の20000系電車が選ばれました。


相模鉄道の20000系電車(画像:鉄道友の会)。

 20000系は、新線である相鉄新横浜線と東急新横浜線を介して、東急線へ直通運転できるよう設計された通勤形の車両です。相鉄本線の西谷駅(横浜市保土ケ谷区)から相鉄新横浜線の羽沢横浜国大駅(同・神奈川区)までは2019年11月30日に、残りの、東急線に接続する日吉駅(同・港北区)までの区間は2022年度下期にそれぞれ開業が予定されています。

 車両の設計思想は、相鉄が創立100周年にあわせてグループ全体で進めている「デザインブランドアッププロジェクト」に基づき、鉄道車両について車体色、前面デザイン、車両照明の統一コンセプトが掲げられました。

 車体は、アルミニウムの形材を接合したダブルスキン方式を採用。幅は、東急線の規格にあわせて、それまでの標準である2900mm超より狭い2770mmに抑えています。前面は、大型の前部標識灯と格子状のデザインを配置。外観は統一コンセプトに基づき、「ヨコハマ・ネイビーブルー」という濃紺色で塗装されています。

 車内は、グレートーンで統一。LED照明は季節や時間帯で調光・調色が自動設定されています。車端部には、座面が高く、かつ浅くなっており、立ち座り時のひざや腰の負担を軽減するユニバーサルデザインシートを設置。一部のドア横には、かつて相鉄車両の多くに設置されていた鏡が復活しました。

 鉄道友の会は、20000系をローレル賞に選んだ理由について、「(相鉄は)共通化という前提の下で限られた独自性を見出す車両が増加する中にあって、明確なコンセプトを策定した後に共通化に対応させるという意欲を鮮明に打ち出した車両を開発」したことを高く評価したためとしています。

 ブルーリボン賞とローレル賞は、鉄道友の会が毎年1回、日本国内で前年に営業運転を始めた新型車両や改造車両から選定する賞です。このうちローレル賞は、鉄道友の会会員の投票結果を参考にして、選考委員会が審議して優秀と認めた車両が選ばれます。相模鉄道がローレル賞を受賞するのは、今回の20000系が初めてです。

【写真】JR山陽本線を走る20000系電車


急勾配が続くJR山陽本線の八本松〜瀬野間、通称「瀬野八」を、EF66形電気機関車に牽引(けんいん)されて通過する相模鉄道の20000系電車(画像:相模鉄道)。